群衆のアフターコロナ パート1

森下 吉伸

※2020年記事

コロナでの群集心理


コロナ騒動で気づいたことは多いが、その一つに群集心理がある。

コロナで日本人のほとんどが同じ行動をした。

群れになって動いたのである。

統計や医学数字を冷静に見ると「そこまでやらなくてもいい」ことを日本全体でやり続けたのだ。

日本でのコロナリスクは、他の交通事故や病気でのリスクを比較してもたいしたことはなかった。

諸外国からのバッシングや利権専門家の偏った分析などもあって、日本はコロナ対応に成功したとはいえない。

実際にこの事実を薄々感じた人はかなりいた。

 3 月末のピークから下がっている感染者数でありながら、5月の連休明けに緊急事態宣言が解除されなかったとき違和感をもった人は少なくなかったのではないか。

そのことで商売や生活がさらに過酷な状況になる人もいたはずなのに。

見えないものに恐れている社会を理解して、群集に合わせるしかないと思った人もいるだろう。

逆らうことで異端児だと思われたくないからだ。

社会心理学者 R・H・ターナーは群集心理を①感染説②収斂(しゅうれん)説③創発規範説の3つで説明している。(ウェキペディアから引用)

①感染説:ある種の感情、観念、行動様式が暗示や模倣を媒介に人々に感染し、無批判的に受容されてゆく結果、群集心理の雪崩(なだれ)現象を引き起こす。

②収斂説:もともと類似した興味、関心、志向を共有する人々が共通の刺激状況のもとで、その潜在的先有傾向を一斉に顕在化するために心的同質性が生ずる。

③創発規範説:群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化すると主張する。

そして、これらの理論仮説は、相互排他的( 一方を選択すれば、他方を棄却しなければいけないさま)であるよりも、相互補完的(互いに不足している部分を補い、それで全体として不足のない状態にする)な説明原理だと理解すべきだといっている。

つまり、コロナ危機では、それぞれが選択することなく群集になって乗り切ろうとしたということになる。

群れで動く理屈


なぜ、人は群れで動くのか?

これは人だけでなく生物全体がそうだが、一人ではリスクがあることを全体で埋めるからであろう。

そうやって一人が安全にいける方法である。

動物、魚、虫など多くの生物が群れになる。

学者によっては砂漠の砂までもが群れだという人もいる。

群れで生じるメリットとしては「群れになると隣同士で摩擦が生じ、そのことで秩序がうまれる」のだという。

自分勝手に生きるのではなくあるルールが効率化や合理性を生み、自分を自分以上の存在にするということなのであろう。

とくに魚や虫などはその効果を「見た目」でとらえようとする。

小さなイワシが数万匹でクジラのようにみせることで天敵から身を守ることや、一匹ではおとなしいイナゴが何億となった大きな軍団で移動しながら餌を食べるのも、安全に身を守るためである。

体の色を黒に変えて、性格も狂暴になり、大きな悪魔のような怖い存在になっていく。 群れになる理由は、小さなものが大きなものメリットを手に入れようとすることであろう。

群集でラクに生きる


また、他人の真似をすることで「ラクに生きる」というメリットもある。

脳科学が最近流行っているが、そこで「脳は実にめんどくさがり屋」だと取り上げられる。

できれば考えるとか行動をしたくない。

新しいことを作り出すのはいやで、他人の真似で終わらせることができるならそれでいいと考えている。

群れにいるとラクなのだ。

その効果を得るために、群れになることで多くの生物はセロトニンが生成されているという。

群れになることで脳内ホルモンまで関係しているのだ。

次のメリットに「群れは優秀な力がなくとも、群れの力は発揮できる」ということがある。

一般に群集の方向付けは、いろいろと考えられた末に決まったものだと思うだろう。

群れの行動には、なにか強いリーダーシップのようなものがあると考えがちである。

しかし、実際にはそうではない。

それほど優秀なものが群れを引っ張っているわけではない。

コロナ騒動を大きくしたのはマスコミや専門家ではあったが、それに従って自粛などをしたのは、もっと違う力が群れをそうさせたのだと思う。

たとえば、虫が集団で移動するとき、一番先頭にリーダーがいるわけではない。

むしろ後ろにいるなんてことない虫によって移動させられているという。

まず、虫全員は群れのメリットは理解しているので集団で動きたいとは考えている。

しかし、先頭の虫が導いているのではなく、群れの中にいる虫が「これだけいると共食いがある。後ろにいる仲間に食べられたくない」という理由で前に進んでいるだけだという。しかし、それだけで全員が同じスピードで動くことができる。「仲間とは離れたくない。しかし、仲間に食われたくない」という気持ちだけで秩序が生まれ群れになっているのだ。

中には「ぶつかりたくない」「はぐれたくない」「遅れたくない」といった手前勝手な考えだけで、動ける方向へ動いているだけかもしれない。

そのことが外から見ると同じ思考で結び付いた大きな団体に見えるだけである。

このことは人間でも同じことが多い。

多くの場合が群れをコントロールしているものはリーダーではない。

なにも考えずにぶらぶらしている奴である。

とくに進む方向を決めていない場当たり的な人によって動いていることがあるのだ。

確実な事実や責任感によって群れは動いてはいない。 先頭にいる優秀なリーダーでなく、後ろの方にいる見えない凡人がリーダーであることが多いのだ。

群れは数人に引きずられる


ある意味カスケード効果(物事の最終判断が、他人の考えや行動によって引きずられてしまう)である。

ハチの世界でいうと、仲間とつるんで、目的がなくボーッとし、ぶらぶらしているハチが多くの蜜を持ち帰るらしい。

なので、無意識にそのハチが他のハチの行動を導くことになる。

人間社会でも同様なら、表向きコロナ騒動はマスコミや学者が原因だが、本当は、国民のなかにカスケード効果をだすものがいたのだといえる。

まさに、前に進むのは後ろにいる凡事に追われて前に進んだという感じであろう。

以前サイコパスの話をしたことがあるが、もし、社内にサイコパスがいれば、会社の士気、人間関係、成績などはサイコパスによって操られる。

会社のことを考えたリーダーではなく、利己主義を貫くサイコパス社員が隠れて組織をコントロールするのに似ている。

ある実験で200 人を集め、数か所のばらばらの目的地をつくって歩きだしてもらったらしい。

他の人とは手を伸ばしたぐらいの間隔をあけ、話さないでくださいといい、ストップがかけられるまで自由に歩いてくださいとした。

ただ、200 人の中で10 人だけある目的地を決めて歩いてもらう。

そうするとどうなるか?

単純に考えるとそれぞれが自分の好きな場所にいくと考えられるが、結果的には数分後 10 人に決めた場所に全員が集まったという。


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