判断基準を間違えない パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
だんだんと蒸し暑い気候になってまいりました。
これからが夏本番ですがお体に気をつけてお過ごしください。

さて、今回も前回に引き続き「自分の価値観とはなにか?」についてお話しします。

<洗脳というもの>


こういったように、いいも悪いも社長の価値観は社員にも浸透していくわけだが、それによく似たもので、「洗脳」という言葉がある。
オウム真理教の事件のときにあったあの言葉。

マインドコントロールともいわれた行為によって、武器をつくるとか、人を殺すとか、一般人が平気で行うようにしてしまうもの。
これは、誰が考えても悪いことだと言うだろう。そういう犯罪までもいかなくとも、「洗脳」という言葉にいい響きはない。しかし、我々の生活を見渡すと、結構洗脳っぽいものが多くある。

たとえば、会社の方針。
ある会社は、安売りこそがすべてで、1円でも安く売ることが全てだという。
ある会社は、自然素材こそが重要で、値段が安くなくとも素材にこだわった商品を売りたい。
また、ある会社は、値段は高く、高級品を売りたい、とする。
これは、通常は、会社の方針だといって終わりの話。

そして、その会社の社員は、「それは会社の方針であり特徴だ」といって、拒否はしないだろう。
それどころか、だんだん、その考えが、自分の思いになっていくことが多い。気に入らなければ、会社を辞めるだろうが、やめずにいるということは、その考えが自分の考えになってきているのだといえる。これが、「洗脳」以外になんていうのか?

家庭でも、親は子供に自分の考えを押しつけて育てる。
食事で「いただきます」という、洋服は脱いだらたたんでおく、といったことは一般常識であるが、やらなくともいい家庭もあるだろうから、これはこれで1つの洗脳だといっていい。しつけの一部でもあるのだが、親の価値観をすり込んでいるのだ。

こう考えると、「洗脳」というのはいいイメージがないが、実際の所、洗脳がなければ、子供はいい子に育たないし、家族もまとまらない。それと、同じように「洗脳」がなければ、会社もまとまらないし、社員との価値観の共有ができない、ということになる。ここも、社長によって、悪い洗脳といい洗脳を、どこで判断するのかの基準が変わってくるだろう。

 
 

<落とし穴がある>


ここまで言って分かるように、成功するためには、どこで判断すればいいのかと言うと、「悪いことのぎりぎりのラインで行った方が早い」とい事実がある。
よって、「もっと儲けてやろう」といったことだけを考えていると、「そこまでやるのは悪だ」と言うとこまでやってしまうことがある。
上手なやり方だと言って、よろこんでいると、知らぬまに、思いもよらぬ落とし穴に落ち込んでしまうことがあるのだ。

いずれにしろ、「どこでやめるのか」「どこまでが許せて、どこからは許せないのか」という社長の判断が、社員の行動を左右しているということを理解していただけるだろう。

実際にあった例だが、ある会社で営業マンに、「顧客は切ることが重要」と洗脳した。
意味は「今すぐ客には今すぐ対応する、まだ先客にはあとで対応する」を見極めるために、顧客が持っている欲求を探るということを目的にしているのだが、社長が意味を十分理解していないと営業マンは勘違いしてしまう。
そして、「面倒な顧客は切る。都合のいい客だけ追っかければいい」と自分勝手な判断をしだし、結果として契約率の悪い会社になってしまった。

こういったことになるのは、社長の責任が大きい。
「顧客は切ることが重要」と聞いた時点で、自分の価値観では、「面倒な客はいやだ。それを切る」と思ったのであろう。それはそれでいいのだが、面倒な顧客という定義をしていないので、営業マンが自分勝手に顧客を色分けしてしまうのだ。

面倒な顧客というのは、1つはクレーマーであろう。
そして、いつまでたっても契約をしてくれない人。
それ以外は、全部OKが原則。
そうでないと、広告費用に見合うような契約がとれないので、社長は、そう定義をしておかなければならない。
しかし、その価値観を曖昧にしていると、気がつけば、営業マンは、自分の好み、相性だけで、顧客を色分けしてしまうのだ。ひどいときは、顔が嫌い、話し方に腹が立つ、といったことだけで、貴重な見込客さまを切ってしまうことがあるのだ。

集客出来ても、契約が上がらない。という事実がある会社は、こういった間違いが起きている可能性がある。
判断基準、価値観をはっきりさせとかないと、社内がめちゃくちゃになることもあるのだ。

 
 

<結論です>


社長の判断基準がどこにあるのか?それが一番重要で、そのあとに、それが会社の価値観になる。
営業マンの契約率が低いとか、それ以外の仕事がうまく回っていないということは、社員の責任でなく、全てが社長の判断基準や価値観によって、起きていることだとはお分かりでしょう。

また、中身のない洗脳は最悪。
受け売りのような知識で、ただ、業績を上げたいからだけの社員洗脳は、どこかで限界が来る。
表面上のテクニックだけで立ち回らせていくことになって、社内の人間関係でも、営業マンと顧客との間でもギャップが生じ、うまく仕事が流れないことになる。その上、だれも責任を取らない。だれも責任者にならない。という会社になってしまう。

なぜなら、社員が、部下を教えるとか、会社の利益のために頑張るとかは、銭金ではない。社長の価値観によってあるものだ。なので、その価値観は、まっとうでなければ、人はついてこないのだ。

つまり、業績を上げるため、ただ、儲かるためだけだと、「判断基準は悪さのギリギリになる」と言うことをいったが、それの度が過ぎると、まっとうな考えの者がついてこなくなるのだ。儲け主義だけでいくと、社内の人間関係がまずくなり、「仕事はたくさんあるのだが、社内が崩壊しているので利益が出ない」ということが起きてしまうのだ。

「自分勝手に生きる」ということが、評価されている時代。
昔の日本にあった「相手のことを気にする」ということが無くなってきた。それは、悪いことではないが、自分勝手に生きるということは、そうできるように廻りが併せてくれているということを忘れてはいけない。どれだけ優秀な人でも、人は一人では生きていないのだ。

社長も、自分一人で生きているわけではない。
なので、たえず、自分の価値観をたしかめ、そして、人がついてくる判断ができるように努力すべきであろう。社員あっての社長だということを、忘れてはいけない。