不況期に必要なセールススキル パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
10月1日より消費税が8%から10%に引き上げになりました。
景気に大打撃の政策にこれからどのような行動をするべきか考えていきましょう!

さて、今回は「不況期に必要なセールススキル」についてお話しします。

顧客は変化している


今回は、セールススキルに触れてみます。

私は最近、顧客が変化してきたなと感じています。
一言でいうと、「昔は簡単だったが、今は難しい」というように。

こんなことを言うと、「昔の顧客をバカにしているのか?」と思われたかもしれませんが、そんなことはありません。

今も昔も他人の気持ちはわかりませんし、人の扱いは難しいものです。
何千年も前の時代であってもそれは同じで、いつの時代でも「昔はバカで今は賢い」なんてことを決めようがないのです。
それはわかっているのですが、それでも今は難しいと実感しています。

「昔は簡単」というのを別の言い方をすると
「昔は信じてくれやすかった」という意味ですから、そういうとうなずかれるかもしれません。

ただ、昔といっても10年程度前のことです。

たとえば、チラシなどに「まじめさ」「自社メリット」「工事内容と価格」などを書けば、おおむね信頼を得ることはできました。なので、こちらが提案するステップに誘導することが、そう難しくはなかったのです。それに比べて、今は、不安や不信感などが多くて、うたぐってかかるという人や、気力の低い人が多くなって、やりにくくなったという現実があります。

不況が長引き、将来への不安が年々じわじわと増えてきているので、そうなっていくのは無理ないですが、今は難しいというしかありません。

考えてみれば、日本の景気がピークだった大昔のように、万が一(?)なったとしてもかなり未来でしょうし、少子化・人口の減少を考えると、そんなことはありえないという絶望感が顧客の心理を変化させているので、多くの人がネガティブな感情を抱えてしまうのは否めません。
だとすると、これまでのままで広告やセールスをしていていいのか?という話になります。

 
 

流れは安売り路線


ここにきて、東京銀座や大阪心斎橋に「ユニクロ」が店舗を次々にオープンしています。
「ビックカメラ」はいくつもの大都市の駅前に次々に出店するなど、情勢としては「安売り」が今まで以上に「勝ち残る得策」であるように感じます。もちろんこれらの会社は、価格だけではないのですが、安さが一番の魅力であるのは間違いないでしょう。しかし、価格を下げ続けることが本当に得策なのでしょうか?
もし、そうだとしても、どの業界でも同じことが言えるのでしょうか?

ここで、リフォーム業界をとらえてみましょう。

価格競争に勝つことが勝利だとして、今以上にコストダウンに取り組んでみても、どこまでコストダウンができるかは疑問です。
どの会社も、これまでにもコストダウンのいろんな施策を、すでに打っていることでしょうから、あと何をすればいいのか迷うのではないでしょうか?たとえば、現場の効率化といっても、天候などに左右されない工場で作るような効率化を、工事現場で推進するのも限界があるでしょう。
また、解体しなければ予測のつかない作業をあらかじめシュミレーションしておいても、全く無駄なく工事を進めるのは、そう簡単にできるものではありません。

たしかに商品の仕入値は、共同購入など大量仕入れなどを工夫すると、ある程度までは下げ続けることができるでしょうが、肝心な人件費をどこまで削れるかは限界があるように思えます。
また、移動時間によって非効率が生まれる遠方の顧客は、問題を増やすだけで扱いにくいので、売り上げを伸ばそうとすると出店などの投資をしないと難しいので、リフォーム業界での効率化というのは、かなりの努力をしなければなりません。コストダウンにて一番期待をしたいインターネットでさえも、広告費の効率を考えて広範囲にわたって告知はできるのですが、工事エリアは限定されるので、そこで画期的なメリットがでるということにはならないのです。

つまり、工事現場だけでなく、会社の運営コストを下げ続けることも、そう簡単でないということです。
となると価格競争での安売り合戦は、赤字となって身を滅ぼすしかないのです。

これではまずいので、リフォーム会社は「一番安い」とか、インターネットのような「めんどうな交流がなくとも」といったものと逆行した考えを持っておかないと、勝ち残れないという気がしてくるのです。

 
 

プロとしての力が必要になる



では、安さ合戦にもネット合戦にも入らない世界で戦うのであれば、今後はどうすればいいのか?という疑問がでてくるでしょうが、その問いに対して、私になりに見定めているのは、これからは「人間力」のようなものが必要になると予測しています。

「人間力」というのは、人それぞれにイメージが違うでしょうが、私は単純にコミュニケーション能力だと感じています。
つまり、いま商売人として重要なことは、商売をもう一度原点に戻って、「商品は人から買うものなのだ」と再認識をして、人の心理を理解して、人らしい喜びや満足を感じてもらえる商売をするべき能力をつけなければならないということです。簡単な顧客だった時代では、営業マンのスキルを高めなくても、上手な広告だけで売れたものです。
しかし、時代は変わり、今以上に売りたいのなら「人間力」といったものが、必要になったのだといえます。

では、ここでいう「人間力」とは、どんな力かというと、顧客の「不安や不満の解消」といったことに合わせて、メンターとしての支援が行える能力が必要になるのです。
聞きなれないでしょうが、メンターというのは、「助言者、師匠、教育者、後見人」ということですから、現状の問題点に悩む人の「味方になる存在」になるということです。

具体的にいうと、リフォームのプランや金額の相談に乗るだけでなく、日頃家に住むことで生じる問題の解決や、家族の人間関係を円滑にするアドバイスなど、家というハードと合わせて家族というソフトのスーパーバイザーとして威力を発揮するのです。このような能力は、決して簡単なことではないのですが、こういった対応ができるというのが差別化になります。安さや手軽さでは勝てなくとも、メンターとしてのアプローチがあることで、不況に悩める時代では、多くの顧客の気持ちをつかむことになるでしょう。

しかも、参入障壁も高い戦略なので、競合しにくいのです。なので、少しでもスキルを身につけていくことで、競争に優位性が生まれます。

 
 

これからも悩める人は増え続ける



メンターとしての力が必要である理由をもう少し言いましょう。
不況がつづくと、心を開かない顧客が増えてくると予測しています。

実際に、人格障害であるとか、うつであるとか、心の病を持っている人が増えているので、リフォームでなくとも、その対策は必要になるでしょう。人は、対人コミュニケーションが少なくなると、不安や不信感が高まり、他人を信用できないという気持ちも出てくるでしょうから、益々、ハード(家)をリノベーションするのと、ソフト(家族)が幸せに暮らす、といったバランスの「いい家づくり」が難しくなるのです。

ネットの流行で、表向きでは、面倒な手続きや対話を省いた需要が、増えているように見えますが、潜在的には、それでは充実感や満足感を感じない人が増えてくるはずなのです。
昔の唄であったように「人はみな一人では、生きていけないものだから」ということがあるからです。

となると、一部の人がインターネット、安売りショップを積極的に利用して、業界を荒らすことが目についても、ほっておけばいいのです。
その向こうには、そういう店では満足感を得られない人たちがいる、もっと大きな市場があるからです。
それらの人は、逆に人のつながりや、幸せな人間関係を求めていますから、メンターのアプローチを持っている我々に援助を求めるに違いないのです。

もう一度言います。地元の中小企業のリフォーム会社は、どこよりも安くて簡単に買えるリフォームだけを目指してもダメで、もっとインパクトのある特色がなければ競争には勝てません。だれでもやる集客で簡単に表面上に現れる顧客だと、みんなで取り合いをするだけで、最終的には大手企業に持って行かれてしまうので、別の集客が必要になるのです。
「安い」「簡単」で競合が来るのなら、逆に、「幸せ」などのキーワードで「人のつながりを大切にしている」といった社風を積極的にPRして、顧客の色分けを積極的に行ったほうがいいのです。
そのキーワードを理由づけするのにメンターとしてのアプローチが必要になるのです。

こういうと、「メンターなんて、そんな難しいことはできない」とあきらめるかも知れませんが努力が必要です。
今後の流れを予測すると、地元でこじんまりとしてもがっちり儲かり、末永く生き残るリフォーム会社には、この努力が必要になるのは事実でしょう。


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