建築コスト10%ダウン術 パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
 
 
秋に入り、暑くもなく寒くもない、過ごしやすい季節となってきた。
しかし季節の変わり目は同時に体調を崩しやすい時期でもある。十分留意していただきたい。
 
 
さて、今回も引き続き「建築コスト」について話していきたいと思う。
 
 
今回は、より具体的にコストを削減する為の取り組みについて述べていきたい。

 
建築コスト10ダウン術_1

社内での運営内容をチェック

サンクコストのチェックは、社内で業務がなされている端々を、第三者の目で見ることで無駄を見つけることができる。
 
 
それを続けていくと、さらに社内の運営内容にもチェックができるようになる。外注などでコストダウンが難しければ、 運営内容の中からもカットできるものを見つけてみたい。
 
 
では、一般的な運営内容のチェックは どういうものか項目をみていこう。

⬛準備は万端か?
・いつも最新の単価表が作成されているか。
職人の出入りはどこのリフォーム会社でもある。その都度、新規業者を数社よんで価格のコンペをさせるなど、絶えず、新しい単価表を作り、営業マンがきちんと活用しているか。
 
 
・取引業者へ発注内容が現状工事とあっているか。
手間だけの発注、材料もちの発注との明確な違いが認識されているか。材料もちの発注で、材料の運搬・処分をこちらでしていないか。片付け、掃除、養生など作業者がやらなければならいことを、こちらでしていないか。
 
 
・標準工事の設定(工法、仕様、品番など)ある程度、使う材料の仕様・品番などが決められてあるか。
ある程度決めることで仕入が安くなる、残材の有効利用できる可能性を無駄にしていないか。産廃費用の増加、あてのない倉庫での仮置き、など無駄になっていないか。
 
 
⬛粗利益がとれる工夫がなされているか?
・見積時に実行予算を決めているか。
見積項目ごとに売値と原価を決めており、見積をした時に、契約粗利益がはっきりわかっているか。工事が終わってみないといくら残るかわからないといった後手管理になっていないか。
 
・見積時に発注先を決めているか(事前発注の徹底)
発注する業者・職人によって発注条件が多少違ってくるなら、見積時は発注先を決めているのか。そのことで契約後すぐの工事でも、 事前発注ができ予算提示ができた上で、職人に工事にかからせることができる。
 
・発注書・請書が作成されているか。
職人へ依頼する工事が明確でないことで、現場で無駄な費用が発生することがよくある。 必ずしてほしい工事内容をきちんとつたえ、それについて確実に受けたことを残せているか。
 
⬛お金が残る動きになっているか?
・資金ショートにならない対策ができているか。
借り入れが増えないように資金ショートしない対策ができているか。支払いを今月締めで、 翌々月払いにするとか、顧客からの前金額を増やすなどして、できるだけ立て替え払いをしなくて済む入出金になっているか。
 
・ 店舗・人員に余剰はないか?
活用されていない、費用対効果の悪い店舗、 また、必要以上に多い人員など無駄はないか?ただ、人員など、ある程度余裕も必要なのでバランスのいいところで判断されているか?
 
 
⬛現場力を上げる努力があるか?
・ 掃除、片付け、養生、挨拶という4つがなされているか?
現場での無駄なコストはいろいろあるが額がはるのが、顧客からのクレームと過大な要望への対処である。これらは現場での不満からおこることが多いので、現場のモラル・マナ ーといったものが高いほど起こりにくい。きちんと教育され、実行できているか。
 
・早期着工、工期短縮できているか。
一つの現場において時間軸でみると、より期間が短い方が費用はかからない。最初の面談 から契約、そして着工し完工する。この期間を短くすることで生産性をあげる仕事の仕事へシフトできるので、最短のスケジュールがたててあるか。
 
・1回で済むことは1回で済ませているか?
必ず現場に出入りしなければならないのは職人なので、原則、職人が現場で人手のいる全ての作業をやることが無駄をなくす。できるだけ現場に入る人手を減らす努力ができているか。
 
 

得意分野以外で勝負しない


LOSE  or WIN
この程度のチェックでも、まだ手をつけていなかったことがあれば、やればやるだけで少しはコストダウンにつながる。
 
 
そして、全てにおいて安定的にできることになると職場や現場の整理や効率化につながるので、その後に大きな無駄の排除となって、大きくコストに跳ね返る。1割も夢じゃないのだ。
 
 
一つ一つのコストダウンをしながら、大きな枠組みを変えて、会社の運営自体も無駄な費用が出にくい会社にしていくきっかけになるのである。
 
 
そして、この効果をさらにアップする考えが、自社の得意分野以外での戦いをやめることである。
 
 
リフォーム業界にも流行があるので、その時によってピックアップされる商材や工事がある。まだ、その程度ならいいが、他の業種が扱う仕事まで手を広げるのはやめた方がいい。
 
 
利益が出ないからと新たなことで勝負しようとする会社がある。たとえば、リフォーム会社なのに新築や不動産であげようとする会社がいい例だが本業以外のチャレンジはリスクであり、行きづまる住宅業界ではその度合いはさらに大きい。
 
 
もっとも、攻める時期ならいいがコストダウンを必要とするときは守る時期である。
 
 
守るときに得意でないことへわざわざ手をだすことはないのである。また、値引きをしなくとも売っていけるものが得意工事である。そもそも自信があるし、得意であるがゆえに効率よくやる方法がいくつかわかっている。
 
 
売値を下げずに、効率のいいコストダウンができるのも、得意工事だからできる技である。得意工事をさらに深めることが望ましい。
 
 

売価は下げない


電卓と住宅模型
また、守りのときだからこそ売値は下げてはいけない。
 
 
どれだけコストダウンが成功しても、値引きで帳消しになってしまうからだ。現況の売値を守る姿勢が大切である。
 
 
また、危険予知も必要となる。もし、この先、売れない状態となったらどうするか?もし、思いもよらない事故や災難がおきて大損害をくらったらどうか?そうならないために備えをする費用は必要な投資となる場合がある。
 
 
いま、少しのお金で、先でおきる損害をできるだけ押さえる。これも広い意味でのコストダウンであろう。
 
 
投資というのは、代表的なものは保険の類である。必要以上の保険は無駄であるので、その頃合いが難しい。これは、コストダウン、守りの大切さを理解した社長の直感に頼らなければならない。
 
 
また、自己成長と危険予知はトライ&エラーでしかわからないこともある。自己成長では投資が利益になってかえってくるが、危険を察するためだと即利益ではない。しかし、あらかじめ損害を防ぐには大切なことなので、投資しなければならない。心配しなくともかならず利益に返ってくるはずである。
 
 

悪い時に最悪の手を打つ


チェス
「うまくいかないときは、うまくいかないことをしている。ただ、それだけである。しかし、だれもがうまくいかないと思ってやっているわけでなく、うまくいくと思ってやっていることばかりだ。だから、いつまでたってもうまくいかないのである」とまあ、念仏のようなことをいったが、分かる話ではある。
 
 
であれば、うまくいくことをすればいいのだが、それにもタイミングというものがある。
 
 
うまくいってほしいと願うときは、いまが悪いときが多い。コストダウンのときはまさにそのとき。なので、手を打つときは悪ときに打つことになる。
 
 
しかし、悪いときなので、いい方法をなかなか思いつかないものである。結果として、悪いときに、悪いタイミングで、悪い手をうつことになることがある。
 
 
そして、あせればあせるほど最悪の手を打ってしまうものなのだ。しかし、準備をしておくことで対策はできる。準備というのが、先にいったチェック項目のことである。
 
 

コストダウンを成功させる3つの鍵


成功の鍵
さて、2回に渡りコストダウンというものを、私なりの見方で話してみた。
 
 
なぜ、いまコストダウンなのか?どうやればいいのか?がご理解いただいただろう。もし、あなたが必要だと思ったのなら今年中にアクションを終えとかないと来年だと遅いかもしれない。具体的に取り組んでほしい。
 
 
では、最後にコストダウンにつながる外注先への対応について触れて終わりたい。まず、コストダウンを成功するために、次の3つが必要となる。
 
① 職人の数を増やす
② 1現場当たりの工事発注額増やす
③ なんども同じ職人を使う
 
職人の数は多いほうがいい。もちろん中心として使う職人がいていいのだが、かならずその他にもいるようにすること。
 
 
そのことで、交渉はぐんとやりやすく、そして、こちらも遠慮なく決断できる。また、できるだけ発注額は大きいほうがいい。発注先の売り上げに占める当社の発注額が多ければ大きいほど交渉はできるし優遇される。
 
 
そして、最後は、なんども依頼するという実績と、今後も依頼するという予告が必要なのだ。
 
 
この3つを前提に取引すると、圧倒的にこちらが有利になり、取引先からすると、我々はとてもいいお得意様になるからである。その状況を作っておけば発注単価の交渉はやりやすい。
 
 
また、先に行ったコストダウンするためのこちらの対策にあわせてくれるのである。コストダウンは、当社だけでなく周りの協力があってこそできるものである。かしこく取り組んでいただきたい。
 

 

 

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