「損切り」をするということ パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
遅くに始まった梅雨があけて、暑い夏が始まりました。
熱中症には十分注意をして、水分・塩分補給を欠かさないように気をつけましょう!

さて、今回は「「損切り」をするということ」についてお話しします。

「損切り」をするということ

油断をしてはいけない


不況が続いた日本ではあるが、いまこの瞬間は好調だという企業は少なくない。
アベノミクスの効果なのか、消費税前の駆け込み需要なのか。この研究会の会員企業においても業績が好調な企業が多い。

私のところにいただく報告や電話相談からもそういえる。
しかし、この好調が何処まで続くのか?ここは冷静に考えておかなければならない。

よって、あえて言っておきたいのは「油断をしてはいけない」と言うことだ。

というのも、中小企業の社長は単純な所があるからだ。

受注が取れない時期は臆病になり広告費も慎重になり、なにかと用心しながらやるのだが、いざ、状況がよくなると、とたんにおおざっぱになってしまう。
実にわかりやすい人が多いといえるが、得てして社長というのはこういう生物でもある。

だからといってこの事実をスルーしてはいけない。
そういうものだと簡単に考えていると、痛い目にあってしまう。

危機感があるときには鎧で身をまもり、安全なときは裸で寝ているのは不自然ではない。
しかし、敵に攻撃されたときに、やられてしまうのは裸の時だろう。
無防備だからこそ、そうなってしまう。
なんどもいうが、好調なときほど、油断をしてはいけないのだ。
 
 

もしもの時に準備をする


「今は好調でも、先ではわからない」といったが、その例に、消費税が増税したあと住宅業界には、空っ風がふくというのがある。
もしそうなら、リフォーム業界はどうなるのだろうか?
たいして影響がないかもしれないし、まともに寒い風をうけるかもしれない。

いよいよどうなるかは分からないが、いずれにしても変化が訪れるのは事実だ。
それに対して準備をしておかなければならない。
もし、なにも危機がなければそれでよし。大切なのは危機を念頭に油断をせずに、それを打破する準備を怠ってはいけないということだ。準備に勝る成果なしなのだ。

では、準備とはなにか?まず1番はお金だろう。
これは当たり前だ。

とにかく会社にお金がないと商売はうまくいかない。それも現金だ。
借金でも不動産でもない流動できる資金がいる。
なので、いまは、あまり拡大や投資をせずに、お金をためておかなければならない。

中小企業は銀行からの融資を期待してはいけない。
融資は最後の手段だ。これまでの右肩上がりの世の中ではない。市場は全体的におちるので、自力をつけることが大切なのだ。

なので、好調なときほどお金は使ってはいけない。
ある程度、お金が貯まるまで、もしもの時に補填ができるように準備しておくのだ。内部留保を積んでいくという言い方でもいいが、会社に余裕をつけなければならない。そのため、いまいちど、使うべきお金とそうでないものをわけておかなければならない。
そして、この時期は売上げを伸ばすより、既存売上額で利益を増やす努力が必要な時期でもあるのだ。

 
 

お金を貯めておく利点



また、お金をためておく、ということが導く効果として「余裕」がある。
どんな人でも、お金があると心に余裕ができるが、ないと余裕がなくなる。あたりまえだがそういうものだ。

つまり、社長は余裕があるからこそ、落ち着いていい判断ができるものなのだ。お金をためる威力は精神的な部分にも役立つのだ。
もし、業績が落ちてきても社長は、安定した気持ちをもって間違いの無い判断をくり返さないといけない。そのためには、心に余裕がないといけない。そのためにも、お金は必要なのだ。

もちろん、好調なときにお金をためる目的は、将来に変化があって、売上げが落ちても、利益が出なくとも、なんとか食いつぶして難をのがれるという意味が強い。そちらのほうが現実的だろう。
しかし、心の余裕とどちらもあればいい。社長の精神的にも、経営のリスク回避としても都合がいいのではないか。

こういったこともわかりきっているのだが、先を考えて、無理をしてでも利益をためていこうとする社長は、以外と少ない。
「税金を払うのがいやだ」とか「お金のあるときに使いたい」ということが優先してしまう。

まさに、転ばぬ先の杖を準備しないのだ。
何度もいうが、いまは利益が出たら、まず、できるだけお金をためてもらいたい。
松下幸之助ではないが「ダム経営」ということだ。お金をダムにためる事をいまは考えておくことがいいだろう。

 
 

「損切り」という観点



そして、他にしておく準備として「損切り」という観点がある。
好調なこの時期だからこそ「損切り」を忘れてはいけないといいたい。

しかし、「損切り」とはあまり聞き慣れない言葉でもある。では、ここでいう「損切り」とはいったいどういうものなのか?これも考えてみたい。

「損切り」でまず思い出すのは、クレームの時の決着方法ではないか?
思いがけないクレームが発生し、その処理をするのに予測していなかった費用を出さなくてはならないことがある。
場合によって、さまざまな決断が必要となるが、その決断自体が「損切りする」ということになる。

たとえば、施工した工事の出来栄えに対して、どうしても納得されない顧客がいたとする。
実際に出来栄えが悪い場合もあるだろうし、出来栄えには問題ないが、顧客が細かい人だということもあるだろう。

が、その結論として、大幅なやり換え工事、サービス工事、値引きと、けじめをつけて問題を終わらせようとするのが現実ではないか。
つまり、なんだかの損をしないと問題が解決しないときに、いくら損するかを決めるのも「損切り」というわけだ。

 
 

クレーマーとはいち早い「損切り」を



また、クレーマーへの対策にも「損切り」はつきものだ。
ちょっとした失敗に、やたら絡んでくる人。
つぎつぎと文句を言ってくる。感情的になり、要望がだんだん無茶になってくる。

最初は、丁寧に対応していたが、そのうちにこちらも嫌気がさしてくる。
まだ、このあたりではクレーマーだと判断はしにくいが、やがて、「納得できないから残金を払わない」「サービスで他に工事をやってもらいたい」「社長の誠意を見せて欲しい」といったセリフもでてくる。ここまでくるとクレーマーだとわかる。そこでどう対応するか・・・そこでも「損切り」は大切である。

クレームを言う人と、クレーマーは全く違う。
これはよくいうので、あなたは理解されているだろう。
よって、双方の対処方法も全く違う。どう違うかはここでは言わないが、はっきりしていることはクレーマーとは一刻も早く関係を断たなくてはいけない、ということ。契約前にクレーマーだと分かったのなら、できるだけ早く断り、ゆっくりと後ずさりがいいのだが、請けてしまったらしょうがない。受けた工事は細心の注意を払い工事を終える。そして、工事を終えた後は、一刻も早く関係を断つことを考えたほうがいい。

ただ、いくら注意しても問題をおこしてくるのがクレーマーである。
そして、その対応に手を焼き、他の業務にまで悪影響を与え、有形無形の会社の利益をどんどん消耗していく。だいたいの場合、クレーマーはどう対応しても納得しないので、いつも罵声をあび、時間を大量に使い、肝心な仕事の時間を大幅に削除し、まったく無駄な時間を使うことになる。
また、いやな気持ちが残ったまま帰宅して、女房や子供たちにも影響をあたえ、会社でも家でも、何処にいても気まずい時間が流れるのだ。

そして、最終的には、この現場が赤字になるだけでなく、場合によっては今年1年の利益まで持っていかれることもある。
こうならないうちに、できるだけ早く縁をきらなければならい。そのときに、思い切った「損切り」をするのがいいのだ。

具体的にいうと、もめたあげくに「残金を払わない」というのなら、「いくらかでも払ってくれ」などと食い下がらずに、「分かりました。それでは残金は結構です。
しかし、これで今後一切の申し出は受けかねますのでご了承ください」といって、すぱりと「損切り」した方がいいのだ。