ソーシャル・キャピタル パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「ソーシャル・キャピタル パート2」についてお話しします。

孤立からの脱出


孤立からの脱出は決して、地域住民への対策だけではない。

地元リフォーム会社もおなじである。

高齢者へのリフォームというと、介護リフォームが一般的だが、当社の建て替えリノベという商品では「ピンピンころり」が対象の高齢者にむけた商品だと位置づけている。

人生90年だとすると、定年を迎えた人はあと30年近く生きなければならない。

年寄りは誰でも体が衰えるが、これから数が増えることを考えれば、元気な高齢者が増えるはずである。

ただ、元気だからといって孤立しないワケではない。

警察庁の資料によると、昨年の自殺者は2万1000名。

15年ほど前は3万4000人をこえていたので現象はしている。

ただ、約7割は男性である。

しかも半分以上は50歳以上である。

夫が倒れても妻は頑張れるが、妻が倒れると夫は家事で疲れたと自殺するケースが少なくないという。

また、配偶者や子や孫、友人やご近所とも交流がある人が3割程度で男性は社交性が低い人が多く引きこもりやすい。

女性は「ランチにいく」「ちょっとお茶しにいく」といったことができるが、男性はそれができない。

「葬儀にいく」「地域の集会がある」「老後の勉強会にいく」といった理由が必要である。

友達と飲んでくる、といったことを遠慮なく言って、行動できる男性は少ない。

大義名分がないと動けないのだ。

だから、引きこもりやすく、そのことで閉鎖的な思考になりやすいのである。

高齢者を対象にしたリフォームでは、こうした男性が安心して出てくることができる環境作りが大切になる。

敵がいない、妻も理解しているようなものである。

まず、最初は、理由が無くともランチ感覚で妻と会うことが出来ることが重要である。

2人から3人で連れ立って、遊びに行けるようなイベントが必要であろう。

そもそも絆づくりには、人が集まる場所でしか構築されないので、妻を会場に集め、同行者ともあわせた当社との関係作りを行う。

ここで、気になるのが店と客といった関係ではあるが、それだけの関係にしかならないしつらえでなく、おたがいさまといったことがいる。

あとあとの顧客


それを表す実験でうまくいったのが「網戸の無料貼り替え」である。

近隣に限り持ってきてもらえば、網戸を無料で貼り替えるとして、広告を打った。

普通商売では「取りに行く」というのが、サービス性があっていいが、持ってきてもらう。

そして、2枚まで無料だが、3枚以上は1枚500円お金をもらう。

こうすると、一般的には、「タダより高いものなし」ということで不信に思うのだが、こういうと、自分でも動いているというので、それほど不信には思わない。

この関係は、あとあと継続することが分かっている。

実際にこのサービスを受けた人が、あとあとの顧客になることは珍しくない。

行列を一緒に並んだ人同士が知り合いになることもあるし、当社の受付の女性軍と仲良くなる人も多い。

これが、こちらからの一方的なサービスで、上げ膳据え膳だとどこまで言っても、お客様は神様で、お金だけの関係になりがちである。

また、実際にリフォーム工事をしても、割引をたくさんした顧客からの工事後のお礼より、工事中にいっしょに家具を移動するとか、キッチンやお風呂の器具を、時間をかけて選んだ経験を持っている顧客の方が、熱っぽいお礼を言われる。

どちらの顧客との関係が深くなったかは歴然としていて、共になにか困難をのりこえたということが、あとあとの関係を変えている。

安心なコミュニティー


もちつもたれつといった関係は、相互依存であるが、リフォーム契約するだけで信頼や信用といったものは持ちあわせているので、この依存関係は、顧客が当社から借りた恩を、いつか返さないといけないといった感情を高めるので、昔ながらのご近所さんとの関係のように、継続していく可能性が高い。

そして、こういった関係をくり返し見直す事が出来る集まり(イベント)があれば、リフォーム会社が主導者となったソーシャル・キャピタルであり、地域のリフォームコミュニティを回すことになる。

そのコミュニティーにいる人は、そこにいる以上、とても安心感がある。

敵もいなければ、だまされたり、損をしたりといったリスクはない。

最初は妻でもそのうち夫も一緒に参加すると、男性でも「老後のお金を粗末にしない」「家のメンテナンスを効率よくする」「老後に子や孫を呼べる 家」「夫婦の健康を害しない家造り」といったように大義名分が生まれ、家から足が出て来る。これで孤立感がなくなり、幸せ老後になるのである。

ここまでやってこそ、「健康で幸せ家族」となる。

さいごに


ソーシャル・キャピタルは、まちづくり活動で考えられることが多いが、今後、地元密着企業が誘引していくべき概念でもある。

また、社内にも反映させることで顧客と社内が同化していく。

簡単な社内への反映のさせ方だが、会社も部署など縦割りにしないほうがいいことがある。

会社は全員で、同じフロアーで同じ仕事をごちゃごちゃになってやってみる。

私自身も経験があるが、事業部毎に別会社にすると拡大した気にはなるが、結果として全体の力が落ちることがよくわかる。

その部署での採算を考えると部分最適化がおこり、結果的に小さくて弱い会社を生むことになる。

縦割りは部門長や社員の視野が狭くなる。

そのことで弱くなっている。そのことで信頼や規範が薄れている。

まず、全員でごちゃごちゃにやることで、薄れていた連携が生じる。

新たなる融合や組み替えが起きる。

そして、会社にとって必要なイノベーションが発生するのである。

社長もふくめて、もう一度全員で同じ仕事に取り組む。

こんな簡単なことで、新たなる絆が生まれ、ソーシャル・キャピタルの効果が社内にも蔓延するかもしれない。

 森下 吉伸


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