今年コケないように パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「 今年コケないように パート2」についてお話しします。

集客の大切さが分からない人たち


この会社の「しがらみ」を打ち破れなかった一番の理由は「まず、集客こそが大切だ」と最後まで理解してもらえなかったことにつきるだろう。

「集客がすべて」はエンドユーザー相手の商売だとセオリーではあるが、製造業、流通業、問屋業であると「いいものをどう作り、どう供給するか」になりがちである。

顧客は既にいて、そこから数多く指名される会社になることが使命で、そこに顧客を呼んでくるのは仕事ではないのだ。

この会議でも、集客は後回しにされて、品揃え、シフト、在庫数など店舗体制のことばかりが議論されたのである。

「集客が先で、あとから体制を考えるべき」という意見は、この会社には「いい加減な体制で仕事をする」ということになって興味を持たれることはなかった。

これは、たまに工務店経営者でもいる。

ひと昔前は、特に集客などしなくともまじめな工務店であれば、どんどん仕事が取れた時代であった。

なので、子供に世代交代をするときに、広告費や顧客サービスに費用を使うのを認めないのだ。

この時代で、何もせずに店を出しているだけで儲かるなんてあり得ないのに、過去の体験だけを参考に、今の方針を変えないのである。

これは「しがらみ」となって、子供の世代になった会社を弱小企業に導いてしまうのだ。

財産と「しがらみ」の取り違え


この現象は「しがらみ」を象徴させるだろう。

と同時にこの現象によって教訓を感じて、私の会社でも、今年は「しがらみ」について見つめないとコケてしまうなと感じたのである。

そこで先月のレターに書いた、自社の店舗改装に照らし合わせたのである。

状況的にはこうだった。

新しい顧客を集めようと流行に負けない「新しいロゴ」「新しい会社イメージ」を社内で考えようというもの。

これまでの顧客は現状イメージで来られた方ばかり。

他の顧客を集めるなら新たなるイメージでないと と いうことで。

ここでは、「しがらみ」を「過去成功したイメージにこだわる」と置き換え、これからも成長したいのなら、我々もここで変化をするのがいいのではないかと考えたのだ。

しかし、結果は先月伝えたとおり。

これまでと同じロゴ、同じイメージでこれからも突き通す。

過去も未来も「一貫性のある会社」として運営することを決めたのだ。

こう考えた理由は、もう一度、我々の商圏エリアの顧客の身になって考えたからだ。

地元密着会社に望んでいるものは、流行や目新しさではない。

変わらぬ存在であり、身近な安定感である。

時代と共に新しく変化していき、他の会社との区別がつかない様になることを誰も望んではいないのである。

過去からの財産を「しがらみ」といったものに、 あわよくば変えてしまうところだった。

温故知新


冒頭に「今年はコケないようにしたい」といった。

2つの教訓めいたものを感じたからだ。

1つは過去のこだわりは「しがらみ」となってマイナスに働くということ。

もう1つは、過去の財産をむやみに捨てようとしてマイナスに働きそうになった事実。

この2つは対極のようであって「しっかりと見極めなければコケてしまうぞ」と私にいいたかったのだと考えた。

これこそが「温故知新」。

この言葉こそ、いま、物理的に理解しなければならないと悟ったのである。

「温故知新」とは、「古きを温める」と「新しきを知る」に別れる。

「古きを温める」とは「セオリーを見直す」と言うことである。

たとえ、過去にうまくいったことでも「それはセオリーか否か?」を見極めなければいけないのだ。

「何度しても同じ結果か?」「どの顧客も同じ反応をするのか?」「脳の特性を知っているか?」とセオリーであることを物理的に確認しなければならない。

たまたまうまくいったことと見分けなければならない。

たまたまの特殊解でなくセオリーだけを拾い上げるのだ。

その違いを感覚でなく物理的に見極めたいのである。

結果として「顧客の声の多さ」「長年の売れ行き」「長年の人の集まり方」といった事実をもとに判断してもらいたい。

また、社会的な環境も加味して欲しい。

郊外へ人口が移った中心地街でも土地値が下がれば人は戻ってくるのである。

人が増えれば需要も増えるであろう。

もちろん競争も増えるが、事実をキチンと確認することでセオリーが分かるのである。

一方、「新しきを知る」というのは、流行とは違う「時代の変化」を肌で感じることである。

流行はすぐに終わるが、長い時間の中で徐々に変化しているものは受け止めなければならない。

たとえば「水不足」ならペットボトルが売れるというのは特殊解である。

大昔は水を奪い戦争をしたが、現在ではそういったことはないだろう。

こういった長い歴史の中で必要に迫られて変化している方に目を向けなくてはいけない。

人の欲求も変わり、どんどん便利になって、めんどうでないものを求めている。

こういった欲求の変化は時代と共にあって、その流れは敏感に感じるべきである。

人の機微が分からない人たち


また、今回の教訓で「しがらみ」の弊 害を感じたのが「人材教育不足」という言葉である。

「しがらみ」を押し進める人たちは人材教育を重視していないのである。

昔は、人材育成や教育などそれほど重要視されてなかった。

いまでこそ人材育成とかいうが、ここ最近かも知れない。

ちょっと前までは「見て学べ」とほったらかしだったのである。

これだと柔軟な発想がわかなくともしょうがない。

以前、戦前の子供が数多く殺人する事実をみて驚いた。

なぜそうなったかという解説に、その当時は「道徳」や「人の倫理観」を学校も親も教えることがなかったそうだ。

つまり子供達は知らないからやったと いうワケだ。

人材育成の重要性が分かっていない人は、「人の機微」というものに対して無頓着である。

「人の成長」「人が持つ可能性」「その人から言葉以外で感じるもの」などの重要性を持っていない。

だから、人を頭数にしかみていない。

そして、しくみや合理的なことばかりで攻めてくる。

顧客や社員がどう考えようが、そんなことより会社の効率化・合理化といったことでお金を残そうとする。

こんな発想は工場のようなところでは生きるかもしれないが、顧客相手で商売する場では通用しない。

マーケットインからプロダクトアウト


先に 、流行と時代の 流れは違うと書いたが、ここでもう少し具体的に書こう。

徐々に変化する世の流れは、敏感に受け入れなければならない。

これは言ったとおり。

そして、流れにはプロダクトアウトとマーケットインの連続があるということ。

昭和の時代は「プロダクトアウト」(大量生産、大量消費、売り手が考え売る)といった世の中だった。

車といい、電化製品といい、発明と言うより、発明されたものをどんどん売り続けたのだ。

そして、時代は平成に移ろうとしてから、売り手が考えて売るだけではだめだ。

ましてや営業マンが店番となって「待ちの商売」になってはダメだということだ。

そこでマーケットインという発想(顧客がなにを望んでいるか?)によって、どんどん打ち出す商売が主流になってきた。

テレビや雑誌、新聞などで、広告を打ち、イベントを行い、もっと顧客の希望を聞き出し、それに合ったものを供給していくようになったのだ。

それによって世の中の商売はずいぶん変わったのである。

そして、いまはまた徐々に変化が感じられる。

顧客は自分が持つ希望だけで商品や店を選ばなくなったのである。

もう顧客のニーズを探るぐらいでは売れないのである。

いかがわしい商売も数多くあって、単にニーズを合わされる程度だと弱い。

これからの顧客は、自分の想像以上のものを欲しがるのだ。

そうなると、顧客のニーズをしっかり受け止めた上で、新たに売り手がプロとして顧客の発想を超えるものを提案しなければいけなくなるのだ。

つまりプロダクトアウトに戻るということになる。

さいごに


さて、今回は「今年コケたくない」という観点で話した。

そのために過去やこれまでの実績をふるいにかけて、いいものは残しさらに広げる。

そして、「しがらみ」となる悪いものは、迷わず切り捨てることが大切になる。

かのナポレオンは「偶然というものを、ほとんど数学的に正確に考慮した」といわれている。

偶然や運を味方に引き入れたとも言われている。

それにはセオリーを積み重ねたという。温故知新をきちんと理解してセオリーを明確にあぶり出し、偶然や運の影響力を強めたのだ。

今年のような時代だからこそ、ここを見直さなければならない。

今年は、追い込まれても、逃げるとか、その場しのぎで対策するとか、してはいけない。

それでは、あとあと取り返しがつかない時代になる。

その都度キチンと処理ができることが大切である。

そのためには、いいものと悪いものを見極める力を育てなければならない。

商売をうまくやるにも「それが当たり前だろう」というセオリーを見つけて、懸命に取り組むしかない。

その行動こそが大切で、運も引き込めるだけの力になるのである。


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