安く見せるコツ パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

「お客さまは何を欲しがっているのか?」
それに答えた広告を打たないと当たらないわけですが、それをしぼりこむのが難しい。
ただ言えるのは、リフォームにかかわらず購買につながる情報は、少なくともその物のスペックではないということ。
簡単にいってしまえば、「どうお客さまから信頼を得られるか」というアプローチや情報がほとんどなのです。

それと、現実的にお客さまが動きやすいメッセージに「安さ」というのは必ずいるでしょう。
だからといって、上手にやらないと単なる「安売りの店」になってしまいます。
それでもいい会社もあるでしょうが、ほとんどは単価の高い、利益の取れることを望んでいるでしょうから、「利益をキープしながら安く見せるコツ」がいるはずです。
そこを、今月は考えてみます。

安売りするのがいやだった過去


リフォーム業をはじめたころだと、どんな工事でも買ってもらえるなら喜んで売ったという記憶は誰にでもあるはずです。まず、売らないと話しにならないからです。

私も30年ほど前に大手の下請け工務店を受け継いだときは、「下請けからの脱出」ということで、とにかくエンドユーザーからの受注を増やそうと躍起になっていました。
なんでもかんでも「ハイ、よろこんで!」といったところで、土下座営業に近いものです。
しかし、その当時は、そうすることが商売人なのだと思い込んでいましたし、お客さまのいいなりになることが、お客さまのためだと信じていたからです。

そうであっても、お客さまからいわれる言葉で一番いやだったのが「高い。もっと安くして」でした。「もう、これで限界」といった見積を持って行っているのに、「無理です」の一言がいえずに、また、金額を見直した見積を持っていく。
自分でもやるせない思いを感じながら、利益を削って、協力業者さんの値段をたたく作業を繰り返したのです。

結局、そんな価格で受注しても、儲かりもしないし、協力業者も喜びもしない。挙句の果てには、なんでも無理が言える(というより、好きな事が言える)と調子に乗るお客様がなにかとクレームをつけ、そして値引きを要求してくる。
そんなことがあると、あっという間に少ない利益も飛んでいき赤字となって、しかも、そのお客さまからは、次回のリピートももらえることなく関係が終わってしまうのです。

「安売りするのは絶対いやだな…」と、ため息を何度もついたのです。
 
 

安さ以外にメリットを作る



 
そういった感覚が残っているので、今だ「安売りの会社にはなりたくない」というのが私の根底にあって、まず高粗利を維持、そして、相見積で価格ではないメリットを理解してくれた方に契約をしていくことばかり考えていたのです。

価格以外のメリットというのは、たとえば「人の良さ」。
今ではなくなってきましたが、昔の工務店というとぶっきらぼうで話しかけにくい監督さんや職人さんがたくさんいて、「家が出来あがるまで、どんな家になるか知らなかった」というお客さまが多かったのです。
値段も大まか、あとからの追加代金も言われるがまま、具体的なプランさえも聞くことができない人たちがたくさんいたのです。

実際、私も昔は、言うことを聞かない年配の職人さんが多くいて、工務店としてもやりにくかったので、お客さまにしてみれば尚更でしょう。
そこで、「何でも依頼できる気さくな担当者」「工事中の疑問にスグ答えてくれる担当者」「作り方や仕上がりを選択させてくれる職人さん」など、たったそれだけで「少しぐらい高くてもいい」と納得する人が多くいたのです。

ストレスのない担当者や職人さんで、お客さまが思うリフォームを的確に実現しますといったアプローチを分かりやすく簡単につたえることで、安値を追求されずに済んだものです。

また、次のメリットに「楽しそうな会社」。
もっとも、だれでも楽しくないより楽しい方がいいに決まっているのですが、これはかなり重要です。「まじめ」「正直」「経験」「技術力」なども必要ですが、もっと単純に人は楽しそうなところに行きたいのです。

求人などもそうです。面接のときに「○○なことがやりたくて」とか「自分の適性から考えるとこの仕事がいい」とか、いろいろと言うのですが、多くの人はつまるところ、「居心地のいい会社なのかそうでないのか」で決めているのです。
実際に入社してからでも、「居心地がいい」「楽しい」といった観点だけで次の転職をするかしないかを判断しているのが分かります。

つまり、自分がやりたいことより、居心地がいいのか、つまり楽しいのか楽しくないのかで自分の一生の仕事を決めているのです。
そして、楽しい場所だと分かると、あとづけで、いまの仕事のやりがいを決めていくのです。
「仕事の内容が自分にあっている」「自分の目標にあっている」といった風に変形させているだけなのです。
 
 

今は安くていいものが売れる


「人の良さ」「楽しそうな会社」という2つは、今でも会社の強みにしていますが、それだけで競争に勝てるかというと、それだけでは不十分です。
世の中の多くの会社は、絶えずコストダウンをしています。
そして、売値を下げて、競合に勝とうとしているのです。
「安くていいもの」を求めて値段を下げ続けているのです。
なので、今は安くなくては競争には勝てないのです。

そうはいっても、「これまで過去の記憶」「安売りはいやだ」という気持ちや、「値段に変わるメリットを作り出した」「なんとか価格を下げないで高粗利で販売し続けた」という実績を考えると「安売りはいやだ」と思うはずですが、それでもいまは、安く売らないといけないのです。
世の中の多くが安さに向かっている時に、その流れに対抗して高いものを売っても売れないのです。
 
 

リフォームコストダウンがやりにくい


建築業の中でも、リフォームというのはコストダウンが下手です。
たしかに、コストが下げにくい要因が多いのは分かります。
たとえば、大量購入や定期購入がしにくいとか、イレギュラーな工事内容が多くて同じ種類の材料を買いにくいなど、新築の住宅のコストダウンと比べてもやりにくいという現実は分かります。
(やるにしても、グループ共同購入で少し仕入れ値をさげるぐらいでしょう)

また、リフォームのコストの大きな割合で「職人の手間」があります。
つまり、コストダウン=手間を下げる、ということになってしまって、無理なお願いも人情で片付けている関係だと、職人さんの「給料を下げる」という行為にブレーキがかかるのも無理はないからです。

なので、工事一つ一つをバラバラにしてコストダウンすることを考えるのでなくて、ある程度まとまった工事としてパッケージにして、その数を追求するとか、ある作業のパターンを共通化して効率化を出すなどの工夫が必要になるのです。
新築がまさにそうです。
新築がコストダウンしやすいのは、新築工事がひとつのパッケージになっているので、多少の家の規模の違いや現場の環境の違いがあっても、おおむねパターンが決めやすく、作業性の効率がやりやすくなってコストの見直しがやりやすいのです。

そういうパッケージをつくることのひとつが「全面改装」や「パック商品」でしょう。
同じ商品を頻繁に仕入れることで、仕入れ価格を下げることができますし、同じ作業を繰り返しやることで、職人さんが考えることも体の動きも慣れてくるので、イレギュラーな費用が軽減できコストダウンがやりやすくなるのです。

同じ作業の連続は、仕事をする職人自体もコストダウンに納得しやすいので、単にパック商品は売りやすいとか、お客様に分かりやすいといったメリットの他に、安くて売りやすいといったことにつながるのです。
 
 


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