やっかいな部下への対処 パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
最近世間を脅かしている「新型肺炎」がとても心配です。
日本人でも発症が確認されており、予防をしっかりして今を乗り越える事が国の課題でもあると思います。

さて、今回は前回に引き続き「やっかいな部下への対処」についてお話しします。

問題は自分でない周りにある


「だれの課題であって、だれを改善させないといけないのか」を見間違えてはいけないのだが、その課題を解決するときに持っておかなければならない考え方が一つある。
それは、その部下にある課題は「彼が独自に作り出したものでなく、多くの場合周りがどう彼に接しているかで起きている」ことが多いということだ。
つまり、何を考えているか理解に苦しむ部下でも、ヒステリックな部下も、最初からそうであったのではなく、徐々にそうなっていく人の方が多いのだ。
 
どんな人でも、外部からの刺激に対して反応のしかたは①刺激に立ち向かう②刺激から逃げる。
③どちらもせず固まるといった3つのパターンしかない。
つまり、外部からの刺激によって、この3つのパターンのどれかを選択して、その通りの行動をおこす。
それをくり返すことで、その後の生活が変化していくものなのだ。
よって、人がもつ対外的な問題というのは、その個人が持つ物もあるとは思うのだが、周りがどう刺激をあたえているかの方が関係していると言える。
 
周りからの刺激に対して②や③の反応をする人なら、周りからの評価は悪くはない。
どちらかと言えばイエスマンである。しかし、①だと刺激を与えた人に反抗することとなり、関係を続けるとさらに悪い関係に拍車がかかってしまうのである。
であれば、変わった人ができてしまった組織やチームでは、その問題児に対してあれこれ指導するということより、その怪物を作ってしまった周りの接し方にも注目しなければならない。
先に言った「誰の課題か?」という観点と矛盾が出ないようにとらえなければならない。
 
テレビなどで少年犯罪があったときに、犯罪を犯した子供より、それを作り出した社会が悪いとしたり顔のコメンテーターが熱弁しているのを見ることがある。
「バカ。悪いのはその少年なんだよ」とつぶやく人も多いのではないか。
課題は誰だれにあるのか?で考えると、たしかに少年にあって、周りに持っていくのは間違っているのだが、それだけで結論を出してはいけない。
その少年が犯した犯罪は、独自であみだしたものではなく、これまでの周りからの刺激に対して自分なりの反応をし続けたことによって生み出されたものだともいえるのだ。
 
たとえば、少年が人殺しをしたとしたら、その行為は悪いが、それまでにその少年を親がさんざん虐待していた事実があれば、いつかは自分がする方になりたいと思う気持ちは理解できないこともない。
つまり、親が虐待をしなければ、少年は人殺しまでする気持ちにはならなかった可能性が高いのだ。
こう考えると、上司は部下の行動が、自分の接し方によって生まれているかも知れないと冷静に理解しておかなければならない。
悪いのは部下である。悪いものは悪いと指摘しないといけないが、それに自分が関係しているといった謙虚さを持って接した方がいいのだ。
 

自分が意味づけした世界にいる


こういったコツを考えていると、人は実に自分が意味づけした世界で生きていることがわかる。
同じ現象であったとしても、部下と上司では、それぞれに見方が違う。
それぞれが自分にとって意味づけしやすい見方をしているのだ。
たとえば、顧客からクレームがあったとする。
部下は自分のせいではなく顧客のわがままであるというとする。
しかし、上司はその部下のいいわけによって、このクレームの原因が部下にあるとみなす。
それぞれに自分なりの見方で理解するのだ。
 
クレームであった言葉をとらえてもそうだ。
もし相手から「あんたなんか死ね」と言われたらどうなるか。
「ショックだ」と思うと気が滅入る。しかし「そこまでお怒りですね」と思うとお詫びをしたくなる。
また「誰が死ぬかよ」と思うと文句を言い返したくなるのである。
言葉は「あんたなんか死ね」という言葉が一つである。それにどう反応するかは、それぞれの人に託されているのである。
滅入るのか、詫びるのか、文句をいうのか。
それらは自分の意味づけによって決められているのである。
であれば、相手の言葉をどう自分なりにポジティブに聞き取るかということが大切で、そのことで部下を意味づけすることが重要となる。

 

部下は理解し受け入れて欲しい


ここまでの対処法を考えると、ひとことでいって「部下は上司に理解されたがっている」ということがおわかりであろう。
そして、部下は子供と同じである。
子供は親から認められたいと思っている。
だから口答えをして反抗期をむかえる。
その後、親からの愛情をどこかで感じるようになって、徐々に関係が回復するのである。
もし、成人してかなりたっても反抗期がなくならない親子は、それは、親が子供に対して上手に接していないのである。
それが、ここでいう上司が部下に対してと同じなのである。
 
言っておくが、部下は自分勝手に会社を動かしたいとまでは思っていない。
上司に認められていない感が強いほど、上司に反抗しているだけなのだ。
だったら、やっかいな部下であっても、上手に使うポイントは一つ、部下をできるだけ理解して、少しずつでも受け入れるということしかないのである。
たとえば、罰を与えたとしても、それは、次の部下に受け継がれるだけで、いい事ではない。
いじめられた子供は、自分より弱い人間をいじめようとするものだ。自分が味わった罰をいい方向には使わない。
また、同じ犯罪として使おうとするのだ。
 
理解ある上司になってほしい。
言うとおりにならない部下を、そうそうとあきらめないでほしい。
もう少し接近して、どんなことでも認め、そして、頑張りに対してはねぎらい、信じてくどくどいわない勇気を持って欲しい。
ここで書いたことを実践してみて、それでものってこない部下がいるかもしれない。
その時は、ゆっくりと「さよなら」をしなければならないことになるだろう。
しかし、まず、チャレンジできることをしてみて、その結果で決めることである。
早まらないでほしい。
 


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