ソーシャル・キャピタル パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「ソーシャル・キャピタル パート1」についてお話しします。

つながりやすい時代だが・・


「全世界の人は5人を介してつながっている」といったのは社会心理学者のスタンレー・ミルグラムである。

たしかに世間は狭い。

「あの有名人は、友達の友達の友達だ」と聞くことはよくある。

たった1人の友達から雲の上まで簡単に到達してしまう時代になった。

ここ数年で遠縁な人と短距離でつながるようになったのは SNS が普及したからだ。

何十年と接点のなかった初恋相手から人気歌手、大物政治家まで比較的簡単に到達してしまう。

もう5人どころではない。

ただ、他人とつながりやすくなったが、依然として孤立している人は多いと聞く。

高齢者になるほど増えるという。

平均寿命は延びているが人とのつながりが深まらないようだ。

なぜ、そうなるのか。その理由に「社会への不信感」がある。

世の中には、ウソ、裏切り、詐欺、ねたみ、などがあるが、ネット社会になってさらに拍車をかけたのではないか。

あちこちで仲間ができても、結果として、怖くてそこには入れないのかもしれない。

また、仲間同士でも、いい意味での相互依存の関係が充実してこない。

たとえば「情けは人の為ならず」が理解されないのである。

人の犠牲になるとか、地域に貢献することが、自分に利益をもたらすのだと思わないのであろうか。

思ってはいるが、実際に恩恵をこうむるまで待てないというのであろうか。

なので「お互いさま」にならない。

今回自分が迷惑をこうむったが、いつか自分がまわりに迷惑をかけるかもしれない。

そうなったときに許してもらおうと今回は許すという関係にならないのだ。

幸福は孤立しないこと


たしかに、今は行動はお金に換算される時代である。

どんなことも「お金にならないとやらない」が一般化してきた。

その考えは理解できるが、これも不信感を世の中に広げる。

早くお金と引き替えることで、将来起こりうるメリットの取得や逆にデメリットの回避を失ってしまうのだ。

こうした、お金だけのつながりは今だけの関係になり将来がないので「孤立してしまう」ことになりやすい。

これでは幸福にはならないであろう。

「幸福とは孤立しないことである」といった人がいた。

つながりやすい時代と油断せず、これまでのつながり方を大切にしたほうがいい。

これが地域のまちづくりを考える人にとって大切な考え方なのだと思う。

信頼感のあるネットワークをつくり、お互いに知り合い、認め合うことも重要である。

「健康であり幸せ」という気持ちを高めるためにお互いの資本や信用を寄付することが大切である。

この考えが社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)である。

ソーシャル・キャピタル


ネットから引用すると、ソーシャル・キャピタルは政治学者ロバート・パットナムの著書で注目されたという。

彼は、社会的なしくみで、①信頼、②規範、③ネットワークを重要視し、人々が活発に協調行動をすることによって「社会の効率性を高める」ことができるとした。

特に地域を限定したコミュニティーと自立などを考えるとこの3つは大切なことになるのであろう。

この3つの衰退はマイナスな社会現象をおこすという。

実際にパットナムは、アメリカのソーシャル・キャピタルが衰退の原因を「女性の労働が増えた分コミュニティー活動への参加が減った」こと「人々の引っ越しが増えて地域ネットワークが衰退した」ことを挙げている。

日本では東日本大震災が象徴的である。

あれだけの大惨事でありながら「秩序ある避難所生活」「少ない物資を平等に分け合う」には感動した人は多いという。

日本という国民性もあるだろうが、もともと地域の繋がりが強く、信頼、規範、ネットワークの強かった場所だったので、ソーシャル・キャピタルによるところが大きかったと聞く。

また、企業が社会的責任を果たすときにもソーシャル・キャピタルという概念が深く関係しているといわれる。

企業が、どのような社会的な要望があるのかを考えるときに、この概念を無視するわけにはいかないからだという。

大手企業や地元での有力会社が商圏やターゲットを決めて戦略を立てるときに、自社の優位性を考えると、この概念が重要になるようだ。

企業によっては社会貢献活動(ボランティア活動)を奨励し、積極的に社員を参加させ、企業が社員を通してソーシャル・キャピタルと繋がるようにしているようだ。

また、企業に危機的状況が起きた場合も、ソーシャル・キャピタルが醸成された企業ほど危機回避力や復元力が強い傾向があるという。

ソーシャル・キャピタルは縁故マーケティ ング


また、ソーシャル・キャピタルは「地域での絆を強める」ものだとも言い換えられる。

自由に動き回るネットワークと言うより、人と人に綱を結び、結わえ付けるといった相互貸し借りとでもいえるパイプの太さを感じる。

だからこそお互いに信頼し依存することが強まり、現実的に利益を得る。

それは、お金で得ることができない領域でもあり、人々の精神的な幸福度を増す為の考え方であるといえる。

この概念は自社商圏地域をターゲットにしたリフォーム会社に参考になる。

「リフォームを当社でやってもらう」という感情は、こうした絆を当社と作るだけではなく、顧客同士も絆をつくることで、当社の顧客達の中でもソーシャル・キャピタルが生まれる。

そして、当社がその絆をうまく強めることをする指導者であるべきである。

(このことを縁故マーケティングという)政治では官庁がやるべきことだが、地元企業が絆をまとめることができれば、地域でのイニシアチブは取れる。

絆で繋がれると他へは逃げないことになる。

ちなみに地域の安全も関係している。

犯罪学者のロバート・サンプソンの研究では、ソーシャル・キャピタルが衰退すると「匿名性が高い」「顔見知りがいない」「公共空間のコントロールができない」「組織基盤が弱い」「地域活動への参加がない」といったことが安定を損ね、犯罪と暴力リスクを高めるという。

よく知った者同士、集まっていることほど安心できることはない。

知らない人との交流や仕事の依頼は、それだけでリスクがあることを、十分に認知してもらうことができる。

地域に住む顧客にさらなるメリットを与える事になる。


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