こんにちは。森下です。
さて、今回は「 自店イベント集客の再構築 パート1」についてお話しします。
縁故マーケティングの見直し
地元密着のリフォーム会社がやるべき戦略は「縁故マーケティング」だと言いだして12年となる。
いまでもリフォーム会社の成功には主流な考え方だと考えている。
インターネットの普及、リフォーム店の大型店舗・多店舗化したこの時代であっても、顧客との関係作りを主体としてリピートをとり続けるマーケティングは不動である。
そして、その考えは「どう地元密着で商売をするか?」ということへの答えとなるのだ。
また「縁故マーケティング」は、今の時代でも大量集客を実現させる手段だといえる。
実際に追求している会社は高い集客数を維持している。
ただ、ターゲットにする母数は変化している。
以前の広告だと「チラシ折り込み10万枚だ、20万枚だ」といった単位が一般的であった。
その後、エリアを絞りシェア率をあげるといった考えが進み、徐々に折り込み数が減少してきた。
いまでは「1000件〜2000件」という考えも不思議でなくなった。
しかし、いま大量集客している会社は、さらに絞った考えをもつ所が目につく。
「100件から1件取る」といった感じである。
チラシ折り込みをばら撒くのではなく「○○さん、あなたの家にだけ入れますね」と個別に絞った告知のしかたである。
「個人の履歴管理」が大切な時代になったが、リフォームも個別アプローチの時代である。
アマゾンが、 購入した本の類似を自動で紹介してくるように、個々に紹介する時代を感じる。
今回は集客について考える。
特にイベント集客。
上手な個別アプローチで大量集客している愛知県一宮市の東陽住建中井氏が考える思考に触れてみたい。
毎月自社イベントで150組集客し 、1/3を引き合いにして、平均で毎月3000万円の売上げをたたき出している会社である。
彼の考えるイベント集客は「縁故マーケティング」をベースにかなり丁寧に仕上げている。
圧倒的な成果がでている東陽住建を実際に取材したので報告したい。
中井氏が考える自社イベント
彼が考えるイベントは、自社の建物、駐車場、倉庫など全てをつかってのイベントである。
事前にチラシを折り込み、ポスティングを行い、ニュースレターで告知する。
決して目新しいことをしているわけではない。
会場はテントを張り、机とパイプイスを並べ、できるだけ多くの方が座っていただけるようには工夫されているが決して「華やか」というわけではない。
無料で振る舞われる豚汁やダンゴ、抽選でもらえる手提げ一杯の粗品はあるが、これも特殊なものでもない。
多くの会社が自社でイベントするときの定番ばかりである。
しかし、そこに集まる人の数が違う。
スタッフの数も顧客の数も。
また、スタッフの顧客対応力が素晴らしいので引き合い数が違うし、成約率も違うのである。
「滞在時間」「着座」「キチンと情報を伝える」といったイベント目的が明確であり、参加しているスタッフもよく理解している。
目的にいたる会場でのしつらえやサービスの徹底は、一般的なリフォームイベントより1枚も2枚も上なのである。
丁寧な作り込みが、お金をかけないイベントで実績を出せるのである。
自社イベントは毎月開催
東陽住建の自社イベントは、ほぼ毎月開催。季節によってイベント内容を決めている。
ざっというと、1月は新春初売りイベント。(2月は成果が低いのでやらない)
3月は「春のお祭り」で子供達が遊ぶイベントと決めている。(今回はこのイベントを取材した)
今年は単なるリフォームイベントでなく「子供に建築体験をさせる」とキッザニア形式で多数のブースを作っての開催。
3月は新規エリア開拓で別エリアにあるスーパーマーケットの駐車場を借りたリフォームイベントもしている。
これも大量集客しているイベントである。
4月はイースター(キリスト誕生祭)として、来店メニューに「おいしい卵料理」を加え、食材をエサに大型リフォーム増改築祭りを開催。
5月も実利をねらった4月同様の売り込みイベントを開催するという。
そして、6月は今後の見込み客名簿を集める為の「網戸張り替え祭り」を行い、7月は関係のある顧客への大感謝祭として「顧客との交流イベント」を開催しようと考えているようだ。
ここで2ヶ月間、今すぐの実利よりまだ先での受注を考えたイベントを続けるという。
年度の後半は、「お盆明けの反響はいい」ということで8月からがつんと売るイベント「増改築リフォーム祭り」を行う。
お盆明けの次週が日程的にはいいようで、この月から売り込みイベントが続く。
9月が「外装塗装」をテーマにした増改築リフォーム祭り、10月は単純に大型リフォーム受注を目的にした秋のリフォーム祭りを行い、11月にメーカーショールームイベントを行って年度の売り込みイベントを終了するという。
12月は7月同様に、関係顧客への感謝祭を行い、1年を終えるそうである。
中井氏は、寒いときには温かいものを振る舞い「とにかく来場者に喜んでもらいたい」と掛け値なしの思いやりが、イベント成功のカギのように感じる。
だからこそ、多額のお金をかけないイベントであっても成功しているのであろう。
毎回の粗品なども、地元の安売り店(ディスカウントショップ)からランダムに買ってきた粗品を毎回出しているのだが、値段は安くともそのボリュームは満足感があるといった演出も上手である。
自社イベントの数字とは?
こうした毎月イベントだが、これまでの実績でみるとイベント集客は平均して1回当たり100〜150組だという。(スーパーマーケット駐車場イベントでは実に200組以上という)
そこから35組〜50組のアポが取れる。
引き合いとして確実に生まれているようだ。
そこであがった見込顧客を約6ヶ月かけて刈り取るようである。
概ね3000万円の売り上げは見込めるようである。
東陽住建は、現在、完工粗利の平均は約32%なので、1000万円程度の粗利を獲得できる計算となる。
まさに大成功イベントである。
イベント告知はチラシ約3万部。
ニュースレターは2192件を発送。
ニュースレターの中身としては「読み物系」が多いとか。
中井氏や社内スタッフの奥さんが書いたものが、人気があるらしい。
「うちのパパは最近太りすぎ」といった家庭の中が見えるような内容が目につく。
ここは関係作りなので、売り込み色を隠したものが主流のようだ。
このあたりはニュースレターの基本をしっかりと理解されている。
また、イベント以外の会社行事の案内なども忘れないという。
5月には、リクシルイベントにあわせた顧客との交流バス
ツアーがあるようだ。バス4〜5台で企画するようで、これも大きな顧客交流イベントであることには間違いない。
また、チラシ・ニュースレターの他に、ポスティングが、堅い顧客の誘導に効果があるようだ。
中井氏が考えるポスティングは、関係者からポスティング担当を15名選出して、近隣1500件を100件ずつに分けたエリアに一人ずつ担当を決める。
ポスティングセット(セット内容は、チラシ、ゴミ袋、会場で1品余計に食べられる券、招待状などを袋詰めしたもの)をイベント前日の夕方1時間程度で配らせている。
このセットを作るのはたいへんだが効果はかなり高いという。
また、100件の担当割りをしているが、新規来場し受注するとポスティングから省くので、来場を増やせば配る数が減るというしくみになっている。
ちなみにポスティングは1500件まいて平均6組来場があるという。(リピートは含まない)
広告効果を媒体別に数字で見ると、ひと言でいってデジタルよりアナログの方が断然いいということだ。
ネットやホームページで会場にきてくれる顧客はほとんどない。
もちろんホームページは見ているだろうが、主はチラシでありニュースレターでありポスティングである。
ただ、イベントの価値を上げる為に マスコミは利用している。
プレスリリースや取材依頼の電話などをこまめに行い、マスコミで取り上げてもらえるお願いを頻繁に行っている。
FM放送などは番組を買って毎週独自番組として情報を流すなどもしている。
マスコミはアナログでもデジタルでもイベントのイメージアップ効果は高いようだ。
イベント会場での対応とは?
中井氏は「まず、会場でクロージングはしない」と決めているという。
受付で「リフォームのご相談はありますか?遊びに来られましたか?」と聞いて次回アポが取ることが目的だという。
「相談がある」と聞くと、すぐに営業マンに渡し自己紹介して次回アポを取って終わり。
「遊びに来た」という人であっても滞在時間を増やしてアポ取りの可能性を増やす努力は怠っていない。
会場にいるスタッフが協力して「3回のアポ取り」を実行している。
たとえば1回目はメーカーの担当者が、2回目は商社マンが、3回目はお茶出しするスタッフが行うなど、手分けしている。
スタッフの認識は「会場では相談してもらわないと売上げられない。
どれだけの相談数をとるかが重要である」とあって、その可能性をあげるための着座率を気にしている。
まず、だれかれが滞在時間を稼ぐ為 に「まず、座ってください」と声をかける。
3回以上かけられると座る人の確立は上がるという。
そして「話は充分にお聞かせいただいていますか?」といって切り込み、顧客の潜在する相談事を絞り出し、次回アポに結びつけようとがんばるという。
こうやってアポをとっても成約率はそう高くなく、単価も10万〜20万と落ちるが、かならず将来大型リフォームにつながる人が出てくのだそうだ。
また、イベント会場での設営としは「床などに矢印をつけ、来場者の順路をハッキリさせておく」ことが重要だという。
お客様はめんどうなことを考えたくないものだ。
イベント会場は慣れていないので、どこにいくか迷うものである。
こういったときに「迷わせない」「なにも考えなくてもいい」ように設営する。
実際のところイベント会場で誘導する矢印をきちんと設置してからイベント成果が上がったそうだ。
たとえ、抽選や粗品だけ取りに来るだけの人であっても、キチンと誘導することでなんだかの成果はでる。
イベント会場には「どんな人がきても契約できる可能性がある」と考えなくてはならない。
矢印にて誘導する順番であるが、受付後、必ず設備コーナーを通らせることにしているそうだ。
すべての来場 者に、展示商品に興味がわくように言葉がけをしているようである。
ここではメーカー担当者などに任せているようだ。
リフォーム営業マンのように売り込みがなく、単に、ものづくりのメーカーとして熱く語る人が多いので、商品についてのメリットをしっかり伝えられるのだ。
まだ、リフォームに興味が無い人も、こういった説明でその気になる人が現れるというのだ。
お客様を迷わせず誘導することを念頭に置いているという。
設備コーナーではカタログコーナーの併設が重要だという。
設備コーナーでメーカー担当者から話を聞いて、少しでもその気になったらカタログコーナーで立ち止まって選び出す人が多いからだという。
この場でメーカー担当者が次回アポ取りできることも少なくないようだ。
顧客心理を考えると「せっかくなら気に入った商品の資料を持って帰りたい」となり、そこには一番高級なお土産としてカタログが威力を発揮するという。(たしかに高級なものが多い)
ちなみに会場でのカタログの置き方は、ランダムに平起き、メーカー別、部位別、いろいろためしたようだが、メーカー別が一番いいようだ。(トイレはTOTOがいいという)
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