業績をあげるコミュニケーション能力。 パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。

さて、今回は「業績をあげるコミュニケーション能力 パート1」についてお話しします。

「やる気」を落とさない工夫


こんにちは、森下です。定期研究会や電話相談などで最近多く相談を受けるのに、「やる気が出なくて困っている」「滅入っている」「どうやればいいのかわからない」と悩みを聞きます。それぞれに理由は違いますが、軽いスランプに落ち込んだといった印象を受けています。

でも、それは決して重大な問題ではなく、多かれ少なかれ経営者にはつきものです。経営者は責任がありますし、最終的には誰にも頼れないといった孤独感がありますから、突然の危機や、人からの裏切り、努力が報われない、といったことが発生すると、自分一人で受け止めなければなりませんから、そうなるのも無理はないのです。

ただ、そういうときでも、テンションが下がらないようしないといけません。気分が滅入るぐらいならいいですが、「やる気」まで落とすと、業績に響いてくるからです。

「会社の業績が上がるのも下がるのも社長次第」ということを、多くの中小企業の経営者は知ってはいるのですが、ついつい「どううまくチラシをつくるか?」「どう売れる商品を作るか?」「どうコストをおとせるのか?」といったことより優先順位が低いのです。

業績が上がらないといった会社の原因が、社長の「やる気」というのも珍しくないので、まずは「やる気」を落とさない心構えが大切ですし、絶えず「やる気」を維持する工夫が重要になるのです。

人間関係に「やる気」は左右される


人は「頑張り」や「継続」が低迷したとき、つまり「やる気」がなくなった時、影響している理由に「悪い人間関係」があります。

たとえば、「クレームが重なる」といったとき。

クレームというのは、お客さまとの人間関係にヒビが入りかけたという状況です。

きっかけは「施工の失敗」「対応が悪かった」ということでしょうが、作為的にやったわけではなく、事故みたいなものなので気が滅入ると思います。

また、社長の直接的な責任ではないことで、人から怒られ、なじられ、時には誹謗中傷を受けることもあるでしょう。こういったことで、お客さまとの人間関係が悪くなり、問題が解決するまで、社長の「やる気」はそがれていくのです。

お客さまだけではないでしょう、社員や職人さんなど対内的なところでも同じようなことが起こります。

「いうことを聞かない社員」「やる気のない社員」「社内をかき乱す社員」。中には、集金したお金をくすねるとか、業者と結託して個人的にバックマージンを取る社員もあり得ますから、社長はマーケティングなどだけにとらわれずに、こういった悪い社員が現れないように工夫をしないといけないのです。会社への損額を防ぐというよりは、自分の「やる気」を落とさないといった意味で。

時には、夫婦、家族との人間関係が起因して「やる気」がそがれるときもあります。当たり前のように暮らしている家族ですが、夫婦間のトラブル、子供がいうことを聞かない、といった問題は、知らず知らずに社長のストレスを増加させ、気が付けば「やる気」のしない生活に変えられてしまっていることもあるのです。

あなた自身でも、振り返ってみると分かるはずです。チラシが当たらなかった失敗より、女房から言われた「嫌味の一言」のほうが、ずっと頭に残っているでしょうし、気が重くなる原因ではないでしょうか。

そうすると大切なのは、「悪い人間関係を持たない」という工夫です。つまり、「やる気」をなくさない秘訣は、人と人とのコミュニケーションを上手に行うということになります。

では、コミュニケーションを上手に行うのに、どう相手を受け入れ、どう相手を理解していくのか…といった部分になるのですが、その内容は、多くのコミュニケーションスキルを書いた本で学べるので、ここではそれは省略して、上手に関係を切るといったコミュニケーションを考えてみます。 パラドックスかも知れませんが、付き合うべきでない人との関係を上手に切ることで「やる気」を失わないといったことを実現するのです。

クレームを見極める


先ほど、お客さまからのクレームが、社長の「やる気」をそいでしまうといいましたが、クレームをいただくお客さまにも、付き合うか否かに分けて的確な対応をしなければならないのです。

お客様からのクレームというのは2種類あります。だいたいは、当社の失敗や対応の悪さからお客さまが怒ってしまって苦情を言われるものです。それとは別に、あくまでそれらの失敗はきっかけであって、潜在的に怒りをぶつけ危害を加えようとしているクレーム(クレーマー)の2種類があります。これまでにも、このことは書いたことがありますからうなずかれるかもしれませんが、非常に区別がつきにくいものなので、この機会でもおさらいとして書きます。

端的にいうとクレーマーというのは人格障害者のことです。人格に障害がある人がいうクレームは、まともな人がいうクレームとは違うのです。なので、その違いを理解しておかないといけません。

「まともな人がいう発言なのか、そうでないのか…」本来は、「この人はおかしい」という判断は、話していると誰でもわかるはずなのですが、人格障害者の特性を知らなければ、「ただ、細かいお客さま」といった判断で済ませてしまって、付き合ってはいけないクレーマーにとことん付き合ってしまうのです。そして、社長の大切な時間、会社の貴重なお金を無駄に使ってしまって、体も心もボロボロになってしまうことが少なくはないのです。

人格障害は病気なので、まともな対応をしてはいけません。熱が40度近くある病人には、豪華な料理やおしゃれな洋服より、まずは、熱が下がる薬が必要なのです。同様に、クレーマーには、相手の要望に応えることではなく、その病気に打ち勝つ対応が必要なのです。

クレーマーには「敗者の理論」は難しい


まともなお客さまへの対応で、「敗者の論理」というものがあります。「負けて勝て」といったやり方です。

たとえば、職人さんが現場で失敗したことで、お客さまからクレームをいただいたときに、社長が飛んでいき、口答え、言い訳を一切言わずに「申し訳ありませんでした」と、ただただ、深々と謝るだけといったものです。場合によっては、土下座をして、頭を地面につけて「本当に申し訳ございませんでした」とただひたすらに謝るのです。

土下座まではいきすぎとしても、多少はお客さまにも非があったとしても、こちらがすべて悪いのでどうぞお許しくださいといった表現をするのです。言い方を変えれば、先手必勝、手が付けられないぐらいに謝りまくるのです。

こうすると、まともな人なら、言い訳もせず、深々と謝り続ける人をみて、それ以上の怒りがわいてくるわけがないのです。その一瞬は、情けないという感覚が社長にはわくかもしれませんが、それよりも問題が解決するほうを優先するのです。

ここまで低姿勢でくると「もう、いいです。わかりましたから」と、失敗に対する怒りは弱まり、問題は「今後どういう対応をすればいいのか」といった前向きなことに変わっていきます。その場では、負けたかのようですが、結果的には、損害も最小におさえ、わずらわしい対応に取られる時間を短縮できたということで、勝ったということになるのです。

ただ、クレーマーには、「敗者の理論」は難しいのです。深く考えずにクレーマーにやってしまうと、さらに状況をひどくする可能性があるのです。筋で行くと、犯した失敗などの償いのためには「お詫び」はするべきですが、その態度によっては、さらに徹底的にせめてくるからです。

ということは「敗者の理論」をすることで、さらに怒りに拍車がかかるとか、苦情がひどくなるようなら、そこからはクレーマーに対する対応に切り替えなくてはいけません。これは、クレーマーを見抜く簡単なコツでもありますが、本当は、もっと初期段階に見抜けていることが多いのです。クレーマーに対応した営業マンに聞いてみると、ほとんど営業マンが出会った最初から、まともな人にはない違和感を抱いているからです。

たとえば、「やたら自分や自社のことをほめる」「歯の浮くような御世辞をいう」「ほかの知り合いにどんどん紹介するから」とか、こちらに取り入れられようとするために、変に媚を売ってくるような感じがあるのです。

クレーマーは、自分に取り込むのに天才的な能力がありますから、最初は違和感があっても、いいことばかり言ってくるので「悪い人ではないな」といった感覚がわきます。クレーマーの特徴にある「時折、真顔に変わる」「急に怒り出し、すぐ笑い出す」「こちらの失敗に執着する」という赤信号も見過ごしてしまうのです。なので、ついつい契約をしてしまうのです。

そして、いったん取り込まれてしまうと、こちらがミスした些細なことにかこつけて、これまで自分の人生で傷ついた心、トラウマ、ストレス、解決していない怒りなどを、一斉にぶつけてくるのです。


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