「損切り」をするということ パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
毎日うだるような暑さが続いていましたが、あっという間に8月ももうすぐ終わりですね。
少しずつ暑さも和らいできたでしょうか?
早く過ごしやすい気候になって欲しいものです。

さて、今回も前回に引き続き「「損切り」をするということ」についてお話しします。

「損切り」をするということ パート2

なぜ、いま「損切り」なのか?


さて、代表的な「損切り」はどういうものか、お分かりいただけただろう。
しかし、なぜ、今これが、あえて必要というのか首をかしげたかもしれない。
本来は「損切り」は、どんな状況でもやらなければならないものだ。今やらないといけない、というものでは無い。犯してしまった過ちなどを、簡単に片付けるベストな方法が「損切り」だとは分かっても、どうして、いま「損切り」を話題にするのか?

答えは、簡単な話、「お金のないときに損切りはやりにくい」。
いたって簡単な理由だ。

赤字のときは、余分なお金がでないので、時間や労力をかけてもトラブルは解決したいと思うものだ。「損切り」のメリットは理解していても、経営が苦しいときはできないものだ。

しかし、「損切り」は、必要があればいつでもやらなければならない。
だったら、いま、積極的にやっておくことで練習しておくことも大切なのだ。

 
 

「損切り」は「顧客を見切る」のと同じ


おもしろいたとえをしよう。見込客のすくない営業マンもおなじということだ。
どんな営業マンも見込客がすくなければ「顧客を見切る」ということができない。あたりまえだ、切ってしまうと仕事がなくなってしまうからだ。
よって、どう考えても契約に至らない顧客を追っかけ続けることがある。まったく意味のない行動だ。しかし、逆に見込客が多ければ、必然的に「顧客を切っていける」。

心に余裕が生まれるので、契約出来る顧客との時間を優先し、できない顧客との時間は使わないという原則を守れるようになるのだ。

よって、余裕のあるこの時期に、積極的に「損切り」できることはしておくことは重要となる。
さきほど、練習するのがいいといったが、余裕のあるときの練習によって「損切り」に慣れておくことも大切だ。これからも必要に応じて「損切り」していけるように。

そうすることで、今後、もし、会社に危機が来ても「損に時間をかけない」と癖づくだろう。もし、拡大や投資にお金をかけるつもりなら、こういった社内の風土改善にお金をかけて欲しいといいたい。

 
 

「損切り」しなかった失敗



また、「損切り」というのは、目先の利益だけを追求しないということにもつながる。
「いまは損をして、将来のために利益を先送りする」という発想が、かえっていまの利益を上げるということにもなるのである。
 
実は、うちの会社でこんなことがあった。
今年の上半期(1月〜6月)なんとか過去最高の半期利益を出そうとした。
というのも、受注状況がよく記録を出してみたいと考えたのだ。

うちの専務も、最終月を目前に「現状ではいける」と判断し、できるだけ数字が出るように頑張った。6月に入ったときは、「これは何処まで利益がでるのか」と楽しみにしていたのだが、結果は大きく下回った。売上額は目標達成したのだが、利益が伴わなかったのだ。というのも、現場が集中して、管理がおろそかになり無駄な原価がでてしまったのだ。

ついつい、こういうことをやってしまう。
こういった苦い経験を、これまで何度もしているのに、またやってしまう。
人間とはほんとうに愚かなものだ。

ここは、調子が良くても「損切り」すべきだった。
成績だけに執着せずに、バランスを考えれば良かった。まず、いま自分たちのできる工事能力を理解し、無理なところを思い切ってとりやめ、工事を先に送れば良かったのだ。

「急がば回れ」という言葉はいつも使っていた。
「損して得取れ」という言葉も使っていた。

しかし、好調なときは、それを見失ってしまう。
ついつい無理をしてしまって、結果として損害を出してしまうのだ。だからこそ、いまの高い利益だけを考えずに、継続的に利益がでるようにバランス感覚を持たなければいけないのだ。
リフォーム工事だと、着工時期や完成時期などは、ある程度はこちらで操作ができる。よって、こういったバランスはとりやすいのだ。

 
 

「損切り」はまだ先客を集める



また、「損切り」というのは、「まだ先客様」を集めることにも言い換えられる。どの企業も、今すぐ買ってくれる顧客が欲しいだろう。それも分かる。だからこそ、好調なときには、今すぐに買ってくれる顧客を集めようとする。しかし、我々がやらなければならないことは、まだまだ先に買うというお客様を集めることだ。これも、いつも言っているだろう。そうして安定的に売上げが維持できる準備をしておかなければならない。自社のプロフィットゾーンを作らなければならないのだ。

 私のいう自社のプロフィットゾーンは、自社の周辺エリア3万〜5万世帯だ。このゾーンにいかに顧客を確保するか、その顧客といかに関係を取り付け、持続していくか、これを成し遂げた企業に勝算があると考えている。また、このゾーンをしっかりと作り上げることで、この先景気が悪くなっても、日本全体の市場が小さくなっても、あまり業績に影響はないともいえる。がっちりと固めるとライバル会社も入ってくることができない。あらかじめ将来性のあるエリアを自社のプロフィットゾーンと決めておけば、リスクは少ないのだ。 

 ただ、「まだ先客様」を集客の柱にするのはいいが、これをすると「今すぐ客様」の集客に100%の広告費、労力をかけられなくなる。となれば、今の売上げが欲しいのに、先で売上げに会社の力をかけることで、逆行している。なかには今は損をしてしまうと考えてしまうかもしれない。だが、そうではない。今すぐに売上げが上がらなくとも、先の為に投資を続けることはいい。

 そして、どこかのタイミングでまいた種は芽が出て実り始める。畑が充分に茂ることができたときに、自社のエリアはプロフィットゾーンになり、勝てる会社になるのだ。

 なので、とにかく、いまは損であっても、先で得をえることを考えた方がいい。もちろん、「今すぐ」を忘れてはいけないが、「まだ先」をあわせて考えることが必要なのだ。しかし、今すぐにならない顧客を、今集客するのは損だともいえる。よって、これも一種の「損切り」といえるだろう。ただ、これも、好調な時期にやっておかなければならない事ではないだろうか。

 
 

新たにルールを変えるのも「損切り」



では、最後になるが、「損切り」には、過去のしがらみやルールを変える、という意味もある。
これまで会社の内部で行ってきたことは、いいものと悪いものがかならずある。

しかし、そのどちらもすぐには変えられない。
たとえ、それが悪しき習慣であっても、なかなか変えられないのだ。なぜなら、変えるにはリスクがつきまとうからである。というのも、時間がかかるし、お金もかかるということが多い。

また、せっかくルールに慣れてきたのを、初心者にもどしてしまうのはだれでもいやだからだ。
そこで、駄目だと分かっていてもそのまま続けてしまう。
それがマズイのである。

好調なときには、多少の問題は見えてこないが、これが、業績が悪くなってくると、次々に隠れていた問題が出てくるのである。もっときちんとしておかないといけない、それらを打破するルールを新たにつくったほうがいい、と思いながら、過去の習慣、ルールを変えるには、お金も時間もかかるのでやめておこうとなってしまう。というのは問題の先送りになるだけで、いいことは何もないのだ。

なので、いま、大変でも、ある意味、いろんな損をだすことになっても、この時期に変えておく必要があるのだ。
好調な今やっておかないと、売上げが落ち、赤字のときには、やりにくいものだからである。
これも、まさに「損切り」の発想である。

 
 

さいごに


さあ、今回は「損切り」ということをテーマで話を進めたが、いかがであったろうか?
「損切り」をやろう、という事より、これからの時代を見据えて、経営者として、なにをしなければいけないのか?なにを準備して、どこにポイントをおいてやっておかなければならないか?ということへのヒントがあったのではないか?
まさに、油断をしてはいけない、という気持ちにはなっていただけたのではないか?
 
ならば、迷わず、スグに実行してほしい。
考えている場合ではない。

自社の弱いところだと思う部分から、手を入れていただきたいのだ。もし、考えがまとまらない、また、いろんなアイデアがでてきたが深められない、どうやればいいのか分からない、といった事があるのなら、月次の電話相談を利用して欲しい。たった、45分間でその糸口がみつかるのなら簡単な事だろう。
ただ、毎月、日程が決まっているので早めに予約をお願いしたい。