「省エネ住宅」リフォーム活用法 パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
猛暑の続く8月が終わり、やっと9月になりましたね。
涼しい過ごしやすい季節になりつつあります。

さて、今回は「「省エネ住宅」リフォーム活用法」についてお話しします。

はじめに


今回は「省エネ住宅」について考えてみる。
これからの内容はパッシブハウスジャパン理事の松尾和也氏からの情報を元に、私になりに付け加えたものである。
彼は全国有数のエコ系の設計士でもあり、住宅・リフォーム業界ともつながりが深く、学者との関係も深い。彼が持つ独自のあるべき住宅の姿は、これからの時代では注目されるだろう。先日、当社グループ会社でセミナーをしてもらった。そのとき聞いた情報から、いちはやく、この書面をつかってあなたに「省エネ住宅の入口」となる部分をお伝えしようと考える。

では、なぜ、「省エネ」がこの時期に必要なのか?ということも説明しておきたい。
これは、ひとえにリフォーム会社の業績のアップと、生き残りを助長するためである。
まず、省エネの必要性を理解して、そして、現状ある大きなリフォーム省エネ市場に気づいてもらいたいのである。

そして、見せかけでなく本物のリフォーム専門会社になるためである。
このことで、ゼロエネルギー化が進む住宅業界にいち早く勝ち星をあげてもらいたい期待もある。

地元企業に残された戦略は、もう、広告ではない。
専門家がつくる家なのだ。

現場力が高く、次の欲求を満たすような提案ができること。いまの住宅の欠点を補ってレベルの高い生活へユーザーを誘引することなのだ。
私も自社をその方向へ軌道修正しているところである。
その意味を、これから落とし込む為にも、今回の情報は理解してほしい。
 
 

結論からいうと「窓」


ひとこと「省エネ」というと、なんとなくありきたりな言葉に聞こえるが、実は今後の住宅業界ではポイントになる。省エネというのは、単なる経費を節約させるということだけでなく、「経費を使わなくとも快適住宅づくり」ということである。
暑いときクーラーを何台も回さなくともいいとか、寒いときにも薄着で快適に過ごせるといった快適さである。新たなる住宅供給で、ゼロエネが浸透すると、やがてリフォーム業界においてもこの観点が必要となる。
 
松尾氏によると、いま、住まいに関する1万1千人アンケートで、不満・不便・不安ランキングをみると、1位は「暑い」28%、2位「寒い」27.3%、3位「結露」15%という結果だという。
なぜ、こういった指摘がでるのか?

家の善し悪しもあるが、原因はほとんどが窓だという。
窓の性能が悪いのだ。
熱損失の50%は窓からだともいわれ、窓が中心で対策をとるのが「省エネ住宅」の基本となる。

どの業界でも、顧客の不満対策をいち早く商品に反映させるのが日本である。
しかし、住宅業界は「快適」への不満に対して、あまりにも対策が講じられていない。

長年変わらない不満のベスト3への対策の根本は窓にある。
これは健康にも大きく関係しているが、この単純な対策すらできていないのが、いまの日本の現状である。彼が嘆きに、このことは大きい。
 
 

「窓」対策は世界では常識



窓対策は世界では常識なようだ。

たとえば、住宅先進国であるイギリスでは19度以下で健康に害するといい、室温は21度以上がよいといわれている。
室温を制限しているのだ。
そして、その対策には窓からの熱の流失に注目している。

アメリカでは50州で24州が「アルミサッシ厳禁」として、性能の悪いアルミサッシ自体を認めていない。さらにドイツでは「室温19度以下は基本人権を損なう」という概念まである。
室内の生えるカビは「瑕疵である」ともいわれている。

このように快適さや健康管理を、室内温度の適正化で考える国が多く、そのために世界的に家の断熱性の常識は日本と比べるとかなり高い。「室温によって健康が害されることは常識」は、日本の常識と大きく食い違いがある。暑い、寒い、結露、カビは当たり前が日本の常識である。この根本的な考えを変えなければならない限界にきているのである。
これからの時代に求められる住宅は、決して世界的に飛び抜けるのではなく、世界基準に追いつくことである。
 
 

日本での現状



では、日本の現状に触れてみる。
いかに、日本の常識によって支障があるのか理解できるだろう。

ある調査によると、ヒートショックで年間に17000人が亡くなるという。交通事故死亡者は年間4000人というので、比べると桁外れである。これだけみても家の中が危険であるとわかる。この事実だけをみても環境によって死亡は発生している。
一部の人々は「人は環境では死なない」という意見をいうが、松尾氏は「それは嘘である」とはっきり断言する。

また、近畿大学の岩前教授がとったアンケートによると、健康が改善されるのに必要なことは断熱である、という結果がでたという。一般的に質問すると、禁酒・禁煙・運動ということが出てきそうだが、実際は家の断熱によって改善されることが大きいと分かっている。
とくに、のどの痛み、目のかゆみ、アトピーといった症状にも貢献しているというのだ。
 
 

男性の常識が原因


そもそも断熱において無頓着なのは、男性が業界をリードしているからだと言われる。
男性にとって「暖かさ」はあまり意味があることだと思われていないのである。たとえば、ある統計では、男性に「冷え性だと思う」は34.1%程度しかないが、女性に質問すると76.1%にもなる。よって、男性が主導で住宅を取りあつかうので、現状の住宅が当たり前になってしまうのだ。
女性にとって住みやすい住宅に考えを移行することで、世界基準に近づくだろうし、快適さ、健康維持ができることを忘れてはいけない。

また男性は、寒ければ布団をかぶればいいと安易に思っている人が多い。
しかし、ただ布団の中に入っていれば暖かいと考えるのは危険である。

多くの女性は布団に入っても寒いと感想を持つ人は多い。
それは、冷え性といったことで片付けられるものでなく、実際に体温が下がっているからだ。たとえば、10度以下の寒い部屋では、呼吸によって肺が冷やされ体温がさがっている。中には突然死する場合もある。
その可能性を女性は感じているが、男性はそれほど感じていない。考えどころである。
 
 

快適に過ごす



では、快適さ、というのはどういうことか。
快適に過ごす基準はどのくらいなのか?ということになる。

まず、温度であるが体感温度で19度は必要だという。
《体感温度=(平均放射温度+室温)/2》体感温度が15度以下だと寒くて過ごせないという。

よって、一般的な家では体感温度をあげることをしなくてはいけないのだが、それには自分の周りにただよう温度を平均することが重要となる。つまり、平均放射温度をあげるのがいいわけだが、それには、室内で低い温度の部分をあげてやるというやり方がいい。
平均にするわけだ。
(寒い一部を蓄熱暖房などで温度の低い部分をあげるという手もある)温度においては、この観点が必要となる。

また、湿度は40~50%がいい。
通常、アレルギー、ダニ、カビ、建材からの化学物質の放出、バクテリア・ウイルスなども、湿度がその数字より上下になったときに発生するので、害をおさえるのに適した湿度なのである。とくに最近、ダニは多くのアレルギーの原因となるといわれるので、健康への貢献度は高いであろう。のど風邪のような症状も湿度によって防げるとも言われている。
こうした湿度調整の基準も知っておかなければならない。

まとめると、冬場のベンチマークが室温20度、湿度50%となる。
快適さと健康は、温度・湿度によって作られるので、ここを守ることが大切である。
そして、調整方法は「温度が下がれば湿度は高く」「温度が上がれば湿度を下げる」である。
ベンチマークを境に温度と湿度は、それぞれが相反して変化することが大切なのである。

結露についてもしかり。結露は、せき、気道敏感症、喘息症状、に関係している。
居間と寝室に発生する結露は、結露しない部屋と比べると健康被害は3倍も違うといわれている。なので、結露にならない露点は一般的には9.27度である。室内の壁などは11度程度が理想だという。

ただ、日本の窓は4度程度なので圧倒的に結露が出やすいのである。
やはり、窓がどうなのか?になるようだ。
 
 

日射のふせぎ方



では、もう少し、部屋の温度をいいラインで安定させていくためのいくつかの対策についてふれてみたい。
まず、日射のふせぎ方。
まず、基本は「冬は日射を取り入れる」「夏は日射を防ぐ」という当たり前のこと。

新築なら、できるだけ南面の窓面を多くして、ほかの方角の窓面を小さくするのがいい。
そして、性能のいいサッシをつかえば、これが1番効率的なのである。また、庇をもうける事によってさらに効果的になることもある。

こうした対策が有効だが、現状の日本では、これを機械的にやろうとしてかえって不効率にしている。
先の理屈にあわせると「夏冷やしたいなら火を止める」「冬温めたいのなら氷を入れる」ということだが、日本の施策は、その2つをいっしょに供給することにしている。それを太陽光などの機器によってだ。つまり、冷やす為に火をつける方法になってしまっている。松尾氏の言葉を借りると、「部屋ではクーラーつけて、足元にヒーターつけているようなもの」ということなのだ。
 
 

負荷を軽減する要素



温度や湿度を調整して、快適な部屋作りが健康にいいとはお分かりいただけたのと、それをできるだけ少ないエネルギーですることが経済的にもいいと感じ始めたのではないだろうか。
では、ここからはエネルギーをかけないで快適さを手にする為にどうするのかを考えていきたい。

まず、暖房負荷を決める3大要素とは何か?を考えると・・・

①日射取得5割(次世代仕様だとして)
②断熱性4割
③気密性1割

であると言われる。
この割合を知っておくことが重要だと言う。
そして、これらの対策は「足し算」で効果がでるのでなく「かけ算」だともいわれている。倍々で効果が上がることもあるのだ。

また、冷房負荷を決める2大要素でいうと・・・

①日射遮蔽7割
②断熱性3割 (あと、気密性少々、通風少々)

こういった結果となる。
つまり、何処まで言っても「冬は日射を取り入れる」「夏は日射を防ぐ」ということなのである。
 
 

経済的なメリット



次に、経済的なメリットについて考えてみたい。
快適な家を手にするのとあわせて経済的な家作りの提案が、今後の勝負になるからだ。ひと言でいって「全ての人に温かく省エネな住宅を」ということである。そして、「サラリーマンに手が届くイニシャルコスト、毎月払えるランニングコスト」という感じである。考え方は、「健康と快適性を両立させるには全館暖房」であるという。
こういうと、高価、贅沢、人工的、不自然などのネガティブイメージがでるが、本質は「エアコン1台で24時間家全体が温かい」という家づくりなのだ。

ここでいいたいのがエアコンである。特別なものはいらない。
エアコンの要素は、暖房、冷房、除湿である。
それらの調節によって快適さがでるので、結論ではエアコンを使い倒すので1番節約になるのだ。多機能でなくとも年間900万台の量産効果で超低価格のものでいい。エアコンだけでは快適な住宅が、断熱性をあげて、窓の性能をあげることでできる。
まず、経済的なメリットの1番はエアコン1台程度でエネルギーは済むということである。


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