判断基準を間違えない パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
もうすぐ梅雨入り、憂鬱な季節になってまいりますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、「自分の価値観とはなにか?」という答えをいろんな角度でみていこうと思います。

<自分の価値観>


人は、「いいか」「悪いか」を判断するときに、何かの基準があるだろう。
「そこまでならいいが、そこから先は悪い」といった境目をどこにするかで、自分の価値観が決まる。というと、会社は社長の判断で動いているのだから、当然、社長の価値観に染まっていく。

そして、それが会社の価値観のベースになって、社員が判断する基準になっている。この基準で、会社の特徴が決まり、それを見て消費者は「この会社で契約しようか、否か」を決めるのである。

悪徳業者は、最初から顧客をだまそうとしているとする。
悪い人の集まりだろう。
しかし、普通で考えるとそんな悪人が次から次へと会社に集まる訳がない。
もともとは悪人でなくとも、社長の悪意が社内の常識となって、どんどん悪人に変わっていく。その状況のなかで、気がつけば犯罪を犯しているのかもしれない。

たしかに、今の世の中で「成功する」ということは難しい。
必ずしもまっとうな行動や発言だけをしていても、うまくいくとは限らない。もっと、業績を上げようとしたら、顧客をだまさなくとも、多少はオーバーに会社のよさを見せることぐらいはしているだろう。
ウソぎりぎりのところで、いいことを言っている会社の方が儲かっている現実はある。

こういうと、「ウソをつく奴に成功はなし」と、常識人に怒られそうだが、商売とはそういうものだともいえる。
しかし、ここにも境目があるだろう。「ここまでなら許されるが、これ以上は許されない」と。ここで、社長が行う判断基準が良くも悪くも自分の価値観であり、会社の価値観ということになる。

それぞれの社長が持っている自分の価値観。
だが、自分の価値観を正確に理解しているだろうか?

もし、完全に理解していないのなら、そこを見直すことで新しい発見があるかもしれないし、正確に自分を知ることで、自分だけでなく会社までも成長できる可能性をあげてくれるかもしれないのだ。
また、場合によっては、失敗を少なくしてくれるかもしれない。

「自分の価値観とはなにか?」今回は、その答えを、いろんな角度でみていこうと思う。

 
 

<2人で1人をだます?>


最初に「詐欺」というものを考えてみる。詐欺は、だれでも悪いと分かっている。
しかし、上手な営業ステップやトークには詐欺まがいのものもある。多くの社長達は、それを悪いことではなく、売れる営業マンが行うテクニックだといったりする。ここでも、いいか悪いかの自分の判断が、自分の価値観を教えてくれるだろう。

昔、アメリカで書かれた、詐欺のやり方のような本を読んだ記憶がある。そこでは2人で1人をだますやり方が書いてあった。だましたい相手がいれば、その相手に対して積極的に交渉する者が1人いる。そして、その間に中立の立場で場を取り持つ人が1人いる。交渉人と中立人の2人で、相手をだますのだ。その本には、1人をだますときには2人でだますのが基本。それがうまくいくと書いてあった。

相手  「本当に、それはうまくいくのか?」
交渉人 「必ずうまくいく。命をかけてもいい。今すぐ、申し込んで欲しい」
相手  「しかし、不安だ。そんな都合のいい話があるなんて」
交渉人 「ウソじゃない。本当だ。いいから、申し込んでくれ」
相手  「いや、信じられない」
中立人 「確かに、そんな話は信じられない。都合がよすぎる」
交渉人 「うっ・・・。そこまで言うなら理由を言おう。実は○○がある」
中立人 「何だって、○○だったのか?それは俺も聞いたことある」
相手  「○○って何なんだ?」
中立人 「いま政府が動いているものだ。仕事上私は知っている」
相手  「本当なのか?」
中立人 「私も、この交渉人のことは信じていないが、今の発言は真実だ」
相手  「なるほど」
交渉人 「内情を知られた。申し込むかどうする?いやならもういい!」
相手  「いや、待ってくれ。もう一度話を聞かせてくれ」

こういったように、当事者同士が腹の探り合いをしている時に、中立者が第三者として意見をいう。
しかも、だまそうとしている相手に味方をした言い方で。

そうなると、相手は交渉人をまだ信じなくとも、中立人のことは、だんだん信じるようになる。交渉人とだまそうとしている相手は、売る者買う者の利害関係が発生するが、中立人とは、まったく利害関係がないと理解するからである。こうした心理を利用して2人がかりで詐欺をはたらく。これで、かなりの確率で成功するというのだ。

このやり方は、いまでも多くの営業マンが活用している。
3人の営業と言われる方法だ。

主に、マルチ商法、ネズミ講といわれる会社は、必ずと言っていいほど、このやり方を使う。最初から、だまそうとしているのだから、確率の高い営業方法しか使わないのは当たり前だろう。
「安売りするのは絶対いやだな…」と、ため息を何度もついたのです。

 
 

<3人の営業を自社に取り入れる>


こういった詐欺商法を、全て取り入れるのは抵抗があっても、エッセンスとしては利用できる。
「人というのは売り込まれたら引くが、売り惜しみをすればのってくる」という一面を理解する。どんなものを売るときにも、参考になるだろう。
 
3人いなくとも、2人だとしても、まず、売り込まないという姿勢を徹底する。
そして、できるだけ中立の立場を意識する。
たとえば、「私は売るのではなくて、あなたに、正しい情報をおして、アドバイスをします」とかいう。その説明に裏付けがあって、売らなくともその行為の正当性が感じられれば、安心して話を聞いてくれる。そして、その話に興味を持ち、購買意欲が高まってきたら、セールスをかけていく。これで、警戒心のある人々から契約をモノにするのだ。

これは、上手なセールスステップだといえるが、2人がかりでやると、一歩間違えれば、先に言った詐欺と区別がつかなくなる。もっとも、いいかげんな商品を売るのでなければ、必ずしも詐欺とは言えないが、その販売方法は、詐欺のやり方だ、といわれるといい訳は難しい。

しかし、本音で言うと、この売り方は人の心理を突いたモノで、決して詐欺ではない。
しかしながら、一歩間違えると、人の弱みにつけ込んで売るためのテクニックであるのは間違いないのだ。よって、気をつけないといけないのは、社長の価値観が少でも悪意に傾いているのなら、「心理をついたいい営業方法だ」と、詐欺をやることに正当性を持つかもしれないのだ。

こういう社長だと、社内はどうなるだろう?
月のノルマが足りない営業マンであれば、「悪い商品を、いいこといって売ってやろう」ということが、正当化されるかもしれない。
そしてなれてくると、それからも、いいものではないと分かっていながら売ることになるかもしれない。
 
一歩間違えると、社長の小さな悪意は、営業マンがどんどん大きくしていく可能性があるのだ。それだけでなく、社長にとって、たかがしれていると思っていることであっても、社内は思わぬ方向にいくこともある。
こう考えると、テクニックを追求するときには、油断してはいけないということが分かるだろう。