こんにちは。森下です。
さて、今回は「値上げと値下げ パート1」についてお話しします。
値上げは成功している
以前、このレポートで値上げの話をした。
私の会社でも値上げをして1年が経つ。
住宅リフォーム会社でここ最近値上げをした会社は、ほとんど無いだろう。
いくらかでも利益が取れれば「できるだけ安く出そう」と考える会社が多いなか、世の中に逆行している行為かもしれないが結果はどうか?
昨対でみると売上げの総額は伸びてはいない。
しかし完工粗利益は5%以上も上がっている。
45%に限りなく近くなった。
「この時勢でも、やればできるものだ」という実感はある。
値上げは、チャレンジではあったが不調を回復させてくれる結果になっている。
しかし、世の中は相変わらず値下げ指向は変わらない。
労働時間の削減や営業時間の短縮を考えて「過度なサービスの撤廃」は見えるが、価格勝負の観点は変わらないようだ。
しかし、薄利多売をイヤだと思う人は多いのではないか。私は絶対にイヤである。
どうにかして利益を多く確保して、少ない労働時間、いい労働環境で会社運営をしたいのである。
それには上手な値上げが必要である。
それにはどうしたらいいか?考えてみたい。
コンビニの値下げ
セブンイレブン、ローソン、ファミマが歯ブラシ・シャンプー・洗剤といった日用品を一斉値下げしたことがあった。
日用品は値段が安いマツキヨやスーパーで買うことが多く、コンビニで買う人は少ない。
実際に調べると、日用品の売上げはコンビニ店総額の1〜2%程度だと聞く。
たしかにコンビニでは売れていないのだ。
売上げにも貢献していない日用品を、わざわざ値下げをして売る理由はあるのか?
理由の一つに「コンビニは高い」というイメージをなくす為だと聞いた。
たしかに、価格を守っていたコンビニが安くなっているというイメージを私も感じている。
近所のセブンイレブンでもワゴンセールをやり出した。
売れ残り品などを値引きして置いているのだ。
「コンビニも安売りをやり始めたな」という感じはしていた。
そして、安売りは「年配ユーザーの注目をとる」ためだという話も聞いた。
日用品などの値下げと年配ユーザーの獲得。果たして、どうつながるのか。
一緒にいるだけで、選手が味わっている感情を、まるで自分の感情かのように味わってしまう。
こういう現象も、ミラーニューロンの説明に使うことができます。
コンビニの戦略
コンビニの今後の戦略の一つに「スーパーから顧客を奪う」がある。
需要が高い郊外スーパーとは真逆の戦法である。
これまで生活するのに必要な物は郊外スーパーであった。
広くて沢山の中から自分の欲しい物が選べる。
しかし、疲れるし、めんどうに感じる人も多くなった。
その点コンビニは、売り場面積がせまく、買いたい物をすぐ見つけられ、素早くレジが済ませられる。
これからの生活品は「手軽で近所のコンビニで」と印象づけ、スーパー客を奪おうとしている。
また、これから増加する「高齢者の需要を増やす」という戦略もある。
一人暮らしも多くなるし、夫婦二人という家族の形態も増える。
そうなれば量もいらないし、多くのセレクションもいらないかもしれない。
いつも食べ慣れているものが、小家族サイズがあればいいのである。
いまコンビニでも店内に並んでいる100円から200円程度の「小分けのお総菜」がそれを物語っている。
スーパーから顧客を奪う為に、あえて真逆をいく戦略はうまくいっていると感じているが、日用品だけはどうしてもマツキヨに負ける。
お店の立地や気軽さではマツキヨに負けてはいないが、安さでは負けている。
日用品は消耗品なので「コストは安く」が前提ではある。
売上比率はたいしたことなくとも、日用品が安いというイメージがあると、マツキヨでしか買わなかった新たなる需要が開拓できるかもしれないのだ。
日用品の価格をあわせることで、さらに一元的な買い物をコンビニで済ませる可能性が高まるのだ。
単なる値下げでない
この状況をみると、コンビニが安値合戦の世情に煽られて「もっと数を売る、売上げを伸ばす」為に値下げをしているわけではないとわかる。
本来のコンビニ商品を売るための策なのだ。
「買い物頻度を増やす」「1回当たりの単価を増やす」ことによって、主流の商品の売上げを伸ばそうとしているのである。
そのために、新たなる需要を取りたいと日用品を下げているのであろう。
単なる値下げでない。
広告費がわりに売値を下げているのである。
こうみることでリフォーム会社にも参考になるのである。
ただ、リフォーム業界ではコンビニが競合するような敵がいない。
コンビニだと郊外大型スーパー、近隣スーパー、ドラッグストアー、昔からの商店といった敵である。
リフォーム会社だと、チェーン店かそうでないか程度ではないか。
そのリフォーム会社によって需要は変わらない。
なので、コンビニのように独自な特徴によって敵の顧客を奪いとるというのは難しい。
(大手リフォームフランチャイズであるリクシルがパナソニックの顧客をどう奪うか?という話は聞くが、2つはほとんど同じ需要を取り合っている。スーパーやコンビニといった、違う需要の顧客を一方に集めるといったこととは違う)
とはいっても、リフォーム会社でも取扱商品によって多少の需要の違いをだしてはいる。
「クラシアン」のような小さな工事から「住友そっくりさん」の大型リフォームというのもある。
外壁塗装が得意だとか、たたみふすま専門とか、取扱商品や工種によって色分けしているところもある。
それぞれ入り口は違うが最終的なリフォーム目的は同じである。
入り口として需要の違う人たちを「まずは当社にあつめる」ための一部の値下げとしたら、それは単なる値下げではないのだ。
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