もう一つの社員の育成法 パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「もう一つの社員の育成法 パート2」についてお話しします。

ベーシックインカム


ここ最近、ベーシックインカムが世界で再注目されていると聞く。

ベーシックインカムとは、条件なく平等にお金をあげる(フリーマネー)といった意味。

もちろん原資の確保はあって当然だが、お金を与える事で意欲をあげようと言うこと。

たとえば、全ての国民にたとえば年間で一律150万円お金を与える。

その変わり生活保護や母子家庭補助、就学援助など福祉プログラムをやめる。

といった政策である。

2009年にロンドンで行われた実験では、ホームレスに無条件で3000ポンドをあたえたという。

1年後に調べると、驚いたことに平均で800ポンドしか使っていなかったという。

生活が180度変わり、身ぎれいになりガーデニング教室に通っている者もいれば、捨てた家庭へ戻る決心をつけた者もいたという。

あたえたお金が彼らに意欲を与えたようだ。

しかも、そのことで彼らに使っていた福祉関係の費用、犯罪対策費、ソーシャルワーカーの賃金がいらなくなり、かなりのコスト削減ができたという。

しかし、西洋では「働きたくない者は、食べてはならない」という聖書の教えは根強い。

働くこともしないでお金をあたえるなんてもってのほか。

ホームレスや犯罪者を立ち直らせるのは「ボランティアをさせ、福祉から就労へ移行させる」が正しく、フリーマネーは人を怠け者にさせると思われがちである。

ただ、このロンドンのホームレスの例を見ると、必ずしもそのパターンが正しいとも感じられない。

また、こういった事例もある。

西ケニアの貧しい暮らしの人(1日2ドルの稼ぎ)に700ドルをあげた。

1年分の収入である。

どうなったか?

結果としては、だれもが酒を買わずに、それぞれの家を修理し、あらたなる小規模ビジネスをする人が多かったという。

バイクを買ってバイクタクシーをやって、収入が3倍になった者もいたという。

貧しい人はなにを求めているのか?

彼らには、魚を与えたわけでも、魚の釣り方を与えたわけでもない。

単純にお金である。

結果だけを見ると、彼らに何が必要だったのかは明白であった。

フリーマネーは無駄ではなく、ちゃんと機能したのである。

一般的には「貧しい人はお金の使い方がヘタクソだ。つまらないことに無駄使いしてしまう。」

という考えが根強い。

また「貧しい人は怠け者だから愚かな判断をする」と思う人も多い。

たしかに、貧しい人ほど無駄なお金を使う。

犯罪を起こしやすい。

肥満になりやすいし、酒や薬におぼれてしまう傾向があって、無駄使いしていると言える。

また、統計でみると貧しい人は、借金が多く、貯金が少なく、喫煙量が多く、運動量が少なく、食事内容が不健康。

調査結果では、貧困は長期的な視野をうばうから、規律をもった生活ができないのである。

経済学者のジョセフハンロンは

「貧困とは基本的に現金がないこと。愚かだから貧困になったわけではない」

といった。

マーガレットサッチャーは

「貧困は人格の欠陥。個人の問題というのは正解だが、政府が正しい方向へ導くことが大切だ。自分ではやれないから貧乏で、それを導くのが必要である」

といったのである。

こうして考えると、意欲を失った労働者も同じことかもしれない。

情報に踊らされるだけで、新たなる商品を作り出すことや、懸命に労働することの楽しさを経験していないのかもしれない。

意欲がないから成果がでないという決めつけは置いておいて、意欲につながる1番身近なものはないかを確かめてみて欲しい。

たとえば、なんでもいいからその労働者ができることを見つける。

好きなことでもいいし、やってみたいことでもいい。

意欲につながることであれば、元来、その労働者に与えようとした仕事でなくともやってみる。

こうした、意欲に繋がることを中心に仕事をさせることで、変化をもたらすことを期待したい。

貧しい人は、お金がないから、余裕もないし、出来ることが限られている。

もともとお金がないのだから、少しぐらい増えても無駄に使いきってしまう。

意欲のない人でも、やりたいことやできることを増やすことで、余裕が生まれ可能性が高まるかも知れない。

意欲が自分の中で十分に育まれたなら、無意欲になることへの抵抗感がでるかもしれないのである。

たしかに、そういうほどうまくいかない可能性もある。

しかし、意欲のない社員には「意欲のベーシックインカム」をやってみる価値はある。

マンチェスター大学研究者らが書いた「貧乏には金を与えよ」では、フリーマネーの成功事例がたくさんある。

貧乏人が貧乏である理由は、充分なお金を持っていないからである。

と言いきっているのである。

であれば、意欲がない労働者に対する対策では、意欲を与えることであり、意欲とは何から生まれてくるのだと考える事である。

やはり、お金だという結論になるかもしれない。

場合によっては、いまの仕事だということになるかもしれない。

ベーシックインカムを参考にして、考えるべきことはこういった思考である。

意欲には余暇も必要である


ベーシックインカムは逆転の発想である。

しかし、頭ごなしにやっても成果の出ない時代には必要な発想でもある。

また、この考えでいう意欲には余裕が影響する。

そして、余裕は余暇から生まれることが多い。

1930年にイギリスの経済者ジョン・メイナード・ケインズは「孫の世代経済的可能性」として余暇が最大の問題になると言った。

孫の世代というのは現在にあたる。

当時、手の施しようのない失業者とファシズムが勢いを増し、スペインでは壊滅的な内戦が起きる。

世界経済が悲観的で、飛躍的な経済発展は幕を閉じ、第二次世界大戦が始まろうとしていた。

100年以内に1930年の水準の40倍、労働時間は週に15時間になると予言した。

余暇にあふれるという予言はベンジャミンフランクリンも日に4時間労働になると言ったし、余暇と喜びになるといった。

その後、確実に世界的に余暇が増えた。

1960年には最終的には14時間になるという考えは支持され、当時のニューヨークタイムスも同様にいった。同時に、人類は主に機械の世話をする種族になり、深刻な社会的影響が生じてしまった。

膨大な余暇の中で、目標を見失う。

余暇は楽園と同じに思われたが、将来やっかいな問題になるかもしれないとも言われた。

つまり、昔から余暇においての考えは進化している。

現状として予測ほど余暇は増えていない。

そのしわ寄せが必要とされているともいえる。

多くの社員は「お金がもらえなくとも余暇を得たい」と考えている。

これはその昔、予測された現実になろうとしていると言うことである。

具体的に意欲を取り戻す行動を考え、行動する事と共に、労働時間を減らし、余暇を取る事が、これからの社員の育成法の基本となるのである。


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