組織を成功に導くリーダーへの道 パート2

森下 吉伸

みなさんこんにちは。森下です。

 

前回の記事で、「商売とは、最終的に人間性がモノを言う」とお伝えした。
では具体的にどんなあり方、どんな心の持ちようが望ましいのだろうか?

 

特に重要な点を挙げると、以下の5つの点が重要であると言える。

 

人間性を高める5つの教え
①思いやりを持つこと
②きちんとした風貌や振る舞いをすること
③情熱や熱意を燃やすこと
④使命感や信念を持つこと
⑤素直であること

 

これらのポイントは、歴史上の偉大な人物の言葉や書物からも学ぶことができる。
順に見て行きたい。

 

 

①思いやりを持つこと


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思いやりの大切さを説いた人と言えば、中国・春秋時代の儒学者、孔子である。
孔子とその弟子たちの問答などをまとめた古典『論語』にはこんな言葉がある。

 

「子曰わく、政を為すに徳を以ってすれば、譬(たと)えば北辰其(そ)のところに居りて衆星之に共(むか)うが如し」

 

これは、「先生(孔子)がおっしゃるには、思いやりのある政治を行えば、例えば多くの星が、真北で動かずにいる北極星に流れ向かっていくように、多くの人たちがその徳を慕って集まってくる」といった意味だ。

 

現代に生きる私たちも、「あの人は思いやりがあるな。徳があるな。あの人といっしょに仕事をしたいな」などと感じることがある。
世の中には「生まれながらのリーダー」と呼ばれる人もいるが、思いやりは先天的なものではなく、後天的なもの、つまり、環境によって育まれるものなのだ。

 

よって、日ごろから思いやりを心がけていれば、実際に思いやりのある顔かたちになっていく。

 

すると今度は、周りの人たちが尊敬の念を抱いて集まってくる。
その「人の輪」の中で自分がさらに磨かれ、自ずと高い人望ができ上がっていくのである。

 

②きちんとした風貌や振る舞いをすること


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これも中国の教えにある。
周から漢の時代の礼に関する書物をまとめた古典『礼記』に、「およそ人の人たる所以は礼儀なり。礼儀の始めは、容体を正し、顔色(がんしょく)を斉(ととの)え、辞令を順にするにあり」という言葉が残っている。

これは、「人が人らしく生きていくには礼儀が大切で、その第一歩は、容体(態度・姿勢)や身なりを正し、いい表情をし、言葉使いに気をつけること」といった意味である。

 

これには解説が必要だろう。

態度・姿勢には、「人の話を聞く態度・姿勢」「親族に接する態度・姿勢」「社会の人に接する態度・姿勢」などいろいろなものがあるが、要は、人に接するときには態度・姿勢に気をつけ、好感を持ってもらうことが肝要ということである。

 

③情熱や熱意を燃やすこと


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これまで、メンターやコーチの条件の1つとして、「本気で物事に取り組んでいる人」を挙げた。
どんなことにも本気で立ち向かう人、情熱をもって事に当たる人は、やはり魅力的だ。
私たちはそういう人に憧れを抱き、引きつけられ、いつしかその人の虜になっているのだ。

 

名著『経営秘伝/ある経営者から聞いた言葉』(PHP研究所)によるとパナソニック(旧社名、松下電器産業)をわずか一代で築き上げ、経営の神様と称された松下幸之助さんは、こんな言葉を残している。

 

「仕事をする、経営をするときに、何が一番大事かと言えば、その仕事を進める人、経営者の熱意やね。溢れるような情熱、熱意。そういうもんをまずその人が持っておるかどうかということや。あれば知恵が生まれてくる。(中略)熱意は成功へのハシゴやね。(中略)わしは人材を登用するときに、原則としては、その人のいろいろな能力よりも、その人に熱意があるかどうか、体にみなぎるほどの、正しい熱情があるかどうかを、考え判断してきたな。そしてたいていの場合、成功したな。」

 

名言と言えるだろう。
最後のひと言には、理屈を超えた真実だけが持つ、特有の凄みすら感じさせる。

 

社長であれ社員であれ、成功するには情熱や熱意が必要ということなのだ。
特に、組織のリーダーたる社長には欠かせない要素である。
人は、情熱や熱意に溢れるリーダーに魅力を感じ、「この人といっしょにずっと仕事をしていきたい」と思うものだ。
天才と言われる社長でも、智謀が泉のように湧き出てくる社長でも、肝心の情熱や熱意がなければ成功に辿り着くことはできない。

 

④使命感や信念を持つこと


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これまで「いい組織をつくるには明確な指針や信条が大切」と説明したが、これはリーダー自身にも言えることである。
つまり、優れたリーダーの条件の1つは、強い使命感や信念を持つことなのだ。
『論語』には「孔子曰く、命を知らざれば、以って君子たることなきなり」とある。
これは「先生(孔子)がおっしゃるには、自分に与えられた天命を知らなければ君子(リーダー)の資格はない」といった意味。

 

しかし残念ながら、こうした使命感や信念を持っている社長は多いとは言えない。
実際、私は商売をしている社長と話をしていて、こんな会話になることがある。

 

森下「社長は何のためにこの仕事をやっているんですか」
社長「お金を儲けたいからだよ」
森下「それはそうですよね。じゃあ、そのお金で何をするんですか」
社長「うーん、それはまだ考えていない。儲かったら考えるよ」

 

つまり、この社長は目的を持たずに商売をしているのだ。
もちろん、目的を持つのも持たないのもその人の自由だが、成功したいのであれば、これではいけない。
会社を経営していくと毎日のように大きな壁にぶち当たる。
そのときに「どんなにリスクがあろうと、どんなに難しいことだろうと、自分にはなし遂げたい一事があるんだ」という思いがあるから、人の何倍も努力できるのである。

従って、リーダーには強い使命感や信念が必要なのだ。

 

⑤素直であること


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自分の周りに成功している人がいればその人のことを観察してみてほしい。
その人は物事をトントン拍子に進めていき、周りの人との差をどんどん広げているだろう。

 

なぜ、そんな芸当が可能なのか。
それは、その人の性格が素直だからに他ならない。

 

素直な人は、メンターから「成功するためにはこうしなさい」と助言されたら、
「はいっ!分かりました。そのとおりにします」と間髪入れずに答える。

 

そういう人は成功理論を即実行するので、成功への道を一気に駆けることができる。
また、素直な人は魅力的で好かれやすいので、協力者が次から次へと現れます。
何かにつまずいても誰かが手を差し伸べてくれる。
したがって失敗も少なくなるのだ。

 

つまり、

 

・素直だからメンターの助言をすぐに実践できる→すぐに実践できるから成功が早いし、大きい。

・素直だから人に好かれる→好かれるから人が集まる。
人が集まるからエネルギーが生まれる→エネルギーが生まれるからマインドが前向きになる→マインドが前向きだから後ろ向きの人や邪まな人を遠ざけることができる

・素直だから人に好かれる→好かれるから、失敗をしても誰かが助けてくれる

 

といった流れを、自然につくり出せるのだ。

 

私たちは子どものころから「素直になりなさい」と言われ続けてきた。
「分かってはいるけど難しい」というのが人間だが、素直だから成功するし、素直だから失敗しても挽回できるのである。
素直でいることが人生の豊かさや成功に影響していることを忘れてはいけない。

 

 

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