売れるリフォームの値付けとは? 後編

森下 吉伸

こんにちは、森下です。

今回は「売れるリフォームの値付けとは?」後編です。

ある種、8対2の法則


高価なものを買いたい人は、高いから買うのです。

しかも、新しい、だれもまだ持っていないから。

なので、安くなって、古くなると買う理由がないということだと思ったのです。

中古や質屋以外でブランド品を買う人は、こういう層なんですね。

ちょっといいモノを安く買いたいと思っている人は多いので、たしかにそれは一部の人でしょうけど、その人たちが上げる売り上げはかなりだということです。

ある種、8対2の法則でしょうか。

もっとも、定価より少しは安く買いたいでしょうが、新しいものを高い値段で買うことに意味のある人なので、安くしすぎると売れないということになって、それなら捨てるより捨て値で売るほうがましだということなんでしょう。

ここまで、捨て値にすると、節操のないあなたのように食いついてくる人がいることはわかっています。

と言われました・・。

原価と売値


ここでいいたいのが、ヤマダ電気でも、サカゼンでも、共通してあるのが、一つ一つの商品ごとの原価と売値が合うかどうかということをあまり気にしていないということです。

年間を通して、いくら仕入れて、いくら売れた・・その差額がいくらなのか、が重要なんでしょうね。

だから、高価なものをタダでプレゼントしてくれたり、格安で販売したりが、常用的にできるのでしょう。

飲食店をみると、この考えがよくわかります。

焼き鳥屋さんで、若鳥と皮、ヒネ鳥(親鳥)の串が同じ値段のわけがないですもの。

スーパーの鳥屋さんに行くと、若鳥とヒネや皮は原価で5倍~10倍も違うと書いてありますから、同じわけが無いのです。

味や、他とのバランスなどで、値段をつけているので、原価の安いものばかり出れば儲かるし、出なければ儲からないといったことになるのです。

こういった、原価がいくらだから売値はいくらだといった考えではなく、お客様が買ってくれる価格はいくらなのかを考えているところが小売店・飲食店はすごいのです。

我々の業界が持っていない感覚


その点、リフォーム屋や工務店でのこれまでの風習は、原価管理をするときには、かならず1つ1つの現場で採算を合わすことを考えるはずです。

建築屋としての原価管理スキルが上がれば上がるほど、これは常識的なことになります。

業界では正しいスタイルなんですが、このことが「請負業」としての弊害をもろに出してしまうのです。

かならず、原価を積み重ね「この現場で損をしないように、危険も考えて価格を上乗せする」といったことになって、高い値段で、しかも原価がかかりすぎる(つまり職人さんに払いすぎる)ことになってしまうのです。

・・・ここまで、来ると、我々の業界が、他業種からの参入で、いままでのお客様を持っていかれてしまう理由がわかると思います。

家電ショップや飲食店のような発想に、これまで我々の業界が持っていない感覚に、ひっくり返されてしまうのです。

考えてもみてください、いまのリフォーム業界で、うまくいっているところは、大手だと、不動産関係、住設メーカー関係、あるいは、建築の経験がない社長の起業とか、そういうところが圧倒的に多いですよね。

それがその証拠です。

だから、いま、我々に必要なスキルは、まず、第一に、「売れる値付け」をすることです。

そこには、どの商品も、同じ粗利益にする必要はないですよね。

全体でどうなのかをみる。

そして、業界にある原価(各職種の実行単価)を根本的に見直すということです。

単価のあり方をもう一度見直す


もちろん、1人工の金額とかは変えられないでしょうが、積算の根拠、単価設定を変えるのです。

実際に、職人さんが、どうやって作って、そして、それに費やす時間がどのくらいかかって、そして、どんな材料が必要で、どんな工具を使って、そしてどんな危険が待っていて・・と、金額を上に上にのせていく積算はやめるべきです。

まず、売値から割り出すのです。

工事は、決まっているでしょうから、売値に対する原価総額を出して、それを、これまでの積算した時の各工種の割合を参考に、割り振りなおすのです。

そして、それを、「このパック商品をするときの単価」として、新たに作るのです。

はっきりいって、結果的には単価を下げることになるケースが多いのですが、私の経験上は、まったく話にならない発注額になることはないと思っています。

公共工事の受注のように、単なる、予算が20%切られたから、発注も20%切るから・・といった昔ながらの値交渉だと限界がありますが、単価のあり方をもう一度見直すことはまだまだコストダウンの道があるのです。

職人さんに、これまでと同じことを繰り返ししている仕事のやり方を、「いつも、簡単に、早く仕事を進めるためにはどうしたらいいのか?」を考えさせ、少しずつ実行させるということができ始めるのです。

あなたの会社でもできる「原価の見直し」はかならずあるのです。

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