なぜ、姫路の経営者は「きゃべつ」にいくのか? パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「なぜ、姫路の経営者は「きゃべつ」にいくのか? パート2」についてお話しします。

究極の味には終着点はない


「1番おいしい」という無条件の愛情は、うちにくる盆暮れの付届けでも伝わるのだ。

ここ十数年は、毎年、盆暮れには「きゃべつ」からなんだかの付届けがやってくる。

うちの3兄弟全員に。

あるときは、とれたての牡蠣の山盛り、あるときは丹波の松茸。

またあるときは生きているワタリガニ。

まるのままのジューシーなスイカの時もあれば、知る人ぞ知る有名バームクーヘンなど。

パッと聞くと、なんの脈略もない食品だが、毎年いろいろとやってくる。

これがすべてうまいのである。

しかも、「ちょっとうまい」でなく「感動的にうまい」のである。

チョイスの仕方が絶妙で、いつもハズレ感がないのは見事である。

もらったものを食べる度に、おかあちゃんがアタリを選ぶセンスがどこにあるのかと疑問に思うことばかりである。

いえるのは、店でも感じるが

「これが1番うまいよ。あんたに食べさせてあげたいよ。さあ、こう食べるとおいしいよ。ほれ、たべてみな。さあ、たべてみな。」

と自信にあふれた誘引は感じている。

そして、店なら必ず「どう、おいしかったか?」と聞いて、くわしい感想を聞こうとするのである。

ちょっとでも怪訝な感じを見せると、そのたびに「あんま、おいしいなかったんやね」といって「それだすのやめとくは」とか「今度はもっと火を通さずにだすわ」とか1人でいっている。

そのたびに「いまがOKと思っていないんだな」とわかる。

以前、雁屋哲が漫画「おいしんぼう」で「究極とは漸近線である。どこまでいっても交わらない。究極の味はどこまでいっても終わりはない」といったがそれと似ている。

「きゃべつ」は経営者のホンネ


『大阪の「アラスカ」は日本のエグゼクティブが集まるという。

そして、ひと皿5000円のカレーに人気がある。

「アラスカの常連になれば出世する」といわれ敷居は高いが、まだ行ったことのない客のあこがれになるのである』

「きゃべつ」はそこまでも全国区ではないが、姫路では同じような存在だとは思う。

日本のエグゼクティブも、姫路のエグゼグティブも、飲食店選びや自分の仕事への考えは同じである。

どちらもいいものをめざしている。

適当にすることを嫌がっている。

同じ次元で双方を見る事ができるから「きゃべつ」に集まるのだ。

どこかの本で「お金持ちはお金持ちからしかものを買わない」とあったが、経営者にすれば「きゃべつ」はそうなのであろう。

こうともいえる。

「きゃべつ」に行く理由とはなにか?

経営者が顧客に対して「難しいがこういう対応をしなければならない」と思うことを率直にやっているからである。

「おちついて、ゆったりとしてもらう」

「いいものを、手間をかけてつくる」

「これが1番いいから使いなさい。買いなさい」

といったことはどの会社の経営者でも相手にしてあげたいと思うことなのだ。

また、「この商品どうですか?不満はありませんか?」と言われること。

経営者も自分たちの顧客に対して「こう聞けばいい」のはわかっても、なかなか素直にそう聞けない。

聞ければ改善が早いのに、負けを認めるのが怖いのである。

これをスパッとやるおかあちゃんに「尊敬の念にも似た安堵感」を感じるのはわかる。

これが安心感となり、いごこちのよさになっていくである。

これからの時代に必要なこと


ここまで話したことは、すべて「きゃべつ」の付加価値である。

どこにでもあるようでなかなかない。簡単なようで難しい付加価値である。

エグゼグティブは数少ないこの付加価値を得るために、お金を出しているのである。

店の豪華さや店員の美しさではない。

単純においしい。

おいしいものを「これでもか!」といって差し出してくれる。

食べている者のことを一生懸命考えてくれて「次くるときは、いまよりうまいから・・・」といった、満足に限界をおかない究極を突き詰めてくれるようなところにひかれるのである。

「きゃべつ」はどんな経営者にも共通した商売の秘訣を教えてくれる。

決して優秀な経営者でもなければ、コンサルタントでもない。

ただのおかあちゃんである。

母親が息子のために対応してくれる「損得のない愛情」のようなものを顧客にもしているだけなのである。

そうだとすると「それに勝てるものはない」ということなのだろうか。

経営者が、これからの時代をどう切り抜けるのか?と聞かれたとき、おかあちゃんならなんと言うであろうか。

森下吉伸


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