後悔しない採用について パート2

森下 吉伸

※2010年記事

こんにちは森下です。

今回は、「後悔しない採用について」パート2です。

残業代未払い請求


ちょっと余談ですが、勤務時間が長いという話題にあった情報で、聞いた事を書いておきます。

残業代の未払い請求が問題になったことが話題になりました。

というのも、多重債務者を上手に助ける弁護士が増えました。

というより、サラ金などから払い過ぎている利子を取り戻すことを仕事にした弁護士です。

テレビや雑誌、道路沿いの看板などで、やたら弁護士事務所が、多重債務者へのアプローチ広告を出していると思いませんか?

多くの債務者から簡単な手続きの代行をするだけで、そこそこの報酬をもらう、弁護士にとっては実に簡単で大儲けができる仕事なのです。

今後、弁護士は毎年増え続けています。

2000年には1万8000名だった弁護士は、数年後には2万9000名、8年後には4万名になる予定です。

もう、あちこち、弁護士だらけという状況です。

そうすると、弁護士も今までのように、偉そうに事務所でどかっといるだけで、仕事がドンドンやってくるといったことにはならなく、少しぐらいはやり過ぎでも積極的に仕事を作りださないと、食べていけない状況になるということです。

その動きの一つが、この多重債務者に対するアプローチなのです。

簡単に弁護士としての収入をあげるために、テレビでコマーシャルをバンバン流してあおり、そして、多少は借りている方も悪いのに、完全に被害者にして、場合によっては訴訟まで起こす。

そういった立場にいる人が現在多いだけに、怖いなとも感じます。

このことは、直接、我々には関係ないでしょうが、この需要が一息つきそうなので、次に一部の弁護士があおりたいのが、残業代の未払い請求なのです。

中小企業に限らず、大手の会社であっても、その多くが残業代などを正確に払っていない会社が多いのが現状でしょう。

労働基準法での観点でいくと、遊んでいようが、寝ていようが、仕事をしているということで、会社にいると残業代の対象になります。

細かくいうと、仕事とみなされない行為で会社にいるのは、その対象にならないのですが、現実は、その判断を主張するのは難しいので、実際は、会社にいる時間を残業の対象にしないといけないことになるのです。

しかし、現実は一律で営業手当として充当るとか、月の残業時間の限度をきめて支払っている会社が多く、組合などしっかりした組織があるところぐらいが、全額をきちんと支払っているぐらいでしょう。

いいかえると、ほとんどの会社は、残業代に対して未払いがあるという言い方になるのです。

ほぼ、あなたの会社も関係します


社長にすると、「残業をしてもしなくても、営業手当で一律に支払っているので、社員にしても必ずしも不利でない」とか、「20時間、30時間を上限に支払うということで、無駄な残業を出さないようにとか、無駄な経費を使わないように、また、社員が残業しすぎで健康を害さないように」と考えて規定をしていると説明するかもしれませんが、そんな言い訳は全く聞きません。

マスコミで「サービス残業」を取りあげることが多くなりました。

「仕事した時間だけ残業代をもらわないと違法だ」ということでしょう。

労働者が、そう主張する気持ちも分かりますが、「残業するのは誰のせいか?仕事が多すぎるのか?段取りの悪い社員のせいか?残業する必要があるのか?人によってはヒマだからいるのではないのか?」など、さまざまなケースがあるので、全てを支払うという判断が難しいからそうなります。

また、現実問題として、人一人の人件費に悩む中小企業が、法律通りに出して、本当に採算が合うのかどうかという問題もあります。

こうなると残業代の問題は、かなり広がります。

ほとんどの中小企業が対象になるでしょう。

なので、弁護士にとっては、金が取れる大きな市場が、ここにあるとにらんでいるのです。

もう入れ食いの状態。

なので、今後は「いま、適正に残業代を貰っていますか?」とのメッセージを、いろんなところで発信してくるはずなのです。

従業員が一人でもいる会社なら、どの会社にもこの脅威が押し寄せるということなのです。

「たかが、残業代だろ。たいしたことない…」と思うかも知れませんが、バカにしてはいけません。

訴訟になると、会社が負ける可能性が高いのです。

しかも、いろんな付加金があって、2年間さかのぼれることにもなるので、総額200万円とか300万円にすぐになるのです。

かなり負担があります。

現状でも、実際に訴訟が起きているケースがかなりありますが、ほとんどが在職している社員ではありません。

一番多いのが、トラブルでやめた社員です。彼らには、会社や、社長に対する恨みがあるので、それを、こういった形で返すといったことです。

これからも安定した仕事を続けたい社員なら、攻撃的な主張で会社と戦うより、逆に改善を求めるほうが賢いので、訴訟という形は取らないでしょうが、会社を渡りあるくような社員だと、安易に行動にでる可能性が高いのです。

求人の時から対策を立てる


こういったことは、きちんと会社で対策を立てておかないといけないでしょう。

もし、あなたの会社で、数年勤めていた社員がトラブルで辞めたとして、数カ月にいきなりアッパーカットで反撃してくることがあるかもしれないのです。

話は求人に戻るのですが、当たり前ですが、こういったトラブルを発生させる社員は、始めからいれない工夫をしておくべきです。

といっても、どんな人がそうなるのかは、わからないものですが、こういった人は、かならず信号を出しますので、それを見落さないことが大切です。

そのための準備として、採用面接の時は、まず、最初に、どういった人を必要としているのかを明確にしておくことが重要です。

そして、人格に問題ないかをチェックしないといけません。

営業マンだから売れればいい、工事マンだから経験があればいい、といった観点だけでなく、社長ならではの希望する人を決めておくことは重要です。

むずかしいことではなく、正直である、笑顔がある、物静か、目を見て話す、など社長が大切にしていることにあっているかどうかの確認です。

これは相性が合うかどうかの確認なので、ここを妥協すると、あとあとまで尾を引くことになるのです。

人格の確認はいろいろありますが、簡単なのは過去の話を聞き出すことでできます。

求人面接では、相手は半分以上ウソをついていますから、そのウソが許せる範囲かどうかを確認しないといけないのです。

そのことで、簡単に人格の確認もできます。

たとえば、「年下の上司の言うことは、なんでも聞けます」といった言葉を言った時点で、だいたいがウソです。

そんな素直な感覚でいるのに転職はしません。

これを、どの程度のウソだと確認するかは、前職での上司との関係、部下との関係を聞いてみるのです。

いくつかのエピソードを聞いてみて、「どう思った?」「どう対処した?」という質問を、細かく繰り返し聞いてください。

その時、顔の変化、体の変化、言い返す言葉などを、慎重に見ていてください。

面接者の全てが感じるような違和感がでると、隠しているものは大きいか、とてもいやなものなので慎重にならないといけません。

人格は、顔や、体に出るものです。

親との関係は必ず聞く


また、親との関係は、絶対に聞くべきです。

しかも、子供の時の関係を。

入社させて後悔するような社員は、十中八九、親との関係が悪いはずです。

もちろん、年月とともに、解決しようとしている人は、問題ないのですが、引きずって、そして、わだかまりにしている場合は、かなり要注意です。

エリック・バーン博士によると、人には、自分のお気に入りの感情として「ラケット感情」というのがあるといっています。

いいか悪いか、人は、感情表現をパターン化しているというものです。

たとえば、都合の悪いことがおきるとスグに怒鳴る人などがそうで、都合の悪いことがおきると、他の感情表現をせずに、スグ怒鳴るといったパターンを繰り返すというのです。

その感情のもとは、6歳~10歳ぐらいにできるといわれています。

つまり、そのときに、怒り、悲しみ、苦痛などあると、それが「ラケット感情」となって、蓄積され、その時と似た状況になると、いくつになっても出てくるといったことがあるのです。

ということは、その時の一番の影響者は親なので、もし、親との関係が、その時に悪ければ、どれだけ現在でつくろっても、怒りなどが蓄積され、日頃の人間関係の時にいやな形で出てくるというのです。

ましてや、社員は社長に対して親和欲求(社長は親だという意識)がありますから、親に対する怒りや攻撃的な感覚が、極めてでやすいということになります。

変人は採用しない


面接のときに、一般的な質問をして、「一般的にはそういう回答はいわない」と思ったら、要注意です。変わったことを言う変な人を、「人とは違う期待感」「面白い人」と理解して、採用する会社もありますが、一般的でない発言をする人は怖いのです。

私の経験上は、「人からどう見られようが気にしない」「怒ったあと、平気ですぐに笑って話す」とか、「自分に合わないルールは守らない」といった人は、人格に障害があると見立てています。

そういう人が、組織をめちゃくちゃにし、お客様からの信頼をぶち壊す可能性が高いのです。

歴史上の人物や、成功者は変わった人が多いので、常識にとらわれない発想がいいというのは間違いで、社員は、一般的な普通の人がいいのです。

とくに、成功者が社員にいなくても、社長が決めたルールを守り、少しの期待にこたえる、素直な人が重要なのです。

たとえば、「立ってみて」という言葉に素直に立つか、それともピクリと眉間を動かせて「なんで?」と思ったなと感じになるかで、素直さがわかります。

理由が分からなくても、反射的に素直に理解して、行動してくれる聡明な人がいいのです。

経験はあった方がいいですが、あることが邪魔な人もいますので、必ずしも武器にはなりません。

ただ、素直で聡明な人だと、経験は大きな武器になって、会社のとても力強い社員になるのです。

人の採用は、本当に難しいのです。どれだけいい人だと思っても、入社すると、全然ダメという人もいます。

何気なく、採用したら、実はとても戦力になったという人もいるでしょう。

なので、採用してみないとわからないのですが、ここまでで話したチェックは必ず必要です。

しかも、履歴書、電話応対、面接での言葉、声、内容、ジェスチャーだけでなく、社長が体で感じるものが重要なのです。

NLPでいう、ペーシングをしっかりやって、相手と呼吸を合わせると、相手がはなつ「違和感」を体で感じやすくなります。

「生理的に嫌い」といったセリフを、昔、同じクラスの女の子が言っていたのを思い出しますが、これも体で感じる違和感なのです。

いい社員を採用したい社長にとって、これは絶対必要なことなので、ぜひ身につけてもらいたいです。


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