効率よく手間をかける パート1

森下 吉伸

新年あけましておめでとうございます。
こんにちは。森下です。
 
2018年の「今年の漢字」は「災」であった。
地震・台風・豪雨・猛暑とたくさんの自然災害に加え、人災も多くあった一年だった。

 
新たな元号を迎えるにあたり、厄を落として良き一年になる事を願いつつ、発展のための「手間のかけかた」についてお伝えしていく。
世の中の移り変わりについても触れているので、その辺りもぜひご覧いただきたい。

 

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ウォルマートの低迷


世界最大企業だと言われているウォルマート。
1962年に最初のディスカウントストアーをオープンさせたというから、約50年でアメリカ全土3500店舗、海外1700店舗を展開し、年商50兆円は歴史上最大級の驚異であろう。
しかし、そんなミラクル企業に陰りがおそっている。
売上げの低迷に悩んでいるのだ。
 
これほどの大企業でもこういったことがおきる時代。
なぜ、こんな状況になっているのだろうか?
 
ひとつには、「より簡単にらくに」を求め、めんどうなことをいやがる消費者には、大店舗運営が合わないという変化が起きているのであろう。
これは、アメリカだけでなく日本でも同じである。消費者が求める買い物は、「簡単で安心」が求まれはじめた。
できるだけ動きたくない時代。
そうであっても、安心が感じられなければならない。
 
これからくる高齢者社会になれば、それはなおさらであろう。
こういった世の中にリフォーム会社がどう対応すればいいのか?
今回も、あらためて考えていきたい。
 
 

1970年代から買い物は変わった


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私は、買い物に変化があったのは1970年だと考えている。
買い物で1番注目したいのは日常品である。
 
私が生まれた1960年代には、買い物は商店街や市場のようなところだった。
私の両親も、毎日の買い物をするのに、あちこちにいき時間を使っていた。
「肉はあの店」「魚はこの店」といったように、かけずり回っていたのだ。
 
もちろん、安くていい食材を求めて、いまでも時間をかける人はいるが、当時はそんなこだわりではなく、商店の構造上しょうがなくやっていたように記憶する。
そして、70年代になって大型ショッピングセンターが現れはじめて、あちこちかけずり回る買い物が形を変えてきた。
 
いま、日本の大型ショッピングセンターでトップはイオンであろう。
イオンは1969年にジャスコとしてスタートした。三重の岡田屋に、大阪のシロ、そして姫路のフタギが合体して大型スーパーを開始したのだ。
たしかに私が子どもの頃、実家の近くに「フタギのジャスコ」といった名称の1号店があった。
大きなフロアーに、段ボールごと並べられた数々の食料品が乱雑におかれていた光景を記憶している。
ただ、その当時は遠足の前日に、おやつを買いに行くぐらいでしか活用しなかった記憶がある。
まだ、60年代の買い物になれている我々にとって、大型店舗で買い物をすることには慣れていなかったのである。
 
 

大型店舗が主流になった


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その後、こうした大型店舗は、どんどん幅をきかせた。
まずは、大都市に近い通勤駅前や旧市街地の商店街のなかに併設して作られた。
 
もともと大都市にはデパートがあったので、大型店舗がなくはなかったが、日常品を毎日買いに行くようなところではなかった。
それがイオンなどの大型店舗の出現によって、かなり身近なものになってきたのだ。
これは画期的な出来事であった。
もう、あちこちに行かなくとも、多くの品揃えの中で欲しい物が買えることになったからだ。
 
そして、大型店舗は郊外に移った。
駅前や商店街のように人口密度が高くなくとも、都会まで足を伸ばせない田舎に「郊外型大店舗」として積極的に出店した。
このあたりはウォルマートを参考にしたのに違いない。そして、郊外型大店舗は一つのスタイルを形成した。
5000㎡程度のスーパーマーケットを中心に、40〜50程度の専門店が併設というのが標準となったのだ。
「日常品がワンストップで買える、しかも、多くの在庫から選べる」といったスタイルが定着してきたのだ。
 
そして、2000年にはいると、郊外型大型店舗の開発は、地域の都市計画の中心ともなった。
なにもないところに大店舗ができるので、それにあわせて住宅があつまり、病院ができ学校ができる。
都会では住宅が買えない人も、生活環境の整った「大型店舗タウン」を望んだ。
だれもが、どこに住んでいても流行の商品が買えるといった地域に関係ない生活を実現した。
この現象は、ここ50年の日本の生活におおきな変化を与えたのは間違いない。
 
 

コンビニも順調に伸びた


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一方、同じ70年代から80年代にかけてコンビニが現れた。
1974年の1号店を出したセブンイレブンは1990年には4000店舗となり、このころの全コンビニ数は4万店舗にもなった。
 
一見、大型店舗とコンビニは全く違ったものにみえるが、そうでもない。
ワンストップで買える利便性は同じなのである。
よって、60年代までつづいた「買い物はあちこちかけずり回る」といったことをなくしたのが大型店舗とコンビニだといえよう。
 
この2つの成功には、ワンストップであったことが大きく関係しているが、そこにそれぞれの特性が付加されて、さらに買い物という概念を変えていったのである。
たとえば、大型店舗なら買い物以外に、「子ども達が遊べる」「イベントに参加できる」「駐車場にこまらない」「食事もできる」とか多くの利点が手伝った。
また、コンビニなら、「24時間営業」「家のすぐ近く」といったことに、独自の食材「おにぎり」「弁当」など、庶民的にうけるアイデア商品を数多く出したこともある。
 
 

この流れは続かない


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こうした店舗の動きは、ここ最近まで続いたが、ここにきてこれからもこのスタイルが続くのかという疑問がある。
その疑問をつくったのがネットショップでの買い物であろう。
 
アマゾンや楽天を初めてする大型ネットショッピングセンター。
これまで以上に、簡単に手間なく買い物ができる。
 
先ほど言った、大店舗は「品数もそろい、買い物だけでなく遊びたい」という欲求は満たしてくれるが、逆に「歩き回るとか、探し回る」といった労働を押しつけてくる。
「簡単で安心」な買い物がしたい時代では、まず、めんどうな行動することが苦になるのである。
 
ショッピングする楽しみは、ウインドショッピングでなくネットサーフィンでいいと感じる時代なのだ。
なので、休日の時間はつぶせても、ヘトヘトになって、家に帰ってこなければならない買い物は受け入れなくなってきたのだ。
 
大きいことはいいことだという常識はなくなりつつある。
かえって仇になっているのである。
ウォルマートの陰りも、まちがないなくそれである。

 
 
 
 

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