こんにちは。森下です。
さて、今回は「コンパクトリノベ パート2」についてお話しします。
コンパクトリノベの特徴
実際に販売するときの3つの特徴としては、以下のように伝えてみる。
①シンプルな建物へ「無駄なくコンパクト」
既存住宅の外観をスッキリさせ、家をコンパクトにまとめる。
それで断熱気密がアップ。
「暑くも寒くもない、ちょうどいい」を省エネで。
できるだけ再利用しコストを削減。
補強によって安全性も確保。
②オープンな空間を「開放的で自由なスペース」
間仕切りや扉が少なくのびのびひろびろ。
南側の陽の光は家の奥まで。
好きなときに家族で交流でき、将来の間取り変更も模様替えもラクラク。
③マイルドな住み心地「自然のあたたかさ」
自然素材の暖かみがあって、使い込むほど味が出る。
自然に溶け込むので、どこにいても心地いい。
豊かな空間に暮らせる。
簡単なリフォームなら自分でもできる。
DIYもできる。
また、コンパクトリノベがいい理由として次のことがいえる。(顧客への当社メッセージから)
「これまで問題視されていた日本の住宅の断熱気密性と省エネについては、毎年改善が重ねられ、その技術は成熟の域にあると言われています。
それもあって、現在建築されている新築住宅はとても高性能であり、既存住宅でも、それに近づけるコンパクトリノベが注目されています。
ただ、既存住宅を新築並みの性能にするには改修コストが高額になるので、現実はリノベーションで採用しにくいのが現実です。
大型改修するならさしあたっての問題解決として「耐震性アップ」や「最先端の設備機器」を優先させる消費者が多く、断熱気密までに予算がかけられないのが現実なのです。
しかし、私たちは根本的な設計改善を図れば、コストを押さえた高性能リノベーションが可能だと考えています。
それがコンパクトリノベです。
既存住宅の形状をコンパクトでシンプルな建物に造りかえることで、断熱気密性が高く、耐震性まで向上させた省エネ住宅を造ることができます。
古い部材でも、まだまだ耐久性を持っているのでむやみに撤去をしないで丁寧に再利用することで、費用を軽減しながら高性能が出せる住宅ができるのです。
コンパクトにすることで「部屋が狭くなる」と不安がられますが、多くの住宅は、家族構成の変化によってスペースがあまっており、狭くしても間取りによって開放的で自由な空間がとれます。
完全な個室にならなくとも床の段差や家具などの仕切りよってプライベートスペースを確保が見直されています。
吹き抜けや屋外に大きなテラスを設置することで、精神的なゆとりを広げる事もできるのです。
あなたも、これまでの住宅の常識を見直してみて、少人数型の家族が豊かに暮らせる、コンパクトリノベを考えてみませんか。」
実際のプランは「ローコストパッシブ+あなたのライフスタイル」の実現が前提に考える。
「家のかたちに家族のくらしをあわせるのではなく、あなたのくらしにあわせた家のかたちを描いていく」といった感じでもある。
そして、バリヤフリー、生活動線を短くして「家事がラクラク」だという設計を提案していく。
将来的に間取りが変えやすいようにするだけでなく、住宅以外の活用ができるようにも考えて提案する。
また、工期が短くできるように工数や職数も減らして内装なども考えていく。
ちなみに、当社で「コンパクトリノベ」を企画した結果、コストの比較では当社実行予算では、これまでの「建替えリノベ」では1699万円の売値で販売したリノベーション工事が「コンパクトリノベ」の発想でいくと、ほぼ同等の性能で、1062万円程度でおさまった。
もちろん、設定粗利益は下げない。
当社のリノベーションは粗利益をいま40%に決めているが、売値を下げても、やり方を変えるだけで、粗利益率は変えない。
ここも「コンパクトリノベ」を積極的に売っていける秘訣になる。
どこまでいけるか1年ほど検証してみたい。
情報銀行の行方
情報銀行の誕生
個人情報の保護に関する法律が2005年に全面施行されてから、収集した個人情報は慎重に使わなくてはいけなくなった。
しかし、その後、ITが広がるに従って、収集した個人情報を利用者が想定していない分野で活用されることが問題視されている。
前にこのレターで、SNSの投稿から多くの個人情報が読み取れることへの危惧を書いたが、15年前では想定できなかった個人情報の危機に対して、現在、政策がとられようとしている。そのひとつが「情報銀行」の創設である。
「情報銀行」とは、その名の通り情報を預ける銀行であり、個人情報の預け入れに対して、見返りを払う企業のことである。
この認定を受けた企業は、国からのお墨付きを得て、個人情報において他企業への提供ができるのである。
他国でよく似たものはあるが、世界的に新たなる取り組みだといわれている。
お金のように情報を扱う
ここでいう個人情報とは、法的に定められているもので、特的の個人が識別できるものをいう。氏名、住所、電話番号、生年月日、メルアドだけでなく個人の写真、防犯カメラの映像、カードなどでの購買履歴などがそれに当たる。
ネットでこれらの情報を収集した企業が、他の企業からもなんだかの形で情報を共有できるようにするなどが問題であり、2020年には個人情報保護法の改正がある。
個人情報の利用を禁止させる「使わせない権利」が盛り込まれるというが、そのことへの対策であろう。
「情報銀行」は、こうした状況を曖昧にせずしっかりと個人情報を保護するために、利用者から収集した個人情報を、同意を得た上で他社に提供するのである。
銀行として情報を預かり、利用者は金利のように、見返りとして料金の割引やキャッシュバック、ポイントなどの対価を得られる。
また、利用者の属性や嗜好にあったサービスも受けられるのである。
管理面を強化する為に、厳選管理、利用目的の説明責任、苦情の窓口も義務づけられようだ。
各社の動き
もう少し、「情報銀行」企業を狙う各社の具体的な動きを見てみる。
「スカパー」は7月から、視聴者の「視聴履歴」や「好きなスポーツチーム」などの嗜好を外部企業に提供し、その対価として視聴料を割り引くようだ。
個人向け融資サービスの「Jスコア」は、年収や学歴などをもとに顧客を6段階に分類し、顧客の同意があればその情報を外部提供し、その見返りとして、現金や電子マネーの提供や、金利引き下げなどがあるようだ。
三菱UFJ信託銀行を中心にアシックス、NTTなどは、情報信託銀行サービス「DPRIME(仮称)」の実証実験を開始している。
スマホで「行動データ」「歩行データ」「金融データ」や、データ提供オファーに対する応諾の可否や、希望対価水準等もの検証を行い動き出したと聞いた。
電通は情報銀行サービスを開始するようでデータの暗号化や管理を請け負うようだ。
消費者が一度個人情報を登録しておけば、様々なキャンペーンに参加できる仕組みだという。
日立製作所では、家庭での電力使用量や、歩数等の活動量のデータを収集し、家電向けの保険商品や、在宅率に応じた最適な宅配ルートの構築等に活用するようである。
富士通はかねてから自社の従業員500名を対象に「情報銀行」が個人向けに行う一次サービス(情報の預託)に対して消費者の反応と、二次サービス(情報の開示)に関する消費者の関心度の抽出を行い運用に入っている。
このように様々な企業が実証実験を行い、本格参入に向けて認定を待っている段階のようだ。
情報銀行の問題点
ただ、現状で「情報銀行」制度定着には問題点もあるという。
まず、認定基準が曖昧なのだ。
個人情報が無作為に流れている状況を正す対策なのに、曖昧だと、逆に関連サービスが乱立する可能性があると専門家からは出ているのだ。
せっかく是正しても、別の問題が広がるならしょうがない。
また、データ保護の仕組みをどう確保するかも問題だ。
通常の銀行だと預金は自由に引き出せるが、「情報銀行」はこうした機能がない。
データを自由にできる権利が日本では保障されていないからである。
しかし、1番の問題はユーザーや企業に、どう認知してもらうかである。
なかなかわかりにくい取り組みでもある。
日本の銀行法では銀行以外の事業者が企業名などに銀行の文字をつかうことを禁止されている。
企業イメージを伝える1番の名称が使えないのも障壁になりそうである。
アメリカではこれによく似た仕組みで「データ倉庫」と言われるものがある。
自分のデータを自ら管理できる情報の保管庫というイメージが強いのだが、こういったピッタリの名称も欲しい。
こういった問題もうまく解決できないことが、2019年3月に認定第一号を出す予定が、いまもって遅れている理由のようだ。
今後の動き
ただ、「情報銀行」がもたらすビジネスの変化もある。
現在、日本は情報関係では世界に遅れをとっている。
それを挽回する為に「情報銀行」がある。
政府によって推進され、日本企業がGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に立ち向かうための手段としても期待がかかる「情報銀行」。
今はまだ黎明期にあたるが、今後参入に意欲的な多くの企業や政府によって、ビジネスモデルや制度が整えられていくはずだ。
消費者の中には個人情報を第三者に委ねることへの抵抗感を持つ者も少なくないが、2018年12月11日に情報処理推進機構が発表した「2018年度情報セキュリティに対する意識調査」の個人情報の取り扱いについての項目を見ると、健康状態などの個人を特定できない情報に関しては漏えいした場合も「補償不要」と答えている人の割合が高い。
取得するデータや活用先によっては、改正個人情報保護法によって導入された匿名加工情報制度が普及の一助となるかもしれない。
また、2018年11月29日に中部電力は契約者データを活用した「地域特化型」の情報銀行事業への参入・実証実験の開始を発表したが、このように事業者によって異なる色を持つ情報銀行が多数登場していくだろう。
しかし、収集したいデータが個人に近いものであればあるほど、同意を得ることは難しくなる。
また、前述した通り情報銀行サービスを提供する事業者は高い信頼性と共に、消費者や情報を提供する側の事業者にとってどれだけ魅力的なメリットを提示できるかを迫られることになる。
実際の運用によって、活用に適した分野やそうでない分野もはっきりしていくだろう。まずは認定企業第一号の発表が待たれるところだ。
森下吉伸
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