待つという戦略 パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

 

11月に入り、空気が一気に冷え込んできている。
気温差が激しい季節である。体調管理には常々気をつけていきたい。

 

さて、今回は「あえて待つ」戦略についてお伝えしていきたい。
安く・早くものが買える時代に、我々リフォーム業界はどう戦って行くべきなのか?あえて、時代の逆を行く戦略を考えてみたい。

 

待つという戦略_1

簡単に、早く、安く


インターネットの普及で、ものが簡単に早く買えるようになった。
それはそれでいい。大店舗の窓口でも、なんでも安く買えるようになった。これもいい。そして、企業の多くは、この2つをミックスして、さらに、簡単に、早く、安くものを売ろうとしている。これが、今の常識的な流れだろう。

 

しかも、インターネットは工夫すると、個人でも、簡単に、早く、安く売ることができる。それほど投資をしなくともSNSなどを利用して、一気に売ることもできる。よって今、多くの経営者はインターネットに目が行き、大きな競争が起きているのも事実だろう。これからの競争で勝つには、ひたすら、簡単に、早く、安く売ることが重要だという人が多いのではないか。

 

しかし、我々も、その流れでいいのか?我々もそこで戦うべきなんだろうか?
大量集客とか、リスト取りとか、出会いを作るにはインターネットが最高なのは分かるが、早く、安く売ることを追求することで、これからも競合に勝ち続けるのだろうか?

 

多分、答えはノーだろう。
いつも世の中の逆を行くのがグッドだといっている私になりに、簡単に、早く、安く、といったことに対抗できる戦略を今回考えてみる。

 

常識の流れにのると負けやすい


待つという戦略_2

世の中の逆をいくのが良いと言った。
なぜなら、いつの世でもそうだが、その世で常識だといわれる流れに絞った追求は、どこかで限界が来る。最初はいいのだが、常識となり、多くの人が同じことをやり出した瞬間から、競争が激しくなり、負ける可能性が高くなる。

 

バカばかりいるわけではないから、それなりにみんな工夫してくる。
その戦いは大変なのだ。常識の逆を行くということは、競合が少なく戦いやすいということなのだ。

 

しかし、そうはいっても、購買する顧客の心理を考えると、簡単、安く、早く、が売れやすい、といったことは絶対大切であろう。もっと言うと、新規客の獲得の王道だろう。しかし、リフォームは既存客に目を向けなければ売上げが伸びないので、王道だけの追求はやめたほうがいい。これからは、既存客に対して王道の追求から、さらに効果の高い対応を考えたいのだ。

 

先ほど、常識では限界がくるといったが、それでも成功する会社もある。
大きな競争に戦い、数千分の1とか、数万分の1とかの確立で勝つ会社。大体がお金をたくさん持っている会社だろう。ちょっとやそっとでは、お金が底をつかないという会社。そうでない会社は、どこかで限界がきて脱落してしまうのだ。
それにあなたの会社がなれるだろうか?
私は、そういった勝つ確立の低い戦いはお勧めしない。

 

非常識な縁故マーケティング


待つという戦略_3

私は、縁故マーケティングにこだわっている。
これが、次の時代にも通用するノウハウだと言い切れるからだ。多少手間がかかるが、やり方によって今でも勝てるし、これからも勝てる確立が高い。これから10年は勝ち続ける継続性が高いといえる。
スピードや効率だけを重視せずに、あえて面倒であったり、待つことを行ったり、遅く、不効率なこともある。しかし、これらのバランスをとることによって勝てるポイントとなるのだ。

 

また、縁故マーケティングはマネがしにくい。
地道な根気のいるマーケティングは飽きてしまう。上手なやり方がわからないと飽きてしまうのだ。つまり、コツを知らない競合は真似しにくく、結果として、戦いやすいということになる。
我々は、研究会などで、縁故マーケティングが実践し続けられる情報を手にし、コツを理解し、継続することができるので問題ないが、他の競合会社は簡単には実践できない。

 

だから、競合の多く、つまり世の中の常識となる流れは、スピードや効率、または、安さを追求してくるしかないのだ。縁故マーケティングを追求するということは、競合と同じ土俵に上がらない、常識の逆を行くということになる。
そして、その非常識を、もっと強力なものにするのに、「待つ」ということ、「待たせる」という魅力を、ここで一度、見直すと言うことは有意義でないかと考えている。

 

また、縁故マーケティングで考えるこれから10年のリフォームターゲットは高齢者だ。高齢者と言っても、介護リフォームの事を言っているのではない。健康な高齢者だ。彼らからの受注を上げるのに、スピードと効率だけにとらわれない「待つ」という縁故マーケティングは必要となる。
とはいっても、多分、高齢者へのリフォームは、結果的に介護リフォームが多くなるだろう。そうであっても、「待つ」ということのしかけによって、既存客とさらにがっしりと結びついた関係になるだろうと予測している。

 

なぜ、「待つ」と言う考えがいいのか?


待つという戦略_4

では、縁故マーケティングを、より定着率、成約率の高いノウハウにするため、これから「待つ」という仕掛けをどうすべきか考えてみたい。

 

まず「待つ」というと、あまりいいイメージはない。
私自身も、スピード営業、パック商品、訪問時即見積など、早く簡単で分かりやすく売る為に、色んな戦術を立ててきた。人は、難しいのも、分かりにくいのも嫌だが、待つのは嫌なものである。そうすると、待つという概念は考えたくない事になる。

 

しかし、ここで、あえて「待つ」ということをマーケティングに入れてみる。
そして、「待つ」ということに価値観をつけることで、より会社としてのブランドが上がる。他社にはマネの出来ないブランディングができる。
くどいが、これは新規客をイメージしてはいけない、既存客に対してのアプローチとして使っていくのだ。

 

では、なぜ、待つことがなぜいいのか?
これまでも、「待つ」ということでうまく商売をしている会社はある。
例えば、何時間も行列をしなくては入れない店、また、何ヶ月もかかる納期の商品。平気で待たす、じらす、ほっとかれる。そのうち顧客は怒り出す人もいる。それでも、手に入ったときの喜びはひとしおだ。その努力によって、だれでも手に入らない貴重なものを、自分の苦難を乗り越えて買ったという気になり、満足度があがるのだ。

 

こういったことを、昔の欧米のミュージシャンは平気でやった。
例えば、ローリングストーンズ。観客に、ステージが始まるのを何時間も待たせる。そして、待ちすぎて怒りが爆発するころを見計らって、颯爽とステージに現れる。怒りと喜びでファンは終始興奮し、大盛り上がりの中で、ステージを終わらせ、煙のように去っていく。このステージパフォーマンスは伝説となり、彼らの自由奔放な姿にカリスマを感じ、そして、ますますヘビーなファンになっていく。

 

もう一度、スピードと比べる


待つという戦略_5

反対に、待たせない、つまり、スピードがあるということは、安いと同じぐらい売りやすい。なのに、あえて待つということに効果があるのかどうか考えてみる。

 

まず、リフォーム会社でスピードを追求するということはどう言うことか?
例えば、インターネットで、ワンクリックで商品が買えるように、どんなリフォームでも簡単にワンクリックで買えるようにする。実店舗で言うと、大手の家電屋のようにするということか。どでかい店舗の窓口で、商品を絞り、スピーディに買えるようなパック工事を、店員が売りまくっている。こんな感じだろうか?

 

しかし、これらをマネするとしたら。どうなるだろう?
多分、スピードを追求することで、利益を落とさなければならない状況になってしまう。請負工事なので、漏れやリスクが大きくなるだろう。時間をかけて見積をすることがないので、見落としが多くなるだろうし、予測しなかった現場でのハプニングが多くなり、その対処に余計な時間を使う可能性もある。

 

しかも、忙しいので、担当者は休んでいるヒマがなく疲れ果てる。
やめてしまう数も多くなるだろう。大きな会社では何とかなっても、小さな会社はついて行けない。スピードは、そこで争えば争うほど、利益が下がり、リスクが増えてしまのである。ちょっと極端にいったが、まんざらウソではあるまい。

 

スピードは安売りと似ている


待つという戦略_6

こうやってスピードをみると、安さを追求することと同じであると分かる。
安売り合戦も、やればやるほどキリがなく、ある所までは「コストダウン」として企業の実力を伸ばすことになるが、すぐに限界が来る。安売りで勝負する多く会社はやがてなくなっていくからだ。

 

よって、安さに頼らないリフォーム会社を目指す会社が多くなる。
高い見積金額でも売れる会社を考える。例えば、特典、サービスなどの付加価値、地元での信頼度、プランや工事のクオリティーの高さなど。ここが、できるだけ他社と比べるとユニークであればあるほどいい。そして、その強みを広告でしっかり上手に表現して、安さ以外に反応する人たちを集める。

 

確かに、付加価値にはスピードというのもあったが、それをピックアップしすぎると言ったようにドツボに落ちる。「もっと安くしないと売れない」という会社のように、「もっと、早くしないと売れない」ということになってしまう。

 

安さを追求しないことを考えるように、スピードを追求しないことも考えていきたい。スピードを追求することは、安さを追求してきた、これまでの負け組会社と同じことになるからだ。スピードは、利益の減少に繋がることを忘れてはいけない。

 
 
 

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