新人を教育する パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「新人を教育する パート1」についてお話しします。

教育はマニュアル化できない


世の中「人材不足」といいながら、あの手この手で採用を試みる会社は多い。

ならば、新卒であっても中途であっても新人教育はなくてはならないのだが、あなたの会社では教育方法は定まっているだろうか?

「仕事を教える」ということは必ずやるだろう。

実務がこなせるようになってもらわないと困るから当たり前である。

しかし、「将来的に仕事ができる能力をあげる教育をしているのか?」と言われるとどうだろう。

充分ではないのではないか。

マニュアル社会だが、マニュアル化できるのは実務だけである。

能力を上げる教育は上司の力で教えていくしかないのだ。

会社の方針や状況、タイミング、上司の能力が調和されてこそ教育になる。

機械的なことでは教えられない。

今回は、上司の口から直接新人に教えるべき内容の一部を紹介しよう。

新卒採用をする会社だと、この時期内定が決まった頃であろう。

簡単なことばかりなので、新人が入ったならすぐにでも活用して欲しい。

いつまでにやるのか?


新人には、やるべき仕事を一から順に教えていくことになる。

「地図をコピーして」「資料を集めて」「商談に同席して」というように。

こういった指示の時にあわせて必要なことが「いつまでにやれ」という期限である。

新人は優先順位が分かっていないので、一つ一つの期限づけが必要である。

基本は「指示したことはすぐにやれ」でいい。

周りの人からも仕事を言いつけられていたとしても、言われたらすぐにやるという癖づけが必要だ。

そういうと上司の力関係で左右されてしまうと心配されるかもしれないが、それより「仕事を先送りしない」というパターンを身につけさせて欲しい。

靴の修理屋が持ち込まれたらすぐに修理をする様に新人にも仕事をさせるのだ。

場合によっては腹八分目のできでもいい。

それよりスピードが重要である。

そもそも、仕事が分からないのだから、ほっておくと意味の無い思考時間ばかりが長くなって、 本人自身も迷うことを防ぐ意味もある。

なんのためにやるのか?


期限を切るのとあわせて、指示した仕事のやる意味も伝えるのがいい。

忙しい時など「何も考えないで、いわれたことをやればいい」と思うこともあるだろうが、それだと鍛えれば能力があがる新人を潰すことになる。

会社によっては何年働いても使えない社員がいる。

そういった社員にはそれでいいのだが、使える社員なら鍛えるべきだ。

やる意味とは「仕事の背景」を伝えるということ。どういう目的や思惑があって、どうしていきたいのか?

たとえば「コピーしろ」といったあとに意味を言う。

「そのコピーはクロージングする顧客への資料だ。

きちんとした会社だと思われるよう曲がったコピーはするな」といっておく。

これだけでも新人がする仕事は変わるはずである。

この一声がけは、上司としては面倒がるものだが、それを「するのか、しないのか」で新人のセンスが違ってくる。

それと、新人が伸びると上司はラクになるので、ここでの手間がけは上司にとっても重要なことになるのだ。

忙しいなら解決策をみつけろ


あれこれ新人に仕事をいいつけると「もう、いっぱいいっぱいです」とパニックになるものだ。

その声を無視して使っていると「やめさせて下さい」とすぐに言ってくる。

バカバカしいと思いながら次の求人をしなくてはならない。

これはよくある話。

これでは困るので新人が「忙しい」と言ったときには、必ず「何がいそがしいのか?」という具体的な状況確認をすることである。

そこから出てきた原因を上司が具体的に解決してあげることが必要となる。

たとえば「見積が作れません。どういった項目が必要で、いくらかかるのかわからないのに次々依頼があって・・・」と愚痴ったのなら「どの項目が分からなかったのか?」を具体的に探ってみる。

価格もあわせて確認していく。

こうすると必ず分からないことがでてくるので、それを確認する方法を教えてあげる。

「これは○○興業の担当の○○さんに電話する。番号が○○で価格も合わせて確認して」といって、その場でまず上司が電話して新人に繋いでやる。

簡単なことである。ただ、この解決法は理屈では分かっていても、実際に新人はポンと指示されてもわからないのである。

お膳立てをしてもらってはじめて動く。

新人がパニックになった時、適時介入することで半分は解決できる。

仕事は10分で終わらす


こうしたパニック状態を何度か経験したなら、新人はこれからも苦労するのがイヤなので上司から言われる教訓を耳に傾ける可能性が高まる。

そこで上司がいうべきセリフは「仕事は10分で終わらせろ」といったこと。

一般的には、どんな仕事も10分で終わる事はない。

こんなことを言うと「そんなこと無理です」と言われるのがオチだと思われたかもしれない。

そうではない。

「仕事は1番始めに肝心なことを済ませておけ」という意味である。

仕事を10分で終わらそうと思ったときに「何からやらないといけないのか?」と考えるはず。

そのことがどんな仕事でも「まず、肝心なことは何か?」を探り、いち早くそこの処理から済ませるようになるのである。

そのことで効率のいい仕事の組み立てができるようになり、パニック状態になることを少なくしてくれる。

ただ、この指示に新人はすぐには意味を理解しないので、繰り返し言うことが必要になってくるのでそのつもりで。

何をやるかでなく誰とやるか


よく経営者に「会社は何をやるのかでなく、誰とやるのかが会社成功のカギ」ということがある。

会社運営でも、どう広告を打ち、どうセールスをするかというより「どれだけ優秀な部下と仕事をするのか?」が明暗を分ける。

たとえば、社内で新しい事業をするならその事業内容より「誰が責任者でやるか、だれがパートナーになってくれるか」によって成功が決まるのだ。

新人であっても「自分のパートナー選び」によって同じことがいえる。

では「だれの指示に従うべきか?」これは新人社員自体の直感も考慮した方がいい。

もちろん会社側がその新人に相応しい上司をあてがうことが重要だが、新人からも自

分がやりやすい上司を選ばすことも大切なのである。

これからの時代は、アイデアやテクニックだけでは会社運営はやっていけない。

どれだけ会社組織としてまとまりがありパワーがあるかどうかである。

組織力がなければ個人商店のほうが有利な社会になる。

人の繋がりが重要となる。

上司にはどこでもついていく


こういった教育はマニュアル化できないといった。

ではどうすればいいのか?答えはそれぞれ会社の上司にかかっている。

それぞれの会社にいる上司がお手本となって、できる範囲でタイミングよく教育するしかない。

ただ、優秀な上司がいればいいが、いない会社もある。

それでもやるしかない。社長から見て社内に「期待の50%程度の上司しかいない」としても、それが自社の現状であり実力なので受け入れた方がいい。

託せばいいのである。

つまり自社での教育は、上司を真似させることである。

1番は社長を真似させることである。これといった上司がいるならその人を真似させることでいいのだ。

このことは社内の一貫性を高めることにも貢献し、自社流の教育となる。

「いまは、社員がやりたいことをさせる教育がいい」という人もいる。

その通りなのだが、自社で使える社員のモデルは社長であり、社長に変わる人なのである。

そうすることがはずしてはならない新人教育の方針であろう。


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