会社、社長自身を点検する パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「会社、社長自身を点検する パート2」についてお話しします。

お金は労働の対価


しかし、現在の日本人の多くはどうでしょう。自分の私利私欲が先行している人がかなり増えたし、それどころか、「自分がよければ、それでいい」といった発想が、だんだん一般化されて来ているのです。
なかでも、お金に対する感覚がとても貧困になってきたのが残念です。

もともと、お金は「労働の対価」として手に入れる物です。
その昔、狩りに行かなければ、食物にありつけなかったのと同じで。ということは、お金は、何もしていないのに手に入る物ではない。
逆に言えば、なにもしていないのにお金はもらえないものといった発想。

「働かざる者食うべからず」というように、何もしなくてお金をもらうのは恥。
そして、恥は最大の屈辱であった。
昔いた、まじめで働き者の日本人の考えは、そうであったはずだと思うのです。なかには、「少ない労働で多くのお金が欲しい」と思った人もいたでしょうが、何もしていないのに、お金を恵んでもらうことに罪悪感は、あったに違いないでしょうから。

しかし、今はそういう罪悪感は薄れてきたと思えてしょうがないのです。
油断していると、他人のお金であっても、自分がくすねられるのなら、恥も外聞もなくいただく。
それどころか、堂々とニヤニヤ笑いながら、平気でお金を手にする人たちがめにつくのです。

親が子供をダシにお金をせしめる


これは、極端な話に聞こえるかもしれないが、世の中をよく見ると、あちこちに、その現実を見ることになります。

たとえば、「子供手当て」とか、あの手のばらまき。
これは国がやることか?と疑います。
なぜ、あげなくてもいい親に、お金をあげるのか?
それに、多くの親も「収入が少ないから」とタダでお金をもらうことに疑問を持たないなんて、おかしいだろうと。
収入が少ないのは、労働意欲に問題があることが多いので、それは自分の責任だろう、といいたいのです。

また、小学校の給食費を払わない親や、地元のゴミ当番や地域活動に参加しない親も全部そうです。自分の負担になることは、全部他人任せ。
結果的には、人の労力やお金をせしめて、自分はのうのうとしている。それどころか、「なんで俺がやらないといけないのだ」と言い張る親が多くなったのです。これには、ホントに驚かされます。

給食費を払わず、子供が給食を食っているのを見て平気なのか?自分の大切な子供に乞食のような行動をさせていて、恥ずかしくないのか?
タダ飯を食うことを常識化させて、次の世代をクズの集まりにさせたいのか?と疑問だらけ。

こうなれば、問題は、親だけで済まないのです。
未来ある子供をダメにしてしまいます。
そんな親だから、子供が年金目当てに、自分が死んだ後も、腐ったままで押し入れにゴミといっしょに押し込まれるのだ、と嫌みを言いたくなります。
親を親どころか、人としてすら感じていない子供に育ててしまうのです。
これだと、恥を屈辱だと思う、日本人の誇りはどこにもないのです。

社長にも同じことが起きている


このことは、親というくくりだけではありません。
社長、経営者に話を変えてもおなじことがあります。

まじめで正直な日本人が、言ってきたことは、仕事とは、汗水流し一生懸命やって、そして、お金をもらうことだということです。もちろん、売る商品によっては、売り方も違うし、もうけの額も違うでしょう。
お金を投資した額によっても変わるだろうし、アイデアの質によっても変わるでしょう。
いずれにしろ、努力した人が、お金を儲けられるということが常識だったのです。

しかし、今は、違う。努力はしたくない、ラクして儲けたいという風潮が圧倒的に広がっています。
たしかに、ラクして儲けることは、悪いとはいえません。
合理化、しくみづくりといったことも、ラクするということの目的の1つなので、これらに取り組むのには問題はありません。それは、むしろ努力になるでしょう。

ただ、勘違いをしている経営者が多くいるのです。
ただ、ラクをしたい、努力をするのはいやだ、とだけ考えているのです。
そのくせ、うまくいかないかなと。よって、うまい話ばかりに近寄っていき、自分で工夫したり考えたりしないのです。
また、そういう生き方が「上手な生き方」だと、つまらない成功本を信じているから、どうしようもないのです。

なにも努力しないで、ラクして儲けようとすると、だいたいの場合が、人をだましたり、押しつけたりといった、人の弱みにつけ込むことで、成果を出すことになるのです。
自分さえ儲かれば、人のことは関係ない、それが商売だといったところでしょう。こういった発想になっていないか、社長は自分を点検しなければならないのです。

アメリカチックな考え


これは、一発逆転、アメリカ人の「アメリカンドリーム」的な考え方が影響しています。
もともと、家系や家柄も、家族の歴史もない、失う物がない人に共感を与える考え方ですから、一部の人にしか当てはまらず誤解が出てきます。

なにも恐れず、1から作り上げるハングリー精神はいいのですが、自分が成功するためには手段を選ばないといった面と、簡単に大穴を当てようといった面がどうしても出てきてしまう。
それを誤解して理解してしまう人が出てきているのです。

「お金持ちがすべて」といった単細胞な考えは、昔の日本にはあまり無かったでしょう。
ただ、この考えは、日本にも成功者を多く作ることになりました。
商売をする経営者にとって、利益はあげないといけないし、自分の収入も増やしたい、お金がなくては話にならない、といったこことが、だれにでもあるでしょうから、受け入れられるのは理解できます。
ただ、どこかで、結果だけ先行してしまって、商売の本質が微妙にずれてきた人が増えてきたのです。

つまり、「アメリカンドリーム」を手にするために、いかに自分の能力を上げ、社員の実力を上げなければならないのか?というより、いかに、努力なく、表面的なことだけでできないか?といった間違った考えが、日本全体にも常識化してきている節があるのです。
合理的にかしこくビジネスをするといった本質より、極端に言うと、ノウハウを仲介するだけで儲けるといった、誤解をしている経営者が増えていると思うのです。

結論です

勘違いがあるかもしれないので、最後に言いますが、「アメリカンドリーム」はいつでも目指してください。それが、経営者の夢でしょうから。

ただ、一か八かの勝負は考えない方がいいといいたいのです。
もちろん、人生には勝負の時がありますので、そこでは打って出なくてはいけませんが、安定した売り上げを実現するためには、特殊解はないのです。
当たり前のことを当たり前にやることしかないのです。

そして、「ラクして儲けよう」という考えは捨てなければなりません。
他人に依存し、自己責任をなくすことになって、自立していない会社になってしまうからです。
他人にコントロールされる会社は、社長の満足はあり得ないでしょう。
こうなってはいないかどうか、社長自身が、自分を点検しないといけないところはここなのです。

これは、先にいった、「給食費は払わない。でも、子供には給食を食わす」といった、すさんだ考えと一緒になってしまうのです。
こんな親から、いい子供が育つわけがないのです。
これといっしょで、他人に依存し、自己責任がない社長では、いい社員が育たないし、家族・会社の限界が来てしまうのです。

とまあ、ここまで小言のような話を書く方も読む方も大変でしたが、まじめで働き者の日本人のよさを失わないで欲しいのです。

多くの経済人、コンサルタントは、こぞって日本はもうダメだ、日本人はダメだと、あきらめています。
それは、外国の常識に当てはめてどうだということで、日本人らしくなることはむしろ強みになるはずです。

なぜなら、お客さまも、社員もだいたいが日本人です。(か、もしくは日本に住むときめた在日外国人です)日本人の特色も忘れてはいけない点検ではないでしょうか?


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