来年の事業計画を立てる パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「来年の事業計画を立てる パート1」についてお話しします。

武器になる事業計画書の作成


今年も年末となり、来年の事業計画を立てる時期が来た。

私が毎年この時期に立てるのでこう言ったが、全ての人がそうではないだろう。

ただ、決算時期がこの時期でない会社であっても、新たに年が変わるこの時期に1年を振り返り、そして新たな目標を立てるのはいいことではないか。

それに、なにかと慌ただしく忙しい時だからこそ、この時期に立てる意味がある。

短時間で考えなければならないし別の仕事を平行して行うことで、思わぬいいアイデアや新しい考えが降ってくることがあるからだ。

じっくりと自分を見つめ直し、会社全体を高い位置から見下ろしてみる。

現実に直面してみることで理解できたことを元に次の1年間の計画を立てる。

事業計画を立てるに当たり、どういった計画が必要で、それぞれをどう考え、どこを注意して、そしてどう決めようとしているのかを書いてみる。

絵に描いた餅にならないように、実際に武器になる事業計画の作り方が必要だ。

ミッション、ヴィジョン、クレドの作成


事業計画をたてるのに、何から始めたらいいのかというと、この3つの見直しからだろう。

会社によっては決めている会社もあれば、決めていない会社もある。

経営理念やミッションなど決める意味はないという会社が多かった時代があったが、今はどうなのだろう?

いずれにしろ、私は、社員が会社のことを理解し説明できる共通の文章は必要、ということでこの3つを作っている。

既にある会社は、その見直し、また、ない会社は、これを機会に作ってみることをオススメする。

私は、毎年見直しているので、今回も現状の文章で問題ないかという点検をする。

今の自分の信条にあっているか?時代の流れにあっているのか?

いまいる社員にふさわしいのか?

社員や会社の実力のアップに比例しているか?

といった観点で見直すのだ。

私のこれまでの経緯をみると、毎年必ず変えるということはない。

2〜3年毎に変えることが多い。

私が言うところのミッションというのは、中期的な会社のありかただ。(長期的な思考もいれると更にいいが、私はあまりにも先のことを考えるのはナンセンスだと思い中期にしている)

つまり、5年〜10年程度のなかで、社長自身が持つ夢や、うちの社員ならこうありたい、お客様に対してこうありたい、といった、会社として根っこの考え方となるワードを出してある。

なので、ここには会社のテーマやUSPなどがストレートに出る場合もあれば、それらが彷彿できるような文書があったりする。

この文章を読むことで、社員は会社のキャラクターを知り、他社との違いを知ることになる。

そして、ヴィジョンというのは、短期間に達成したい事。

一般的には、ヴィジョンが中長期的な社長の思いといったイメージが強いが、私はミッションとヴィジョンをこう分けている。

よって、ヴィジョンには、今年1年間の売上げ目標数字など具体的な達成目標を書くことが多い。

また、今年は特に心がけて欲しい行動があれば、ヴィジョンのなかにそう入れる。

たとえば、「今年は頑丈な家を作る」とヴィジョンにいれれば、耐震リフォームというのを打ち出すとか、そこまでしなくとも全ての大型リフォームには耐震点検を行い、積極的に構造を補強するリフォームを提供するとか、そういった提案が増えることになる。

そして、その年が終わる頃には、「やっぱり、家は頑丈なのが一番。安全でないといけないので、今後も予算が上がるからといって、見えないからと手を抜く工事はやってはいけないな」と社員に認識がつくとする。

それは、1年間で少しは習慣となり、その翌年からも、まったく意識がなくなる訳ではない。

少しでも意識に残っていくのだ。

そうやって、毎年新しい習慣を取り入れていくというのも、会社の実力を上げていくことになる。

短期的なヴィジョンを立てることには、こういったメリットもある。

そして、クレドというのは、仕事の手引き書ということにしている。

クレドとは「私たちは○○を大切にし、○○を行い、○○であることを誇りにする」などと、会社と言うより、社員個人に落とした信条といったものが多い。

私もその基本は取り入れているが、それを更に使える武器にする為に、仕事の手引き書といった色合いにしている。

つまり、会社に入社した新入社員が、この会社に入り仕事をする上で、何をどうすればいいのか?の基準を書いたものにしている。

当社の一員として仕事するとき、何が大切で、何を優先し、何の為にするのかを明確にした文章。

たとえば、「値引きを要求されても、それには従いません。努力し一番コストを下げた見積書をだしているので、ゆっくりと『値引きには応じられません』といいます。もし、しかたなく応じなければならない時には、お客様の声などチラシやホームページでの協力を条件にします」と書いており、会社の基本的な姿勢を社員が理解できるようにしている。

こういったように具体的な仕事の場面を想定して、判断をせまられたときに間違わないような基準となる考えを、思いつくだけ書いているのだ。

以上、ミッション、ヴィジョン、クレド、この3つを、まず、最初に点検してほしい。

この点検で、これから立てる予算や広告の計画が主流からそれない。方針がぶれないのだ。

いつの時代でも不変的なこともあれば、時代によって変化しなければならないものもある。

それを経営者が点検をし、主流を外さずリメイクできるのだ。

しかも、この点検を毎年繰り返すことで、会社の歴史は守られ、社長の思いは「会社の基本」となって受け継がれることになる。

これは、社員のためでもあり会社の大切な宝となる。

経営方針書の作成


経営方針書というのは、文字通り1年間の社長としての経営の方針を書いたもの。

1年間、春夏秋冬を通じて、どう広告を打ち、どういったしかけで集客するのか?とか、どのくらいの人員で、どのくらいの会社の体制にしていくのか、といった年間スケジュールのような予定を立てるものが多い。

また、中期的な構想のなかで、今年はどこまで行い、そして、次にどうつないでいくか?

今年は○○さんを店長にし、3年計画で○○さん体制での組織を作り上げる1年目とか、部署を2つに分けて、それぞれが2年後に成功するための、今年やるべき事はこれである、と言った風に。

これを箇条書きにしないで、物語のように書くことをオススメしている。

というのも、箇条書きだと要点は分かるが、実際に行動しようとすると、上から順番に行うといったような端的なことにしかならない。

効果的に実行するなら、平行してやるとか、一部重ねてやるとか、微妙なニュアンスがでてくるものだ。

そこは物語のように計画を書いた方が分かりやすいし、後から見ても取り組みやすいという利点がある。(個人差があるでしょうから、あくまで参考に)

物語を書くとしてもポイントがある。

具体的にどう手を打つのか?

誰が率先して行うのか、自分はどう動き、どこで物事を判断していくのか?

これらを、実際に社長の周りにいるスタッフなどを想定して折り込み、具体的に書いていくのがよい。

これがリアルに書ければ書けるほど、実現しやすくなる。

場合によっては、絵を描いてみるのもいい。

イメージしている達成した姿を書いてもいいし、達成するのに必要な行動や考え方を絵にしてもいい。

文章では書きあらわせないニュアンス、口では説明しきれないスタンスなどを表現することが重要なので、物語にするだけでなく、絵、マインドマップなどを使い、視覚的にも理解できるようなものにするとなおいい。

たとえば、社内の「組織図」を作るにしても、ただ、名前が記入されたピラミッド型の表を書くだけでなく、任意で社長の大きさを絵で設定してみる。

それに比較して、周りにいる社員の大きさはどうなのか?を絵で描いてみる。

社長は○かもしれないし□かもしれない。また、存在する社員たちもしかり。

そして、社長に寄り添っている度合いは社員によってどう違うのか?を考慮しながら配置してみる。

その時に社員が見ている方向も考慮して欲しい。

社長を見ながら仕事をしてほしいのか?外部を見ていて欲しいのか?また、社長でなく専務や部長を見ていてほしいのか?といったことまで考えていくと、細かいニュアンスまで表現できるのだ。

それがリアルにできればできるほど、後からだれが見ても、社長がイメージしているポジションが社内で理解されるのだ。

会社の掟を見直す


次にやるのが「会社の掟」を見直すこと。どこの会社でも、会社特有のルールはあるだろう。

しかし、それをきちんと明文化して社員に伝えているかというと、そこまではしていないという会社が多いかもしれない。

しかし、会社の掟を決め、きちんと伝え、そして時代と共にリニューアルすることはとても重要なことだ。

どんな会社も時代によって成長し変化している。

ならば、その変化に比例して会社自体の状況も変わっているはず。

状況が変われば、それにあわせて会社のルールも変えなければならない。

なぜなら、社内に起きる問題の多くが、昔ながらのルールや常識の限界によって生じることが多いからだ。

これだけ時代の流れが速い現在では、油断していると知らず知らずに問題が大きくなっていることがある。

そうならないように、社内で起きている事をきちんと把握し、そして、それにあったルールを作り直す。

つまり、掟をたえずリニューアルするのだ。

見直しのポイントは、一番は、誰が何をすべきなのか?社長は、誰に何を期待しているのか?といった役割・役職における責任ルールの点検が重要だ。

役割・役職に応じて仕事のクオリティーが上がっているか?また、それを本人達はきちんと理解をしているか?といった熟練社員に対しての見直しや、また、当社の仕事とはなにか?営業マンがやるべき仕事は?工事マンがやるべき仕事は?というように新人社員でも関係する内容までもチェックしなければならない。

そして、管理職においてもリーダーがやるべき仕事とはなにか?社員全員にやらさないといけない仕事、行動、発言などはなにか?を、見直さなければならない。

また、ここでは社員だけでない。

社長自身の仕事の見直しもするといい。

それは、社長がしなければならない仕事なのか?あいかわらずパート社員がしないといけない仕事を社長がしていないか?部下の成長に従い、まかせていい仕事を社長がやっていないか?逆に、社長がやるべき仕事を部下がやっていないか。

ここにある掟も見直すことが必要である。


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