こんにちは。森下です。
さて、今回は「キレる上司 パート1」についてお話しします。
人気のある上司
「いい上司とは?」と部下に聞いてみると、だいたいが怒らない上司だという。
細かいことをとやかく言わない。
失敗しても許してくれる上司のことをいうようだ。
つまり、部下に取って都合のいい上司である。
ただ、こういう上司は会社にとってはマイナスの場合がある。
部下に怠慢があっても強く言えない。
いい顔をするだけで注意をしない。
代わりに対応もしないことがあるからだ。
上司が責任を取らず部下を許すだけなら、不祥事はどうやって収拾されるのか。
会社の信用は丸潰れである。
一方で、「尊敬できる上司とは?」と部下に聞くと、少し違ってくる。
いい上司のように、なんでも許してくれることが尊敬に値しない。
逆に叱ってくれる上司だという。
間違っている事があれば「間違っている!」と率直に指摘してくれる人だという。
昨今、パワハラが問題視されることがあるが、許すだけでは世渡りができない。
未熟な部下には叱ることが大切である。
部下自身の成長には、厳しさが必要であり、本気で教育してくれる上司がありがたいのである。
「怒る」と「叱る」
間違えてはいけないのは「怒る」と「叱る」の違いである。
似ているようで違う。
同じ大声を上げても、「怒る」は自分勝手な感情的な怒りだが、「叱る」は相手をよい方向へ導く為の指導方法だからである。
なかには、この二つの違いを混同してしまって、部下に厳しく注意ができない上司がいるという。
部下のことを思って叱っているのに「ついつい感情的になって、上司として恥ずかしい」といい、萎えてしまうのだ。
たしかに、今の時代は「怒る」も「叱る」も「キレる」と言う人が多くなったので、勘違いがされやすい。
「キレる」は、もともと「堪忍袋の緒が切れた」の「キレた」から来ているのであろう。
「我慢して耐えたが、もう限界」というのを「切れた」と表現したに違いない。
どちらかというと切れた人には正当性があって、切れさせた方にも責任はあるといったイメージである。
このことで、単に怒っている人でも「キレた」といって悪びれることなく感情をぶつけるようになった。
まともな上司なら、この風潮が「怒る」と「叱る」をさらに混同させ、冷静な上司であらねばならないと「キレる」ことを押さえてしまうのではないか。
しかし、部下には「叱る」ことは必要なのである。
ここぞと、いう時にはキチンと「キレる」ことで、上司としての責任を果たさなければならないのである。
ただ、「キレる」なら、上手に「キレた」方がいい。
単に、感情的に取り乱しているとか、自分勝手に怒っている、自分勝手な上司に見えてはいけないのだ。
上司が「キレた」のはもっともだ。
よくぞ言ってくれた!と思わせなければならない。
誰の目から見ても、「キレる」ことに納得感があるようにキレなければならないのだ。
ダメなキレ方
逆にダメなキレ方のベスト1は、瞬間湯沸かし器のように「キレる」ことである。これが最も意味の無いキレ方。
上司は、こうならない為に溜めてはいけない。
言いたいことを言わず我慢を重ねているとこうなるので、まず、上司が不満を溜めない事が大切である。
ちなみに、瞬間湯沸かし器キレがなぜダメなのかというと、キレさせた相手も瞬間的に「キレる」からである。
それだとただのケンカである。
当然、こちらに反抗してくるときもある。
なので、こちらの意図が伝わらない。
せっかく切れても意味がないのだ。
また、そのやりとりを見ている周りがいるなら、その人達も嫌な思いをする。
キレた上司をにらみつける。
キレさせた相手も、周りも人も、全ての人がキレた上司の味方をしてくれないのである。
そうなると上司自身も自己嫌悪に陥ってしまう。
自分だけが怒っていてバカみたい。
だれもが迷惑をしていて、相手や周りから孤立したような気になるのである。
そもそもはキレさせた相手が悪いのだが、結果的には上司自身が悪くなってしまう。
そして、誰もが不快になる最悪の状況になってしまうのである。
こうならないように「キレる」ときは上手にするべきである。
感情でなく、キチンとした指導だと思われるようにである。
そのコツは、どれだけ腹が立っても、部下の人格を否定するとか、他人と比べて叱責するのはダメである。
アホ、バカ、死ね、のたぐいは最悪だし、デブ、ブスと外観をいうのもダメ。
お前の価値はない、いらない、どこかにいけ、といった存在を否定するのも絶対ダメである。
なんでもかんでも人前で吊し上げるのもだめ。
本人が言われて恥ずかしい事や、昔ミスした話を引っ張りだすのもダメである。
「きっと、そうだ。お前はそうに違いない」といった上司の推測(勝手な思い込み)もダメである。
上手なキレ方
では、上手なキレ方はどういうのかというと、まず、その場で短く叱ることである。
上司が部下を叱る場面で、我慢をすると感情的になるといったが、その都度、怒りを出しておくことが大切である。
また、問題がおきた場で叱るからこそ、臨場感があって言葉以上に感覚的に伝えられることもできる。
また、短く叱っても効果はある。
ながながと説教をしなくとも、その場であることと、臨場感があることで、部下も上司の怒りを一瞬にして理解しやすいので話がはやいのである。
また、だれもが持っている認識にのって「キレる」のがいい。
だれもが認めるキレ方である。
だれからもイエスセットできればいいのだ。
たとえば、どこの社会でも「人を殺していけない」「物を盗んではいけない」ということに反対する人はいないだろう。
だれもがイエスセットするはずである。
これを犯した相手に激高して「人を殺すな、バカ野郎!」とキレても、ほとんどの人がその発言にうなずくはずである。
それどころか一緒になって怒るかもしれない。
ダメな事をダメだといったこと、教育としてとても大切な叱り、そして、周りからもその発言が認められたとなると、キレたことは評価される。
社内で言うと、顧客との約束時間を破った部下がいたとする。
時間厳守だと叱りつける。
もちろん、破った本人も、周りで聞いていた部下も、上司の怒りはごもっともだと思うはず。
もし、時間がまもれなかった理由があったとしても、時間厳守が重要だという主張にはなる。
いい顔をする上司は、ここで、「しょうがない。次回は気をつけろよ」というかもしれないが、尊敬できる上司は、「理由はあっても、時間は守るべきだ」と社会の厳しさを教えるだろう。
どうであれ、キレた理由が社会や会社のルール、常識などにそったものであることに気をつけるだけで、上手なキレ方ができるのである。
脳の構造
最後に、「キレる」ということをもう少し深く考えてみよう。
そもそも「キレる」というのは自分を守る行為である。
泣く、笑う、などと同じで相手をよせつけない行為である。
つまり、自己防衛の一つである。
構造としては、「キレる」ことが起きたときに、脳内にアドレナリンがでる。
アドレナリンは血圧、心拍数、血糖値あげる。
注意力、痛覚をにぶらせ、興奮させ、冷静さをなくし、やる気を上げるのである。
つまり、「キレる」のは、脳が自分を守る為に、自分をたきつけているのである。
なかには、すぐに怒る人、また、何度もやる人は、アドレナリンがでるだけでなくドーパミンもでている。
ドーパミンは快楽だから、怒ることで気持ちいいというのだ。
繰り返し、自分を守るために、脳なりに努力しているのである。
怒るのが気持ちいいというのもへんだろうが、そうでもない。
恐怖が気持ちいいという人もいる。
たとえば、遊園地のジェットコースターや、お化け屋敷なども、恐怖が快楽だという人もドーパミンが出ているのだ。
また、とかく家族や仲間に攻撃的になる人は、オキシトシンのせいである。
愛情ホルモンとよばれるが、愛情は強くなると憎しみねたみになる。
愛情が裏切られるとか、度が過ぎると攻撃で阻止するのである。
「キレる」ことは、行動だけでなく脳の構造として理解することで、さらに上手に理解できる。
安心ホルモンとよばれるセロトニンを蓄えることも必要で、タンパク質を取り、日光浴、お風呂にゆっくり入ることでさらに上手に「キレる」ことができるという。
本当の上手なキレ方とは、体の機能を理解した上で、それに巻き込まれないことでもある。
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