新型コロナが与えた変革 パート2

森下 吉伸

※2020年記事

くどいから人間っぽいとも


非合理的で長い時間をかけなければ理解できないものもある。

たとえば、円滑に夫婦関係を続けようとしたときである。

男女が共同生活を続けるといつかお互いのアラが見えてくる。

お互いの苦しみや悩みなども発生してくるだろう。

問題によっては簡単には解決しない。

お互いに時間をかけて議論を重ねないと折り合わない事もある。

大きなトラブルなら、対極な意見を持つ相手に自分の考えを理解させるのは簡単な事ではない。

長い時間をかけて話し合うことになるし、くどくなるはずである。

絵文字で仲直りできることもあるだろうが、時間をかけなければならないことはこの先にもあるはずだ。

日頃から絵文字化だけになると時間をかけるスキルが落ちてしまうのだ。

 また、くどいことは大切な人の感情でもある。

お説教や長々と書いた文章は「自分のことを理解してもらいたい欲求」だけでなく、「相手への思いも理解したい欲求」の現れだろう。

押しつけや誘導といった面だけをとらえて敬遠されるが、それらはすべて人間らしいやりとりだともいえる。

もっというと「愛情」はくどさかもしれない。

それを煩わしいと決めつけることで、人間だから味わえる喜びや幸福感までも捨てているのかもしれない。

コミュニケーションの合理化だけを考えると人間ではなくなる。

どんどん機械化して「オッケーグーグル」になる。

上司部下であっても合理的なやりとりだけでは上司の人間力を弱めるかもしれない。 今必要な「土壇場での決断力」が弱まるのではないか。

なにが正しいのかはわからない


また、絵文字コミュニケーションが浸透できる背景には、順調な毎日があることが前提である。

物事がうまく流れているときに必要となるコミュニケーションである。

この世にIT産業が生まれ、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長したことで、波風のない順調な毎日が続いた。

その後も戦争もなければ直接的な災害もない。

順調に時間が流れている毎日だからこそ絵文字化ができるのである。

夫婦関係でも結婚したばかりの熱々状態なら、絵文字のやりとりだけでいいだろう。

それが、浮気がバレてしまってケンカになるとどうだろう。

長文メールのやりとりにならないか。

なので、広い意味でいう絵文字化を企業で考えるなら、とにかく社会や企業が順調なときに進めることだ。

世界的には格差社会がある。

10%の人が90%のお金を支配している。

つまり、それだけ見ると順調な人は少ないのである。

ましてや、コロナ騒動でパンデミックが起きている。

いろんな歯車が合っていなくてガタついている。

いまは合理化ではない。 非合理であっても、いまの危機を組織で時間をかけて共有し「なにをすべきか?」「どこにいくべきか?」を見つけていかなければならない。

新型コロナで進化したこと


この騒動でコミュニケーションがデジタル化したことがある。

町の商店でも今後の常識になる可能性はある。

まず、多くの企業が自宅業務を採用したこと。

資生堂は、いち早く全体の3割の従業員(8000人)を出社禁止にした。

その後、都内在住の大手企業を中心に3月末迄に自宅業務を採用する企業が激増した。

テレワークは東京オリンピックの混雑対策で考えられていたが、都内では思わぬ前倒しになったようだ。

都内サラリーマンの通勤時間平均は1時間34分だといい、この移動に疲労して生産性が落ちるといわれている。

この状況を改善できたし、新たなる労働環境を整えた。

テレワークだけでなく、スマホなどを使って現場にいなかくとも仕事ができるツールの使用率もあがった。

ただ、同時に問題点もわかった。

実際にテレワークをした企業では、外回りの営業マンは「顧客訪問ができず顔がみえない。空気がつかみにくい」とか、子育て家族では「子供が走り回る家の中では業務効率が落ちる」とあった。

リフォーム業界では現場管理アプリで、現場に係わる管理者や職人との情報共有やスピーディーな対応力がアップしてはいるのだが、習熟度に個人差があり全体的な運用にはまだ問題有りだという。

テレワークの成功例はアメリカでは多いようだが、この背景にはビデオ会議やクラウドを介した書類の共有を日常的にしていたからだという。

これは風習のちがいだろうが、日本では管理体制が厳格な事が多く、個人の判断というより上司の判断を仰ぐというものが一般的である。

テレビだけでやりとりできないのである。

アメリカはそもそも個人主義。

なにかあれば上司が責任を取ると言うより個人が取る事になるので、そこは任せられる。 だから最低限の情報だけでいけるのである。

各方面でテレビ形式


先日、G7の外相会議がテレビ会議で開いている状況をみたが、それなりに話し合いができていたように見えた。

テレビ会議で緊急課題を国際社会で意志決定ができたという。

これにそって4月のワシントンでの国際通貨基金やG20財務相・中央銀行総裁会議もテレビになるらしい。

やりにくいという意見より「移動時間がなく効率的にできる」「会議の結論が早くでる」「首脳同士のホットラインがやりやすくなる」など利点は多く、今後の常識は変わりそうだ。

しかし、対面して話さないことでのデメリットが無いわけではない。

まず、会議の機会を利用して、その前後に個別の相談などができなくなる。

どうしても「顔をあわせて話し合う」といったことに意味があることがあるし、「出席すること」に意味がある会議もあるので、そういったことでは意義が下がってしまうらしい。

ただ、医療関係はよくなったのではないか。

世界的に医療体制が課題になったので国内の対応も影響されるはずである。病院感染の防止にとテレビ通話によるオンライン診断が保険で認められるようにした。

極力医療機関を受診しなくともよい体制を作り、入院病床は重傷者だけに使う。

これまでの病院の利権から考えると信じられない。

また、ある医療システム会社によると、同社のオンライン診療アプリに登録した新規患者は急増しているという。 薬はオンラインや電話で処方してもらえるように変わる時代になる。

これからのコミュニケーション


くどいがこういった混乱時は、なにが正解かはわからない。

これからどうなるかは予測がしにくいのだ。

ただ、絵文字どころか経営でもこれまでの成功法やうまくやれたことが通用しない可能性はある。

いまの流れがうまくいっているからこそ合理化・効率化が威力を発揮するのだが、そうでない今は通用しないので実績の上塗りは難しいのである。

ましてやコロナ騒動で経済が急降下したことやユーザーのモチベーションの低下。

オリンピックの延期や外国人離れした日本は、この局面をどう乗り越えなければいけないのか。

答えは分からないが、大切な事は人任せにしてはいけないということだろう。

だれかがいってくれることを待つのではなく、それぞれが考えをも って行動すべきである。

これまでの成功法がアテにできないなら国会議員や官僚などエリートが考える対策は役に立たないということである。

現実に混乱時に冷静な判断やメッセージができていない。

エリートに任せずあらゆる業界や地方地域、学生、若い層が独自に考え、意見収集することが大切だと思う。

庶民の対極的なすり合わせがいるのだ。

いまは「折り合う」「歩み合う」といった行動から答えを見出すしかない。

正念場である。


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